表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
48/285

研究報告を読む

 上空からボッシュへと向かう人々が見える。どうやら事後処理が終わって帰るようだ。

 それを眺めてから精霊の森に向かい、到着。


 女装を解除して、大きく伸びをした。


『アキー』

「リーリアにお土産だよ、はい」

『ありがとー!』


 リーリアにフルーツ盛り合わせを渡すと、嬉しそうに食べ始めた。


「アイ、古代の資料見るからリーリアと一緒に行ってきな」

「うん、ほどほどにね」


 アイが出てきてイスに座り、リーリアとお喋り。

 主に話題はボッシュでの出来事で…


「リーリア」『アイ』

「アキが褒めてくれたの」『良かったねー』

「惚れ直したって」『ラブラブだねー』

(おい)


 カナンは少し離れた所に座り、パネルに魔力を流すとパネルが起動。機械的な声が響く。


「コウモクヲ、エランデクダサイ」


 研究報告を選ぶ。


「何を研究してたんだろ…人工生命体による兵器転用かー。成長する兵器、魔力と血肉を食べて成長、強制進化…か。なんか強制進化は進化の秘術に似てんな」


 翻訳しながらなので時間がかかるが、カナンは楽しそうに資料を読み漁っていく。


「違う魔物を食べて成長した魔物は、多く食べればその特性を得る…か。これは凄いな、早く倒せて良かったんだな」


 人間を食べて進化するような、最悪の事態は免れたようだ。


「暗黒物質のダークマターの力で成長してたんだな。ん? ダークマターは邪の眷属の核…邪神の眷属なんて居たんだな」


 前世の記憶を呼び覚ます。邪神と闘った時の記憶を。


「そういや、邪神って戦う内に急に強くなったな。ダークマターの影響か。なるほど。ってか邪神って何? おっさんが邪神って言ったから邪神って呼んでいたけど」


 勇者パーティーの補佐に、戦いの最後の方に加入した銀髪のおっさんの事を思い出す。

 秋が連れて来て、色々騒動があったのだが、それは別の話と思考を切り換える。


「おっさん元気かなー。ケガしてんのに無理矢理連れ出した俺が言うのもアレだけど」

「アキ、おっさんって誰? 勇者の仲間?」


「勇者の仲間っていうか、前世の俺の友達…銀髪のおっさんかな」

「前世のアキの友達になるって、変人っぽいね。銀髪なんて珍しいし」


「あー変人だな。ホントに。星に愛されてんだよ、きっと」

「生きてるの? 人間?」

「恐らく生きているぞ、人間じゃねえし。龍王だかんな」

「へえ、龍王の居るパーティーって凄そうね」

「いや、強いけど俺と雑談する変なヤツって認識だったから、あのおっさんは何もしていないよ。聖女の護衛の魔法使い…ファナエルをストーキングしていたし」


「ウフフ、変人ね。今は何処にいるの?」

「魔の森の奥の奥、世界樹の近くに家があるんだ。多分そこ。昔迷い込んで、戦いになった後に友達になったんだ」

「男の友情ってやつ?」

「ははっ、そんなもんだ。その後ヤバい強い奴を一緒に倒したんだが、その時おっさんが怪我というかまぁ…怪我してさ。治りが遅いから外に連れ出したんだよ。完治する方法探すぞって」


「ふーん、だから邪神とはアキが1人で戦ったのね」

「そういうこった。邪神は出会った中で最強という訳じゃなかったけど…後ろにはアイツが居たし…格好付けたかったんだよ。多分会ったら怒られそうだ。ははは」

「そんなの私でも怒るよ?置いていかれたら」


 珍しくアイがプンプンしているので、頭を撫でて宥めると直ぐに笑顔を取り戻した。


「ははっ、アイは置いてかないよ」

「ウフフ」



 ______



「また報告書の続き読みに来るよ。じゃ、またな」

「またね、リーリア」

『ばいばーい』



 精霊の森を出て飛び立つ。すっかり夕方なので、急ぎながら。



『アキ』

「なんだ?」

『もっと昔の話聞きたいな』

「おう、いいぞ」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ