遺跡にて
今回は主人公お休みです
遺跡にて。
古びた石のような物で出来た、百メートル四方の建物。
ボッシュの東にある古代の建造物。
その地下で、最近新たに発見された十メートル程の黒いカプセルに似た何か。
「これをこうして…いや、こうか?」
「これだと反応しないぞ?」
十数人の人間がカプセルを調査している。
「ん?見てくれみんな! 古代文字がここにもある!」
少し離れた所に古代文字を発見。早速翻訳してみる。
「えーっと、この、ねむり、さま、して、は、いけ、ない」
「この眠り覚ましてはいけない? 何か入ってるのか?」
「古代の兵器か何かだとしたら大発見だぞ!」
そうだそうだと言う集団。止める者も居たが、好奇心は抑えられない。
「まあ落ち着きたまえ。封印? を解除しなければ分からない。速やかに調査せよ」
指揮官らしき人物が指示を出す。その様子を見ていた護衛の冒険者が、ヒソヒソと会話をしていた。
「なんかヤバイものっぽいな」「だとしたら…解除が終わったら口封じとかあるかもな、早く退散するか?」
「そうだな、俺は降りる。俺の勘が警報を鳴らしているよ」
勝手に帰る者。好奇心に負けて残る者。逃げる準備をする者など様々。
「分かったぞ!このプレートに魔力を流して起動させるんだ!」
おお!_と、ざわめき、指揮が高まってきた。
逃げようとしていた者達も、周りに集まり見学を始める。
指揮官がプレートの前に立ち、愉悦に染まった表情でプレートに手を当てる。
「おお、よくやった! これより私が起動する! 私がな! はっはっは!」
魔力を流すと、ブォン_と、プレートに魔力が行き渡り、淡く光り出す。
「「「おお!」」」
待ちに待った瞬間がやって来た。
その時、機械的な声が響き渡る。
『キドウシマス、フウインシステム、カイジョシマスカ? ハイ、デハ…カイジョイタシマス』
プレートから光が放たれ、黒いカプセルを照らす。
興奮覚めやまぬ様子で、研究者達は喜んでいる。これで帝国の歴史が変わる…と。
「おお!」「すごい!」「古代の技術か!」
そして…カプセルがカパッと開かれた…
突如、謎の人型がぞろぞろぞろぞろ出てくる。
筋肉で包まれた様な、がっしりとした体躯。
目が1つ。鼻は無く、大きな口。
どういう訳かカプセルの大きさよりも、多くの人型が出てくる。
その内、大きい人型も現れた。
ぞろぞろぞろぞろ……
絶え間無く出てくる人型の群れ。
「うわあ!なんだこれは!」「うぎゃー」「食べられる!にげっぐわっ」「ぐ……あ…」
人間の魔力に釣られ、群がる人型。
数え切れない程の数が出てきたが…もう、食べるものは無い。
そこで彼らは魔力を探す。
そして、一斉にボッシュのある方角を向き…
見つけたとばかりに、ぞろぞろぞろぞろ…と、歩き出した。




