精霊の森へ
次の日は、カナンはモリーと本屋カフェに乗り込み、次はどんな本を読もうか等を話し合い楽しく過ごす。
その後はモリーと別れ、まだ時間があったので精霊の森にやって来た。
『あき、いらっしゃーい!』
「やあリーリア。元気そうだなー」
リーリアは前よりも喋る様になり、アイの影響かアキと呼ぶようになった。
そして、成長した。前は羽の生えた光る玉だったのが、繭に変化。そして羽化すると、小さな人型の可愛らしい妖精になった。
今ではスプーンを使って、プリンを食べている。
リーリアと話しているお、ふよふよと精霊がやって来た。
「おう矢印、上手くなったな」
以前北の森に居た精霊。そのまま矢印という名前で定着。今日はプルプルとした星形でお出迎えしている。
カナンがつんつんすると、嬉しそうにプルプル動く。
精霊は以前よりも増え、蒼い光や赤色、黄色など沢山の色の精霊がふよふよと漂っている。
どうやら生まれてから時間が経つと属性の偏りで色が変化していくらしい。
そして、精霊の森は純粋な魔力が漂っているため…
「アイ、出ておいで」
『ウフフ』
石からアイが負担無く出て来られる様になった。
綺麗な藍色の髪に、肌は白く細やかで、パッチリとした目に、すっと通った鼻筋、可愛らしい唇…
カナンと同世代の、ニコニコしているとても可愛らしい美少女さん。
人間の姿に変化していた。
いつかカナンと王都を歩き回る事を目標に、頑張ってお洒落している。
「今日はゴスロリなんだな」
「ウフフ、可愛いでしょ?」
服装はその日の気分で変わっている。
今回は藍色のゴスロリ。藍色の日傘付き。
前回は町娘スタイルやラフな格好。水着の時は、素晴らしいの一言。
「ああ、可愛いよ」
「ウフフ、嬉しい」
見せ付ける様にくるくると回る。ふわりとスカートが膨らみ、ゆっくりと空気が抜けるように元に戻る様子を、リーリアが楽しそうに眺めている。
石の中は、色々と物を持ち込めるらしく、ファッションの本やカナンの描いたデザイン画を持っていつも引きこもっている。
ごく普通の女の子。
そして出てきたら必ず…「アキ、可愛いなら私と結婚しよ?」求婚してくる。
「なーに言ってんだよ」
かなりの美人さんなので、いつか陥落するんじゃないかと内心びくびくしているが、表には出さない。表に出すと必ず調子に乗ってくるから。
「ウフフ、照れちゃって。初めて会った時に、アキの好きなお花の下でプロポーズしてくれたじゃない?」
「いや…あれはプロポーズじゃねえよ…」
彼女にとって、桜の木の下で一緒生こうと言われた事は…とてもとても大事な思い出。
だから、アイはカナンに…
「アキ」
「なんだよ」
「大好きだよ」
「…はぁ…ありがとな」
深い愛を捧げている。




