本を読もう
「おはよー、オード兄さん」
「おうカナン、今日から学校だけど無理すんなよ!」
「分かってるよ、この前言ってたパワーリストの重さ変えれるようにしたから使ってね」
「悪いな無理言って! すごいな! こんなの作れて!」
「ははっ、兄さんには敵わないよ。行ってきます」
カナンはいつも先に出る。
中央区の学校に歩いて行く為だ。
「あれ?」
「反転メガネが無いな」
「王女に渡したヤツに紛れてたか?」
「まあいいや…」
大体2週間振りに学校へ登校。周りがら特に休んでいた理由も聞かれず、のびのびと出来た。
(今日は本読める場所探すかな)
『アキ』
(どした?)
『こどモ…たクさん』
(学校って言うんだ、勉強する所)
『ふーん』
久しぶりに来たボソボソと喋るメガネの少年は、周りからはヤバいヤツに見えたという。
カナンにとって退屈な授業が終わり、放課後に少し校内を歩く。ゆっくり出来る場所を探す為だ。
「久々だから肩こる、王都って公園少ないからなー、あっここ良さそう」
教室から見下ろしたら見える様な場所の、背もたれ付のベンチを発見。
「ここにしよっと」
メガネを外し眉間をぐりぐりしながら、王女から借りた魔物の本を広げる。
「流石王城の本、マニアックなの多いな…おっ、アイの事も載ってるぞ」
『わたシ?』
「えーっと藍の魔王ディープ・ブルー、深海の化身、深愛の魔王とも呼ばれ、愛した者に深海の様な深い愛を与える。へえー中々ロマンティックな説明だな」
『フフフ…ふかイアイ』
「他の魔王も載ってるなー、紅の魔王ディープ・レッドは帝国に封印されてるってさ。深紅の薔薇姫と呼ばれ、愛した者に情熱的な愛を与える。魔王を封印ってどんな封印だろうなー、気になる」
『じょうねつ…あい』
「帝国か、別に王国の本だけに頼る必要無いもんな…あそこなら子供がフラフラしてても気にされない…日帰り出来たっけ?」
『ほかの…まおう…は?』
「深碧の魔王は500年前に確認、その後所在不明か」
「琥珀の魔王は秋がトイレに流した…か…。
アヴァランチ・ソウル・グランデはあまり書かれて無いな、触れるべきではない災害…か。確かに災害だな…」
(誰か横に座ったな、こっち気にしてないから大丈夫か)
カナンが本を呼んでいると、横に誰かが座る。だがカナンを気にしておらず、本を読んでいるのでカナンも気にしないようにした。
ベンチは3メートルくらいあるので、誰かが座っても余裕な広さ。
(あ、防具屋行くの忘れてたな。今度行くかっ…。そういや手にアイ刺したらどうなるんだろ? でもあまり戦わせたくないなー)
『フフフ…がっタイ』
ふと上を見ると…教室の窓が見え、誰かがこちらを見ている。
(ん?あれは……まぁ良いか。さて、帰ろう)
メガネをかけて、とぼとぼ歩く。途中走って来た女子が居たが、ザザッと距離を取られ、ただすれ違っただけだった。
そして、さっき隣でベンチに座っていた少年らしき人に声をかけている。
(何やってんだ? 青春か? …エリ)
「そうだ、面白そうだから色々な機能の付いたメガネつくるか!」




