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少年は疲れる
矢印の精霊を連れて藍色の宝石を持ったカナンは、精霊の森に帰って来た。
『カナン』
「リーリア終わったぞ」
『ありがとう』
持っていた矢印の精霊を放つ。リーリアの周りをふよふよ飛びながら、ぷるぷると動いて形を変えようと頑張っている。
精霊なりの挨拶でもしようとしているのだろうか…と少し観察してみる。
「新しい仲間だ」
『よろしくね』
リーリアが淡くピンクに光り、矢印が蒼い光を発して呼応していた。
「さて、ちょっと疲れたから帰るわ」
『うん…またきて』
「おう、じゃあなー」
精霊の森から王都に帰り、こそこそ服を着替えて家路に着いた。
「ただいま」
そのままカナンはベッドに向かう。
フラフラと、倒れ込むように…
ボフッ__
そのままカナンは意識を手放した。
それから1週間…
少年の身体で無理をし続けたカナンは眠り続けた…
『ウフフ、はやク…おキて…あそぼうよ』
眠り続けるカナンを見る石の中の少女は、楽しそうに笑っていた。




