表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
276/285

前世の故郷へ

 

「…地球。じゃあ…前に言っていた地球を見ている神か?」

「…だと思うんだけど、創設者の名前を名乗っていて…本物なのかなって…」


「騙すような悪い神の可能性もあるのか。じゃあ会うなら、俺も一緒にいくぞ。前世の故郷に行ける訳だし…」

「秋が居るなら安心だよ…じゃあ何人か連れて良いか聞いてみる」


 キリエが天パッドをいじり、メル友に返信。すると、直ぐに返信が来た。


「良いって。通行証を送るから、数を教えてだって」

「まじか…勇者達も良いか聞いてくれ。四十人くらい」


「う、うん!」


 キリエが送ると、また直ぐに返信。何か凄く胡散臭い。しかしわざわざ嘘を付く理由も無いし、地球に行けるというのなら、多少のリスクは付き物だと感じていた。


「なんか、神じゃない者が一仕事してくれるなら良いって」

「神じゃない者が一仕事? なんだ? 俺は神格無いから出来るぞ」


「地球にある次元の歪みを直してって」

「次元の歪みを? 異世界へ迷いこませない為か…まぁそれくらいなら良いぞ。トラブルが無ければ一週間で終わると思う。まぁでも一年もすれば歪みは生まれるから、切りは無いけどなー」


「分かった、それも付けて送ってみるね」


 再びキリエがメールを返信。

 やはり直ぐに返事が来た。

 内容は、一仕事終えたら通行証を送る。了承するならサインを書いて返信を欲しいという内容。

 従う他無いので、サインを書いて返信した。


「…こんな形で帰れるなんてな。おっ、来たぞ」


 前方の床に小さな魔法陣が出現し、黒いカードが二枚現れた。

 カードを拾い、確認すると『地球行き、往復』と書かれていた。


「二枚か。じゃあ私と秋で行く形になるね!」

「そうだな。魔力が無い世界だから、俺の中には入れないと思うし…」

「えー! 私達も行きたーい!」

「行きたーい!」

「行きたーい!」


「いや、魔力が無い世界だから…俺の魔力がどこまで伝達するかとか、何処までの魔法が有効なのかとか…調査しないとアイ達は死ぬんだぞ…駄目だよ」


 アイ達に睨まれるが、秋はそこだけは譲らない。命に関わるし、もし地球で死んだら復活出来ないかもしれない。実は精霊石があれば行けるという確信はあるのだが、百%では無いのでまだ言わない。


「十分後なら会えるって…準備良い?」

「ちょっと待って、一応鞄に精霊石をっと。試作の時空石も入れておくか」


 ストレージが使えなかったら困るので、四色の精霊石と、白色精霊石、時空石、エリクサーとダイヤモンド包丁などを入れる。

 その様子を見ていた紅羽が…

「あっ、精霊石…」

 と、呟いた。

「よし! 準備出来たぞ! キリエ、行くぞー!」

「えっ、あっ、うん」

 秋は不味いと思いキリエを急かす。アイが不信な目を向けた時には、カードの力を使っていた。


「秋? もしかして…」

「ん? どうした? あっ、ヤバい…サティちゃんが接近中…」


「じゃあ行くよ…転移」


 ――バシュン。

 秋とキリエが転移した。その直ぐ後、階段からサティがやって来た。


「秋ちゃーん。どこー」

「サティ、秋は出掛けたわ」


「…何処に?」

「キリエと…地球に行ったわ」


 アイは恐る恐るサティの顔を見る。

 しかしサティは少し首を傾げ、嬉しそうに微笑んだ。


「秋ちゃん…やっと、いけたんだね。良かった…良かった…」

「サティ…」

「紅羽、私達は自分の事ばかり考えていたわね」


 嬉しそうに涙を流すサティを見て、アイと紅羽は反省していたが…サティが泣きながら床に何か魔法陣を設置している。

 一つでは無く、等間隔に多数設置していた。


「サティ? 何しているの?」

「ん? キリエだけ新婚旅行に行くなんて許せないから、秋ちゃんと纏めて捕獲しようと思って」


「…これに触れたらどうなるんだ?」

「触れたら解るわ」


 ここで黙って話を聞いていた慈悲が、好奇心からか魔法陣の前に立った。


「面白い、俺が触ってやるよ。俺に状態異常は効かないからな」


 サティを見ながら、慈悲が不敵な笑みを浮かべ…サティはニコニコしながら見守っている。そして…慈悲が魔法陣の上に乗ると、魔法陣が起動。


「ふにゃぁぁぁぁああ!」

「「「……」」」


 慈悲がビクンビクンしながら魔法陣の上に倒れた。

 サティの秘術は…基本的に人型ならほぼ確実に効果がある。

 月読でさえ抗えなかった状態異常…全身性感帯により…慈悲がダウン。


 ……ここに居る全員が思う。絶対に触れてはいけない…と。


 そして、遅れてやって来た不運な者が…


「サティー、置いていかないでよー。私はティナちゃん抱えているんだから」


 ティナを抱えたイリアが、階段からやって来た。

 そして、魔法陣の前に止まり…


「イリアさん、ありがとうございました」

「良いのよ。普通の人はあの階段辛いから。下ろすね」


 ティナを魔法陣の上に下ろした。

 そして当然…


「ふにゃぁぁぁぁああ!」

「はへ? なんで?」

 ティナの叫びが木霊した。


「ふふふ、ふふふふふふふふふ…二人目ゲット」

「……みんな、逃げるわよ」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ