表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
271/285

慈悲2

 

 龍王は腕を組みながら、遠い目で慈悲を眺めて一言。

「やっと…活躍する時が来たか…」

 活躍の時なのか、最期の時なのか。


 見下ろす慈悲は、大きな身体を伸ばすように腕を伸ばして首をゴキゴキと鳴らした。


『ちょっと、殺りにくいなぁ。縮小』


 腕を交差し、慈悲が光輝くとドンドン小さくなっていく。

 縮小が止まり、元の大きさに比べてとても小さいが、全高は三十メートルと人に比べると巨大だ。

 小さくなったからといって、弱くなった訳では無い。むしろ、俊敏と命中が上がり強さを増していた。


『ん? 結界…あいつらか。まぁどうでも良い。光解放』


 腕、脚、腹の白い球体が輝き、放射状に無数の光線が射出された。空気を切り裂く光が、結界を貫通して突き刺さっている。

 もちろん目の前に居る龍王にも射出されたが、涼しい顔をしながら弾いていた。

 そして、ゆっくりと両手を前に出す。右手を上に、左手を下にして龍の顎の形に…ブレスの構え。


「ふっ、こんな事もあろうかと…光属性を防御する魔導具を大量に身に付けているのだ! 超龍魔法! ギガドラゴンぶれすぅ!」


 ――ドォォオオ!

 銀色のブレスが慈悲に直撃。

 ギシギシと慈悲の身体が揺れている。


『良いなぁ良いなぁ殺し合いって奴はぁ! 円環の炎…慈悲なる怒り』


 ボッボッボッ…白い球体が炎の球体に変化。

 すると、慈悲の色が赤く染まっていく。

 真っ赤に染まった要塞が銀色のブレスを弾いた。


「…超龍魔法・龍の涙」


 銀色の力が波打つように龍王に入り込む。魔力が洗練され、身体能力を上昇。

 慈悲に向かって走り出し、左脚の球体に向かってドラゴンブレスを放つ。球体に直撃すると、炎が弱まった。


『やるなぁ龍ちゃん。炎装填、円環の風…慈悲なる喜楽』


 球体が緑色に輝き、慈悲の色が緑に染まっていく。

 内包する力が増し、炎で弱まった力も取り戻したように見える。

 龍王はそれでも球体に攻撃を加えていく。球体を攻撃すれば力が弱まる事を知っていたが、長い間溜めていた力が多すぎた。


「…超龍魔法・龍槍ザガンボルク」


 大きな槍を形成し球体に向かってぶん投げ走る。

 少しだけ突き刺さるが、それだけ。続けて槍に向かってドラゴンブレス。更に少しだけ槍が深く入り込んだ。


「超龍魔法・龍槌ゴウラ」


 大きなハンマーを形成。

 球体に刺さった槍を思い切りぶっ叩いた。

 パキッ…槍が球体を貫通。左脚の球体が輝きを失った。


『くくっ、俺の弱点はお見通しか。まだ、あと四つあるぜ。風装填、円環の水…慈悲なる冷徹』


 左脚以外の球体が青く輝き出す。

 そして、慈悲の色が青く染まった。左脚を見ると、球体は透明になっており力を感じない。あと四つ…右脚、両手、腹を消さない限り勝機は無いと見えた。


「はぁ…時間が無い。超龍魔法・龍弓ツイガンラス」


 次は弓矢を形成。

 弓を引き絞り、迷いなく放った。

 カッ…右脚の球体に刺さる。徐々に光が失われていった。


『氷の津波』

 その時、視界一杯の氷が龍王を襲う。

 氷が身体中に突き刺さり、突き刺さった氷に更に突き刺さる。

 突き刺さった氷から冷気が流れ込み、身体が凍っていく。


「くっ…超龍…魔法…龍熱脈動!」


 ドクンッ…龍王が波打ち、身体が高熱になる。氷が溶けて大量の水蒸気が発生した。

 その水蒸気も直ぐに晴れ、次の攻撃をしようとした所で龍王の顔が歪む…慈悲の色が変わっているのが見えた。


『水装填、円環の土…慈悲なる安らぎ』


 黄色く変化し、内包する力が更に上がっていた。

 そこで龍王の元に影が差す。

 見上げると、大量の隕石が飛来していた。


 ここで迎撃は無駄と判断。素早く移動し慈悲の脚を飛び越え腹の部分に到達。

 次の技を繰り出そうとしたが…

 ――ドゴォン!

 大きな拳に殴られる。

 圧倒的なパワーに為す術も無く吹き飛ばされた。


「がはっ……はぁ…はぁ…これは、不味いな」


『はっはっはー! 無駄無駄! これで最後だ! 土装填、円環の光…慈悲なる審判!』


 球体が黄色から白へと戻る。

 白、赤、緑、青、黄、そして白へと属性が循環した。

 慈悲は喜ぶように両手を掲げ、両肩に展開されている主砲に手を掛けた。

 ――ガチャン!

 両肩の主砲が白、赤、緑、青、黄へと輝く。装填された力が上昇を続けていた。


「我も…本気を出すか…龍気解放!」


 龍王が力を解放した。

 人型から、銀色の龍へと姿を変える。慈悲に匹敵する大きさ。大きな口を開き、銀色のエネルギーを溜める。


『行くぜぇぇ! 理の審判!』

 ――ドゴォォオオ!

 主砲から放たれたバカみたいな大きなエネルギー。


 迎え撃つ龍王も力を解き放った。

『神龍魔法・ファイナルバースト!』

 ――ボォオオオ!


 審判の光と、神龍の力が衝突した。



 ______



 慈悲と龍王の戦いを眺めながら、結界を強化している秋と溟海。

 呆れた眼差しで人外の戦いを眺めていた。


「秋、あいつらは星を壊す気か?」

「戦いに夢中だなー。そういえば刹那たんの魔法戦車(マギ・チャリオット)のモデルは慈悲なんだよ」


「へぇー。じゃあ魔法戦車(マギ・チャリオット)が完成したらあんな感じになるの?」

「そうだなー。波動砲があれになる」


「あははっ、刹那たんは神にでもなるつもりかい?」

「まぁ…案外なるかもな…ニートの神とか…」



天異界にて。


グ「キリエさん」

キ「何? 忙しいんだけど」


グ「キリエさんの過去が暴かれましたね!」

キ「いや、別に隠してないし…それになんでここで言うのさ」


グ「いやだって、私も百合百合の世界に行きたいって言ったら、『お前だけは駄目だ』って言われたんですよ」

キ「誰にさ…その前に時間軸を無視しないで」


グ「それは……あっ、呼ばれたんで言ってきまさーす!」

キ「ちょっと…はぁ……あれ? メール…誰だろ。……ラグナ」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ