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慈悲

 

 三人は大教会の北…霊山の前に転移した。

 以前来た時と、明らかに雰囲気が違う。白色魔力に溢れていた一帯は、鳴りを潜め白色魔力が感じられない。

 秋が周囲を見渡した時、大教会が目に入った。


「んー? 大教会ってあんなサッパリしていたっけ?」

「私は初めて来るから解らないなぁ」


「そうだよなぁ。んー…まぁ後で行こう。おっさんいってら」

「えっ、付いてきてくれるんじゃないの?」


「巻添えは嫌だから、俺達はここで待っているよ。終わったら行くわ」

「…ちっ」


 秋は椅子とテーブルを出して、トボトボと歩く龍王を見届ける。

 秋と溟海は座りながら、霊山を眺めた。


「にしても、よくもまぁ聖女オリヴィアはあんなデカイ奴を封印したなぁ」

「それだけ儀式魔法クロスハートが強力だったんだよ。活躍すればする程威力が上がるからね」


「まぁ確かにアレは強力だな…聖女システムの解析を進めれば、イリアの必殺技になりそうだし……おっ、慈悲が起きるぞ」


 ゴゴゴゴ…地鳴りが響き渡り、霊山に変化が訪れる。

 霊山が競り上がり、どんどん高くなっていく。

 土や岩が剥がれ、生えていた木が次々と落ちていく。

 砂塵が舞い上がり、周囲一帯の視界は無くなっていった。


「秋は慈悲と闘ったんだよね?」

「あぁ。と言ってもあの本体じゃないぞ。俺が闘ったのは、なんというか…主砲だな」


「ほんと、よく生きていたねぇ…例えここが海でも闘いたくないよ…」


 砂塵により視界の無い空間で、秋はドーム型のシールドを発生させる。その目的は、砂塵を防ぐ事と…

 ――キュィィイイ!

 …無差別攻撃。


 視界が白く染まり、シールドに響く衝撃。

 砂塵が白い光によって吹き飛ばされ、視界が鮮明に映る。


「うへぇ…まじかよ」

「絶対種の中では最強の部類…毒酒と同じくらいの強さだね…性格を加味すると、慈悲の方が厄介かな」


 このまま闘いが始まれば、地図を描き換えないといけない事態になる。

 秋と溟海は、協力して大教会と周辺地域に結界を張っていく。


「…おっさんの華々しい死に様…見届けようぜ」

「そうだね。あれは無理だ」



 首が痛いほどに見上げて、やっと頭が見える真っ白い巨大な人型。

 太陽の光を反射する真珠のような身体。腕、脚、腹には球体が存在しており、白く輝いている。

 胴体部分から真上へ続く長い階段…その先、胸から肩には純白の城が存在していた。

 更に上、二つの目だけが存在する顔。そして頭頂部の双子山は、巨大な砲身となり肩部分に展開された。


 本当に生物なのかと疑いたくなる程に、機械的で無機質な要塞型の魔物。

 過去、神話の戦いでは…万の兵士の命と引き換えに初代聖女が封印に成功したと云われる。

 キャッスル・ソゥ・ジャッジメント。

 この純白の城に入れる者は、慈悲なる光に認められた者のみ。


『あぁ…永かったなぁ…同胞が来るまで待っていた甲斐があったよ……久し振りだなぁ…龍ちゃん』


「久しいな…慈悲よ」


『早速だが…八つ当たり、させてくれや』



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