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藍の饗宴

『アハハ』


『ウフフ』


 生まれたばかりの少女。


 誕生を喜ぶ様に少女が笑う。


 藍色の宝石で出来た様なその身体。


 藍色のドレスを纏い。


 腰まで伸びたその髪は。


 深海の藍色。



 外の景色を見渡して喜ぶ少女を眺めるカナン。


「泣きそうだ」


 絶望が押し寄せてくる。


「いや…ははっ、もう泣いてるかもしれないな」


 諦念がのし掛かる。


「前世の(おれ)の選択は正しかったって訳か」


 後悔に支配されていく。


「これは勝てない……」


 魔王種。


「こいつは別格」


 王種の中で最も有名。


「200年前とは違う」


 勇者が倒した魔王は、


「アレは人から成った紛い物」


 進化の秘術で進化した、人工の魔王。


「こいつは天然」


 王種最上位クラス。


「純粋なる魔法の王」


 魔王種青色。


「藍の魔王ディープ・ブルー。秋でも苦戦するんじゃねえか?」


 藍色の少女を見る。カナンと同じくらいの身長。周りが気になる様子でキョロキョロと景色を眺めてはニコニコしている。


「まだ……幼体。生まれたばかりだ」


 成体は大人の女性の姿。


「弱らせる事は出来る…その後は誰かが倒してくれるのを祈る…か」


 圧倒的な魔力を感じながら、心の中で逃げる算段をするが目の前に居る以上無理だと判断を


「それしかねえか、くそっ…どうすりゃいいんだよ…」


『フフフ、ウフフ』


「はぁ……長生きしたかったな…はは」


 諦めのカナンは乾いた笑いをするしかなかった。


『フフフ』


 笑うカナンを見て、つられて少女も笑う。見詰め合い、ギュッと締め付けられる感覚。力の差が歴然としていた。


『あそぼ、アソボ』


「ああ、遊んでやるよ…魔王」


『フフフ』


「はぁ…俺の気も知らずに嬉しそうに笑いやがって…」


 カナンは年齢に似つかわしくない深いため息で、魔王の笑顔を見詰めていた。


(生まれたばかりだ、知能は低いはず…大した魔法は撃てない…はず)



 カナンは気持ちを切り替えて魔力を練り魔法を発動していく。


 赤色と緑色の大きな魔方陣を展開した。


「まずは、俺からな?」


『イイヨ』


 魔方陣が輝く。


「ブレイジング・サイクロン!」


 紅く燃え盛る旋風が魔王を襲う。


 ゴオオオ!とうねる赤い旋風。


 旋風の中心に居る魔王。直撃しているが焦る表情のカナン。

「……(今の内に考えろ!何かあるはずだ!フィンブル・ガードはまだ機能している)…」



 やがて、旋風集束し晴れる。


『アハハあつい、アツイ』


 キャッキャッと笑う少女の姿がそこにあった。


「___嘘だろ」


 ____無傷


 あり得ねえ…声にならない叫びで頭が混乱していく。


『…つぎ、ワタシ?』


 ブンッ!青色の大きな魔方陣が現れた。


「っ!いきなり超位規模か!」


 首を傾げる魔王。

『アレ?』

 間違えた?と言う様な仕草で唇を尖らせている。


 発動した魔方陣が輝く。


 ヒョオオオオ!霊王の魔法を思わせるような吹雪が、吹雪が少年に叩きつけられる。


 バシュン!バシュン!と身体を叩く。腕を交差し耐えるが、


「ぐっ…ブリザード・ストライクかよ!」


 自身がよく使う超位魔法よりも威力があり、フィンブル・ガードが崩れそうになっている。


「ハァハァ…ハァ」


 なんとか耐えた…と呟きながら腕に付いた氷の塊を取り外す。


「俺の、番か…(なんで順番にやってんだよ)」


(魔王は完全な魔法体、そこに糸口があれば)


 あるのかよ…そう呟き、苦笑しながら魔法を発動。


 黄色の魔方陣を複数展開。


「ぐっ……がんばれ俺…これなら出来る気がする!」


 黄色の魔方陣が合わさり、1つの大きな大きな魔方陣に。


 魔方陣がピカピカと激しく輝きだした。


「…ぐっそっ……ギガ・タイラント・マグナム!」


 カナンは黄色魔法の禁術を発動した。


 遥か上空にある影、その影が。


 ゆっくりと墜ちてくる。


 大きな大陸が墜ちてきた。


 中心に居る腕を上に向けた魔王を押し潰す。


 ドオオオ!轟音が鳴り響く。


 ドオオオン!大陸が墜落した。


 前が見えない程の大量の粉塵が巻き上がる。


「ハァハァ…ハァハァ」


 もう満身創痍のカナンはエリクサーを飲みながら、次の攻撃を考える。


「……」


 粉塵が晴れる。


「ははっ…すげーなお前」


 カナンは称賛する。


 禁術を手で抑えたのだろう。


 綺麗な藍色の手がひしゃげている。


 ダメージを与えたのだろうかと思う程にニコニコとした表情を崩さない魔王。


『イタイ、ウフフ』


 痛いという手を気にした様子もなく微笑みを向け、


『つギハ、ワタシ』


 膨大な魔力が吹き出た。立ち昇る藍色の魔力。


『あ、コレダ!』


 やったー、と何かを見つけた様に喜び出した。


 そしてブゥン!と10メートルを超す藍色の巨大な魔方陣が現れた。


「デカッ!(ヤバいヤバいヤバい!)」


 あまりの大きな魔方陣に焦燥感に支配されるがもう逃げられない。


 魔方陣が激しく輝いた。


「……ん?」


 ポツ


「雨?いや違う!」


 ポツポツ


 カナンは頬に触れた雫を雨だと思い空を見上げる。


「……」


 ゴゴゴゴゴ


 空は快晴。雨雲があるわけでも無い。


 ゴゴゴゴゴ


 だが見上げると、そこには大きな大きな影が空にある。


 ゴゴゴゴゴ


「……海が」


 ゴオオオオオ!


 空を見上げる程の津波が。


 霊王が禁術で成し得た雪崩を。


 それを凌駕するほどの。


 まるで深海が襲ってきた様な藍色の海。


「なんだよこれ………っ!固有魔法か!」


 襲い掛かる津波による轟音が鳴り響き、森が濁流に流され、人間が太刀打ち出来ない自然災害が発生した。


 少年は深い森の中で深海に呑まれた。

ギガ・タイラント・マグナム~土属性複合禁術、遥か上空から浮遊大陸を墜とし、潰す


固有魔法~特殊能力、人間の中にも持っている者はいる

藍の魔王の固有魔法は海をある程度なら操れ、召喚出来る




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