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暗部の仕事。2

「……」


 刹那は戦慄していた。


 健次が…ガチムチな男の大便を、多方向から眺めている事に…

 健次の忍術…影分身を駆使し、あらゆる角度から観察。

 刹那の中の、変態の域を超していた。


(これが…暗部の仕事…いや、違う)


 暗部の監視は、見たくない物でも監視しなければいけない。

 だが、ガチムチ…騎士の男以外の所用は監視していない。

 刹那は、答えに辿り着いてしまった。


(あれが…棚橋のタイプ…か…)


 健次の秘密を知ってしまい、とりあえずパシャリと写真を撮る。

 グロい写真だが仕方無い。

 本体が動かず、分体の様子を見に行ってしまった事を後悔していた。

 これも友達のキャサリン(健次の恋人)の為…そう言い聞かせて本体の元へと向かう。



 ______



 月夜草探しはあれから進展せず、テントに籠るベルトニアはため息を付きながら将来の事を考えていた。


「このまま、降格したら…また周りにバカにされる…あの愚兄のせいで…」


 兄のベスタが不正を働かなければ、ここまで焦らずに済んだ筈…と思っている。

 貴族学校では、不正をしたベスタの妹と陰口を叩かれ、婚約も保留のまま進展は無い。早く婚約者を見付けなければ、行き遅れとしてまた陰口を叩かれる…そんな事が頭の中を駆け巡る。


「ベルトニア様、昼食の準備が出来ました」

「ええ…ありがとう」


 焦りから、騎士に対して冷たく当たってしまう自分に嫌気が差している。それでも、女性騎士には素直になれる。

 女性騎士もベルトニアの状況を解っているので、嫌な顔一つせず接してくれている事に感謝していた。



 ベルトニア達が昼食を食べている様子をボーッと眺めている健次の本体。

 暇…その一言に尽きる。

 暗部の役割なので仕方無いが、索敵をしても魔物は居ない。平和な木漏れ日の中で食事を取る貴族と騎士を眺めるだけの時間。

 忍者や密偵などに憧れは持っていた…だが実際にやってみると地味で暇な時間が大半。


(これ…俺じゃなくても良くね?)


 そう思える程に平和で、魔物は護衛が討伐するので出番は無い。

 ボーッとしていると、後ろからそろりそろりと忍び寄る影。


(あー……ん?)健次が後ろを振り向くと、不敵に笑う刹那が立っていた。

「__にょ!」


「__誰だ!」


 思わず健次が声を発してしまい、女性騎士が反応。

 平和な空気が一変。ピリピリとしたものに…

 騎士が声のした方へ歩み寄り、そっと覗き込むと誰も居ない。

 不振な空気を感じた騎士が警戒を一段階上げていた。


「…」



 その間、健次は今バレると面倒なので、離れた場所に退避。


「…音市…何してんの?」

「…社会見学」

「びっくりするから…急に現れないでよ…」

「私も…びっくりしたよ…」


 刹那はガチムチのアレを凝視している健次の写真を見せる。


「……仕事なんだよ」

「わかっているよ。わかって…いるから」

「ちょっ…少しずつ後退りしないで…ほんとに仕事なの! あのおっさん…一応要注意人物なんだよ」

「ふーん」

「興味無いのね!」


 秋に手伝ってあげてと言われた手前、刹那は一応手伝いたいとは思っているが…ガチムチのアレ以外何も面白みも無い。


「棚橋…今回はバイト代貰っているから手伝ってあげる。何かあったらこの魔法玉使って」

「…あ、うん。暇だから帰るのね」


 刹那は紫色の魔法陣を展開。バシュン__転移していった。


 残された健次は…深いため息を付く。

 魔法玉を見てみると、文字が書いてあった。

「召喚魔法・刹那たん……はぁ…何しに来たんだよ…」


 ______



 バシュン__刹那は秋の部屋に転移してきた。

 部屋には、秋と話しているティナ、アイと紅羽がタブレットを弄り、とりあえず空いているソファーに座る。


「ん? 刹那たん、もう終わったの?」

「酷く詰まらない物を見たから帰ってきた。何かあったら行ってくる」

「そうか。あっ…そうだ…みんな、聞いてくれ。女神の四神が死んだ影響で、封印されていた絶対種達が復活するらしいんだ」


「絶対種達? 全部で何体居るの?」

「それは、今調査中…記録に載っていない物もあるから…。解っているので…大教会の『慈悲』、南東の山脈に封印された『鋼鉄』、南の砂漠に封印された『黒氷』かな。後は他の大陸だけど、友好的じゃない奴も居るから気を付けて」


 秋の話を聞いていた刹那は、はて…と首を傾げる。


「南東…」



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