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家作成。

「あっ、家作るけど要望ある?」

「うん…ゆっくり出来るお部屋」

「了解」


 月読の部屋に転移陣を刻み、部屋を出る。

 大会は始まったばかり。大体一年~二年掛けて開催されるので、時間には余裕がある。


 秋は最上階に行くと、床にクターッとした毒酒とシルヴィ、椅子に座り難しい顔でタブレットを弄るキリエ。


「キリエ、家作るけど要望ある?」

「あっ、私はお部屋を貰えたら嬉しいな」


 秋に気付いたキリエが駆け寄ってきた。毒酒も秋に気付き、コロコロ転がりながら近付いて来る。


「秋、これ見て」

「ん? これはメールか。相手は、地球の神?」

「うん、古神に集団転移させられた少年少女を返したいって連絡したら、多分オッケーかな。条件が幾つかと準備が要る、って書かれているから」

「ありがとう。これで健次達が帰れる目処が付きそうだな…」


 名前は『地球を見ている神』と書かれているだけで解らないが、好意的な文章。古神が嫌われていたのかと推測出来る。


「地球は天異界同盟には入っていないみたい。でも仲良くなれる様に頑張るね! 秋も往き来が出来たら最高でしょ?」

「ありがとう、頼むよ。何かあったら直ぐに連絡してな」


 秋はまた明日…と言って、コロコロ近付いて来た毒酒を抱え、王都へと転移した。



 仮設住宅へ帰った時には夜になっており、住人達がノートを囲んで話し合っている。


「あき、おかえりー。あれ? 毒酒ちゃん」

「ただいま。字の勉強させてあげたいから連れて来たんだ」

「……よろしく」

「「「よろしくね!」」」


「ふっ、我が教えよう」

「紅羽は駄目よ。教えるの下手じゃない。私とリナちゃんで教えるから大丈夫」

「じゃあ、アイとリナに頼むよ」


 早速アイと毒酒は並んで座り、諦めきれない紅羽も座り、勉強を始めていく。



「秋ちゃん…勉強したいなぁ…ねっ、イリちゃん」

「うん。勉強したいなぁ…」

「…駄目だよ。内容がアレだから…」


 ジリジリと近寄って来るサティを躱し、乙珀を抱っこして盾にする。

 流石に乙珀が居ると強行手段を取れない様子で、サティが秋をジーッと見詰めている。


「あっ、そうだサティちゃん。今度帝国の皇帝に会いに行かない?」

「皇帝に? 良いけどなんで?」

「オード兄さんの新しい彼女を連れて来ようと思って…イリアも来るか?」


 秋がニヤリと笑い、サティもニヤリと笑う。首を傾げるイリアに説明すると、

「もう、仕方無いね」

 少し呆れた様子で笑っていた。



 ______



 翌日、家予定地の敷地内で、要望ノートを眺めながら魔力を練る秋の姿。

 アイ、紅羽、乙珀、サティ、イリアは手を繋いで秋を囲んでいる。王都の中では目立つ行為だが、高い塀に囲まれているので問題は無い。


 創星魔法で家を作ろうとしているのだが、シルヴィが忙しいのでサティとイリアが代役。


「……出来た、行くぞー。はいっ」

「「「創星魔法・創造世界!」」」


 金色の立体魔法陣が出現し、敷地内を照らす。

 すると、グググッと地面が迫り上がり、家の形に変化していく。

 見た目は四角い洋風な雰囲気。

 一分程で、家が完成した。



 女性陣と妖精達はキャイキャイ言いながら家の中に入っていく。

 秋は遅れて正面入口へ。両開きの引き戸の扉、表札には漢字で『秋』と書かれている。


 中に入ると広い玄関があり、その正面はグレートルーム…リビング、キッチン、ダイニングがひとつづきになった開放感のある広い部屋がある。

 右側はトイレやお風呂のエリア、左側はゲストルームなどがあり、グレートルームの奥は屋外プールやアウトドアキッチン。

 二階は皆の各部屋や寝室などプライベート空間になっていた。


「凄いなぁー。豪邸だ。庭には色々植物があるし…うわっ、精霊樹があるのは見なかった事にしよう…」


 一通り回り、不備が無いか確認。

 そして、一番気になっていた所…グレートルームへ。


「…なんでテレビあるの?」

「ウフフ、驚いた? 暇な時に色々観れると思って」

「何が観れるの?」

「天異界と繋がっているから、キリエ達とも話せるし、天異界チャンネルとか、天チューブとか…天異界のテレビゲームも出来るし…」

「突っ込み所が多いな…まぁ…時間は沢山あるから順番に観ていこう」


 二階にあるホールに天異界と繋がる転移陣を刻む。これでキリエ達も自由に来れる。


「ねぇねぇあきー」

「どうしたイリア?」

「大きい家は凄いんだけど…掃除とか家事や防犯はどうするの?」

「あー…全員が居る訳でも無いもんなー……あっ」


 秋はストレージから、以前ロブ王国の遺跡で回収した魔導兵03を出した。

 白銀の髪が背中まで届き、白銀の瞳をした女性型の魔導兵。

 何故かメイド服を着ている。


「あっ、レイちゃん…に似ているけど違うね」

「あぁ、ロブ王国の遺跡で回収したんだ。もう襲って来ないし…レイちゃんよりも新しい魔導兵だから…」


 胸の部分に手を当て、魔力を流すと03が起動。起き上がり、秋に一礼する。


「…マスター、おはようございます」

「おはよう、サーラ」

「私はイリア、よろしくね。サーラちゃん」


 03…サーラが微笑み、イリアにも一礼。

 イリアはサーラが微笑むと、魔導兵って笑うんだ…と驚いた。


「レイちゃんみたいに生活補助の機能があるから、サーラに家の管理をしてもらおうか」

「へぇー、凄いねぇ。そういえば世界樹にレイちゃん居なかったな」

「買い物に行っていたみたいだぞ。古代遺跡で見付けたタブレットに、魔導兵の状況や位置が載っているし」


「そうなんだー。サーラちゃん。みんなの所に行こ」

「はい、奥様」

「…奥様」


 イリアがご機嫌にサーラの手を引いて、グレートルームへ歩いて行った。


 秋は三階にある自分の部屋へ。

 三階は全て秋の部屋になっている。

 部屋の中は、タブレットやテレビ、ソファーなどがある執務室。奥に寝室がある。


 とりあえず椅子に座って、プチッとテレビを付けてみた。


『天異界ニュースステーション…TNSのお時間がやって参りましたー』

「なんだこれ、ニュース番組?」


『えー…死の星D7において、次元パトロール隊が突如失踪するという事件が起きました。現在調査中ですが、神々の皆さん死の星D7には近付かないようお願い致します』

「謎だよなー。次元も時間軸も違うのに、ニュース番組なんて…」


 プチッ__テレビを消す。


「ん? ストレージに何か入った?」


 取り出してみると、手紙が出てきた。『イカ一連ほど貰いました。G』と書かれている。


「あぁ、最近イカの減りが早いと思ったらグリーダの仕業か…まぁ、魚介類なら良いか…」


 秋は気にせずタブレットを使い、天異界の情報を頭に入れていく。



死の星にて、


「さぁ、帰りましょうかね」


グリーダはイカを食べ終え、元の星に向かって飛び立つ。


「なんか白い人影が沢山見えますねぇ、幽霊かな?__ベネディクション・レクイエムー」


祝福の光が死の星を包み、グリーダは結果を確認せずに飛び立った。




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