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碧の饗宴2

 直径5メートル程の青色の球が、魔方陣を刻んでいる。


 それを見る渋い表情のカナン。


「今の俺じゃ禁術は防げない……」


「絶界はまだ使えない……禁術の中でも変態的な魔法は、立体じゃないと展開出来ないってことは…だ」


 待ち構える脅威に備え防御魔法を発動。


 灰色と銀色の魔方陣を展開する。


 そして出来る限りの対策をしたカナンは、回転している霊王を見据える。


 一筋の汗が頬を伝い、


「威力が強いか、厄介か…どちらにしても大ピンチだ」


 やべえなー、と苦笑する。


「イモータル・シールド」


 カナンを強固な防御壁で覆う。


「一瞬の判断が命取り…か」


 霊王が光輝いた。


「来るならこい!」


 魔法が発動。


 そして


 …………「なんだ?_っ!」


 一瞬にして視界が白一色に染まった。


 周りは雪に埋まり。異様な景色に困惑する。


「攻撃…じゃない?ただの吹雪?いや、これは」


 辺り一面白銀の世界。


 青々とした木々は真っ白に染まり。


 生物の気配なぞ微塵も感じられない。


 ただひたすらに色を塗り替えていく白。


 違和感に気付き、


「寒い…ぞこれ」


 寒さを感じる。


「フィンブル・ガードを貫通する寒さ…ああ、そうか」


「これがヤツの絶対領域…地の利がすげえな」


「__環境魔法か」


 予想が正しければ、と確認の為魔法を発動する。


 赤色の大きな魔方陣を展開した。


「この魔法に名前は無い…人が辿り着けない領域の魔法」


「名付けるならニブルヘイムってか?…さみいなー。体温が下がっていく」



「ブレイジング・サン!」


 魔方陣が輝き、巨大な炎の球が出現。目の前に落下させる。


 シュッ…


 直ぐに鎮火した。



「……ははっ…やべーなコレ…」


 少しの沈黙、少し諦めの表情を浮かべ、苦笑した。


「強いわ」


 ゴ


「たぶん…これだけで終わらないよな…」



 ゴゴゴ



「くそッどうする?考えろ!」



 ゴゴゴゴゴ



「あんな頑丈な球壊すのに威力のある魔法なんて…あん?」



 ゴゴゴゴゴゴコゴ



(なんか音?遠くから…)



 ゴゴゴゴゴゴコゴオオオオオオオオ

「…まじか」

 オオオオオオオオオオオオオオ

「この吹雪で」

 オオオオオオオオオオオ

「雪崩かよ」

 オオオオオオオオ

「…おいおい」

 ゴゴゴゴ


「くっ逃げ道を!」

 急いで魔方陣を展開した。



 この吹雪で不思議と見える。


 とても高い、山の様な高い雪。


 雪の大地に語り継がれる。


 雪崩の悪魔の力。


 全てを、呑み込んでいった。


 ………………


 …………


 ………


 ……


 …



 ボコ


 バフッ


「ハァ…ハァ…ハァ」

 ガタガタガタガタ

「あぶ…なかっ…た」

 ガタガタガタ

(身体が震える)


 凍える身体に鞭を打ち、魔法を発動。


「ハイヒール。…この雪一粒一粒に魔力が宿ってやがる」


 身体中の凍傷が治っていく。


 頭をガシガシ掻きながら、


「あーくそ…打つ手がねえ…強すぎんぞ」


 フラフラと立上がり、浮いている碧い珠の霊王を見据える。


 霊王は先程と変わらずひびが入っている。


(回復はしないのか…)



「……」


「…ひび」


「増やす方法」


「いけるか、いや…やる!」


 最後の願いを込めて魔法を発動。


 緑色、灰色の魔方陣。


 緑色、青色、灰色の魔方陣を展開した。


「くっ……ロンジテューディナル・バイブレーション」


「トランスバース・バイブレーション」


 ヴヴヴヴヴ!


 縦の震動を与える魔法。


 ブブブブブ!


 横の震動を与える魔法。


 2つが混ざり超振動となって、霊王のひびを増やしていく。


 そしてバキバキと増えるひび。


 ヴヴヴヴ!

 ブブブブ!


「ぐっ……ぐあ…」

(2つの上位魔法はまだ早いか)


 だんだん霊王のひびが増えていく。


 バキッ!バキッ!「もう…少し」


 バキッバキッバキッ!


 ヴヴヴヴ!

 ブブブブ!


 バキッバキッバキッ!


「いけ…る」


 バキバキバキバキ!


 霊王が崩れ落ちる。ガラガラと砕けながら。


 …………


「やった…」


 安堵からか力が抜け、膝を付き崩れ落ちる。


 吹雪が止み、雪が溶けてきた。


「エリ…クサー…を」


 かじかむ手で、かろうじて飲む。


 カラン


「エリクサーじゃ完全に治らないとか…アホだろ」


 カラン


「身体が軋む、治るかな?」


 カランカラン


「勇者が勝てなかった訳だ…環境魔法とか強すぎん…ぞ?」


 カランカラン


 霊王アヴァランチ・ソウル・グランデは崩れ落ちた。


「なにか引っ掛かる」


 カランカラン


 ひび割れ崩れ落ちた霊王。


 丸い丸い卵のような丸い珠をしていた。


 天を見上げていたカナンは、うーん、と考える。


 カランカラン


「ん?」


 ふと霊王に目を向ける。


 ガラガラガラガラ


「う……わ」


 碧い瓦礫の中から生まれた。


 宝石の様に輝いて、(あお)(あい)


 照らすは深海の光。


 1メートルと少し、丁度カナンと同じくらいの身長。


 綺麗な輝く人型。


「ディープ……ブルー…だと」


 お伽噺話には続きがある。


「………」


 (あお)(あお)を倒した勇者は、(あお)(あい)に立ち向かう。


 少年はわなわなと戦慄する。


「…(あい)の魔王」




『キャハ』


イモータル・シールド~無、星属性複合超位魔法、不変の盾、防御力増大するシールドをはる


ロンジテューディナル・バイブレーション~風、無属性複合上位魔法、音波による縦波の震動を与える


トランスバース・バイブレーション~風、水、無属性複合上位魔法、電磁波による横波の震動を与える


環境魔法~禁術、周りを自分が思うフィールドに変える



秋は魔王をトイレに流したって事ですね



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