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お花見。

ゆっくり更新したいかと思います。

本編完結したので、三人称表記…『カナン→秋』に変更します。

 

 世界樹の下で、一同は闘いの疲れを癒す様に、暫しの花見をしていた。

 初めて会う者も居たので、軽く自己紹介を済ませる。その後は秋が作った弁当食べながら、再会を懐かしむ月読と、小さい紅羽を抱っこしているサティ、乙珀を抱っこするイリアが会話に華を咲かせている。

 溟海、天空、龍王の三人は世界樹と語り合いをしている。

 小さいシルヴィを抱っこするキリエと毒酒を抱っこしているグリーダも仲良く会話をする中、秋は座りながら小さなアイを抱っこして皆の語り合いを眺めていた。抱えられるアイは微笑みながら2体の妖精を手のひらに乗せている。



「アキ、みんな無事で嬉しそうね」

「あぁ、本当に皆が無事で良かったよ。もう、女神が居ないならゆっくり過ごせそうだし」

「あら、女神なら私達が居るじゃない」

「えっ、合体出来るの?」

「今は難しいけど、その内かな。あっ、最強の嫁決定戦しなきゃね」

「いや、それはやめて…いつぞやの歓迎会みたいにサティちゃんが張り切ると大変な事になるから…その前に世界が壊れるし」


 アイ達が合体した金色女神と、月読、サティ、イリアが本気を出すと間違いなく世界が壊れる。

 絶界を壊す程の攻撃力を持った創星魔法を使う金色女神、破壊と覇道の力を使いこなす破壊神月読、秘術で道連れにしてくる究極サティ、地味に強い時空聖女イリア。



「私達と、月読と、サティと、イリアと…そういえばグリーダは?」

「グリーダは…」

「マスター、呼びましたぁ?」


 毒酒を抱っこしながら、ペタペタと秋に近付くグリーダ。ふふふーと笑う姿はとても可愛いのだが…結婚に向かない性格なのは周知の事実。それでも秋は一応グリーダに聞いてみる。


「グリーダ、エンゲージするか?」

「あぁ…嬉しい申し出なんですが、出来なくなりました」

「ん?何かあったのか?」

「いやぁ…私の『すぴんおふ』が控えているので…」

「おっ、分かった」

「ちょっ…理解早すぎじゃないです?割りと断腸の思いなんですよ?」


 グリーダがクネクネしながら秋にアピールするが、効果は無い。その間、抱っこされている毒酒は秋をジーッと見詰めている。秋はグリーダを無視して、どうかしたのか?と問い掛けた。


「ねぇ…秋、キリエを貰ってあげて」

「キリエを?いや、本人の意思も大事だと思うけど…」

「キリエは今回の事で負い目があるから絶対言わない。邪神の身体から解放してくれた秋を、ずっと想っていたから…お願い」


 秋にとっては急な話なので、なんとも言えないのだが…毒酒はこちらを見たキリエを手招き。小さいシルヴィを抱えたキリエがやって来た。


「毒酒ちゃん、どうしたの?」

「秋がキリエを貰ってくれるって」

「__えっ!ちょっ…いや、だって…あの…」


 キリエは焦った表情でモゴモゴと呟く。毒酒が頑張れ、と声を掛けるがキリエは唇を噛み締めながら俯いてしまった。

 秋はどうしたら良いの?と毒酒を見るが、少し寂しそうな表情をして視線をさ迷わせている。視線を上に向け、グリーダを見ると…任せなさいというキメ顔を向けてきた。


「…グリーダ、何する気だ」

「別に、ナニもしませんよ。……と見せかけて強制エンゲージ!」

「「「えっ…」」」


 ギュンッ__グリーダの勝手な行動により、秋とキリエがエンゲージされる。更にキリエの抱えていたシルヴィも巻添えを食らっていた。

 何してんの?とグリーダを見るとサムズアップでウインクしてくる。順序を無視したグリーダに、毒酒が空気読めよとペシペシ叩いている。


「アホーダ!私まで巻き込まないでよ!」

「グリーダ…駄目だよ…解除してよ…」

「ふふふー、キリエさんには幸せになって欲しいんですよ。ちょっ、毒酒ちゃん痛い。只でさえこれからが大変なんですから、今の内にと思いまして…ちょっ、グーはやめて、本当に痛い」

「これから?」

「ええ、キリエさんはこの世界の天異界の長…古神倒しましたよね? そのせいで、今キリエさんが長なんですよ」

「……へ?」


 天異界の長が倒された場合、倒した者に長の権限が得られる。キリエが倒してしまった以上、必然的に成ってしまっていた。

 理解が追い付かないキリエに、グリーダが説明していく。すると、段々と顔が青ざめて来た。



「という訳でキリエさん、この世界の管理を頑張って下さい」

「い、いやぁ…」

「あーそれは、俺も手伝うから何でも言ってよ」

「秋ぃ…」

「と言っても、ここの天異界は最新式なんで、ほとんど自動化されていますけどね」

「そうなの?」

「えぇ、古神は見栄っ張りでしたから最新式の設備ですよ。良かったですね」


 自動化されているとしても、大変なのは変わり無い。主に天異界同盟会議という物に参加しなければいけないので、心労は絶えないのだが…

 それでも少しホッとした表情のキリエは、秋に向かい合ってお辞儀をする。


「あの…たまにで良いから…会いに来てね」

「あぁ、落ち着くまでは毎日行くから」

「ほ、ほんと? 嬉しいな…」


 恥ずかしそうに笑うキリエを見て、毒酒は安心した様にグリーダへの攻撃を止める。シルヴィは不機嫌そうにグリーダを見るが、話は終わったとばかりに月読の方へ逃げていった。


「くそっ、アホーダ…」

「シルヴィ、嫌なら解除するよ」

「秋の事は嫌いじゃないから解除しなくて大丈夫よ。イリアとも繋がっているし」

「なんでイリア?」

「昔イリアに助けられてね…初恋なの」

「ならまた会えて良かったな。イリアは時間を旅していたから、アイ達は初対面じゃないのか」


 キリエとシルヴィは月読の元へ。入れ換わる様に紅羽を抱えるサティがやって来た。



「…秋ちゃん、アイと紅羽が成長したら、天異界で…大乱交スパンシュブラジャーズを開催するから拉致するね」

「サティちゃん、それ色々駄目だから無理矢理語呂を合わせなくて良いからね」

「アキ、頑張るからねー」

「わ、我も頑張るからな!」

「紅羽、無理しなくて良いぞ。それより、サティちゃん。ちょっと表情が柔らかくなったね」

「うん、世界樹と繋がってから調子良いの。壁を越えた感じ」

「えっ…また強くなったの?」


 いつも気付いたら強くなっているサティに焦りつつ、秋はふと思う…特殊能力『自由で我が儘な時間』が無かったら月読、サティ、金色女神には確実に負けると…

 別にもう強さを求めなくても良いのだが、せめてまともに闘える様にしないとサティに拉致され続ける未来しか見えない。


 心の中でため息を付いていると、アイが秋に耳打ちしてヒョコッと降りる。そして紅羽、乙珀、シルヴィを呼びこそこそ話している。

 乙珀が行ってしまい、寂しそうな表情でイリアがやって来た。


「あき、乙珀達どうしたの?」

「ん?まぁ見てなよ。女神様の復活して最初の仕事さ」


 アイ達四人は手を繋いで輪になる。

 アイから青い光の柱が上がり、乙珀が黄色い柱を上げ、紅羽は赤い柱、最後にシルヴィの緑の柱が上がる。


「アキーよろしくー」

「はいよー」


 秋が青、黄、赤、緑に点滅する立体魔法陣を、柱の中心に展開。

 アイ、乙珀、紅羽、シルヴィの順番で立体魔法陣に柱を重ね、金色に輝く立体魔法陣が完成した。


「「「「創星魔法・創造世界!」」」」


 ハラリと薄紅色の花びらが落ちる。その瞬間、荒れ果てた荒野を埋め尽くす木々が生え、大きな森が形成される。

 そして、木々に花が咲き始めた。


「わぁ…綺麗…」

「壮観だなぁー」


 視界一杯に広がる桜の森。

 世界樹の銀色の花びらも相まって、桜吹雪がキラキラと輝いている。


「アイ、紅羽、乙珀、シルヴィ、お疲れ様」

「ウフフ、上手く行ったね」

「アキのクリエーション・ザ・ワールドを真似てみたんだ」

「ぱぱの好きなお花…上手に出来た」

「これは桜って言うのねぇ…綺麗」


 異世界の桜と日本の桜の融合。

 世界樹の力で桜の花が咲き続けるので、常に花見が出来る場所になった。もう、ここは魔の森では無くなり、桜の森と呼ばれる様になる。



「また他の皆も連れて来ないとなぁ…」

「ウフフ、そうね。リナちゃんは絶対喜ぶと思うわよ。だからここでエンゲージしてあげてね」

「…そうだなぁ…ん?月読、帰るのか?」

「あぁ、この世界に居るには結構魔力を使うんだ。落ち着いて話をしたい…だから、いつでも良いから私の部屋に来てくれ」

「あぁ、王国に帰ったら行くよ」


 真っ白い少女の姿の月読は、恥ずかしそうにしながら秋を抱き締め、天異界へと帰って行った。


「マスター、後でお話あるんで聞いて下さいねー。それじゃあ」

「あっ、アホーダ待って。私も行くわ」


 グリーダもキリエ、シルヴィ、毒酒を天異界へ送る為に転移していく。

 溟海、天空、龍王はまだ飲んで行く様子。

 秋、アイ、紅羽、乙珀、サティ、イリア、妖精2体は一度王国へと帰る事にした。


「じゃあ帰るかー」

「ええ、紅羽…乙珀、行くわよ」

「あぁ…」「うん…」

「ん?どうした?__ちょっ!」


 アイ、紅羽、乙珀が秋に突進。そのままスーッと秋の中に入って行った。


「…」

『上手く行ったわねー』

『あぁ、これでアキといつも一緒だ』

『お家まだ途中だから…一緒に作ろ?』

『凄いねー乙珀、これ月読と一緒に作ったの?』

『うん…お城』

『凄いなー乙珀、案内して』


 秋の脳内会話が一気に増え、更に妖精2体も突進。ポフッと秋の中に消えて行った。


「…」

『あっ、リーリアと矢印も来たわよ』

『よく入れたなー。一度融合しているから簡単?』

『ピンクがリーリア、ちょっと紫っぽいのが矢印だね』


 秋の脳内が騒がしい。


「…」

「あき、大丈夫?」

「…うん…まぁ…いつもの事だから…」

「…秋ちゃん、私も入って良い?」

「いや、サティちゃんは難しいんじゃない?」

「……秘術・エルフ注入」


 サティが秋を抱き締め、無理矢理秘術を行使。すると、ギュンッ__サティが秋の中に消えて行った。


「…は?サティちゃん?」

『何?秋ちゃん』

「入れたの?」

『うん…これでアキちゃんと一心同体。ふふふふふふふふふふふふふふふふふふ…』

「……」


『おっ、サティも来たぞ!』

『みんな、私もお部屋欲しい』

『一緒に作ろ』


 残されたイリアは、少し考え…「_えいっ!」秋に抱き付く。しかし、イリアは秋に入れず…ムスッとした表情を秋に向けて来るが、秋はそれどころではない。

 遠い目をしながら、脳内会話の相手をしていた。


 しばらくして、脳内会話が落ち着いた様子。秋は宴会中の絶対種達に声を掛ける。


「…溟海さん、天空ちゃん、先に帰ってるな」

「あぁ、今度は秋も宴会に参加だからねぇ」

「……ん」

「おうー、おっさんもまたなー」

「あぁ、近々遊びにいく」

「いや、来なくて良いよ」

「…」「…」


 秋はイリアと共にファー王国へ。積もる話が多すぎるので、ゆっくりと…


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