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天異界。7

 キリエ、シルヴィは白い階段を上がっていたが、途中で横道に逸れる場所を見つけた。


「シルヴィ、ちょっと寄り道して良いかな」

「ええ、良いわよ」


 二人は横道に入る。真っ直ぐと続く白い道。


 しばらく進んでいると、白い道から黒い道へと変化していく。


「ここには、破壊の神が居る筈…なんか、会わなきゃいけない気がするんだ」

「止めはしないけど、大丈夫なの?」


 黒い道を進んでいくと、円形のホールに出た。

 下に降りる階段と、扉が三つ並んでいる。

 その扉の、中央にある扉をノック。


 コンコン__


「…」

「…反応無いわね」

「…開けてみよう」


 ガチャ。扉には鍵は掛かっておらず、入る事が出来た。


『……』

「初めまして…かな。破壊神」


 中に入ると、円形の室内。中央にモニターの様な設備があり、椅子が設置してある。

 その椅子に座る人影…一言で言うと、真っ白い少女。

 真っ白な髪に白い肌。白い瞳。色素の無い少女。


『……神を滅するのか?』

「ええ、そのつもりよ」


 綺麗な音色の声色で、落ち着いた口調で喋る破壊神。

 破壊神という割には、力を感じない。

 少し考える様な素振りで黙っていたが、椅子から立ち上がり、キリエとシルヴィの元に来る。


『…一番上に居る奴に用事がある。私も行こう』

「…用事? 手伝ってくれる訳じゃなさそうだね」

『…今の私に闘う力は無い』


 闘う力が無いのは本当の事だろう。

 キリエとシルヴィは目配せをし、破壊神も連れて行く事に決める。


 部屋から出て、来た道を戻る。

 駆け足で進んでいるが、破壊神は付いてきている。

 そのままのスピードで、黒い道から白い道へと戻り、階段まで到着。


「用事ってどんな用事かしら?」

『…時が来れば解る』



 再び、階段を上り始めた。


「混沌の神とは、面識あったの?」

『…ああ、出ていく時にな』

「何か…話した?」

『…出ていったら死ぬぞとな』


 階段を駆け上がり、問題なく付いてくる破壊神に質問をしていく。

 淡々と答えてくれるが、その心は見えない。


 やがて、階段が途切れる。


 再び円形の踊場。

 待ち構えていたのは、女性の姿をした存在。


『待っていたわ。いらっしゃい、魔王』

「…シルヴィ、気を付けてね」

「ええ、キリエもね」


 キリエとシルヴィが握手を交わし、キリエと破壊神が奥の扉へと進む。



 その様子を、顔を顰めて見る女性。

 桃色の髪に、鋭い眼光。

 ゆったりとしたローブに、身長程の杖を持っている。


『あの子を解放したの?』

「あの子? 破壊神?」

『ええ、厄介な事をしてくれたわね。まぁ、あのお方が処理してくれるから良いのだけれど』


 冷えきった視線をシルヴィに向け、杖を構える。

 じわじわと魔力が溢れて来る。


「あなた、元人間?」

『ええ、絶望とやらを封印した功績で神格を得たのよ』

「…初代聖女…オリヴィア・ドーメル・クロスハートね」

『ふふっ、私も有名になったものね』



 初代聖女オリヴィア、人間が神格を得て成り上がった存在。

 伝説の初代聖女。


「キリエがクロスハートじゃ無くて、本当に良かったと思う」

『アレは紛い物。本物の聖女では無い』

「あら? でも、キリエは歴代最強聖女と呼ばれているのよ? それに、功績も歴代最高。 一人で世界を救った大英雄を本物じゃない?」


 呆れるわねぇ…と馬鹿にする表情で、オリヴィアに向けて鼻で笑う。

 オリヴィアの表情が曇りだす。

 キリエは、世界樹に愛された聖女。その聖女が多大な功績を持っている事が許せない様子で、シルヴィを睨み付ける。



『…クロスハートを受け継いでいない者は、聖女では無い』

「ふふっ、こだわりが強いのね。クロスハートなんて、ただの刻印じゃない。

 なら、何故キリエと闘うと言わなかったのかしら? 怖いんでしょう? 紛い物と呼んでいる存在に負けるのが」

『…黙れ』

「神なのに沸点が低いのね。まぁ良いわ。潰してあげる」


 聖女と魔王、遠い過去から続く因縁の闘い。


 聖女の根源とも言える存在を倒せば、聖女という存在は無くなる。


『……魔王は聖女に倒されるものよ。そう決まっている』


「…なら私が、この因果を断ち切ろう」


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