表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
218/285

これで私も、復讐者。

残酷シーンありですけど…まぁ、言わなくても今更ですねー。

 

 絵里香と歩実の絶叫をBGMに、御堂聖弥がオードを睨み付ける。

 どす黒い感情を纏った瞳。憎悪、憎悪、憎悪。負の感情が溢れてくる。

 茜しか目に入っていなかった聖弥…オードの存在を知ってしまった。


「何故、お前は茜の隣に居る。何故、そんなに近くに居る。その手を離せ。その場所は、ずっと俺の物だった。お前か。お前のせいか。お前が茜をそそのかしたのか。お前が。お前が。俺の茜を…」


「…何を言っているの? 私の恋人に妄想をぶつけないでよ」


「は? 恋人? こんな奴が? 俺は真の勇者だぞ? 俺の方が何倍も何十倍も良い男に決まっている! 茜! 目を覚ませ! この男に騙されている!」


 怒りの形相でわめく聖弥を、オードは黙って見詰めている。

 御堂聖弥は茜を長年苦しめた元凶。傷付けた元凶。

 ただ殺すだけで良いのだろうかと思ってしまう。



「…茜さん。こいつは、俺に任せて貰って良いかな?」

「…一緒じゃ、駄目なの?」

「これ以上、茜さんの近くに存在しているのが許せないんだ。お願い」

「…埋め合わせはしてよね」

「もちろん」


 オードが聖弥の胸ぐらを掴み、広い場所へと投げる。


 聖弥が転がり、立ち上がると足が動く。その足で、茜の元に行こうとするがオードが目の前に立ち塞がった。


「そこをどけ!」

「俺を倒せたらな」

「お前なんか!直ぐに殺してやる!」

「やれるものならな」


 聖弥が剣を構え、光魔装の準備に入る。

 オードは黙って、精霊樹の木刀を持ち光魔装が完成するのを待つ。


「その余裕、後悔する事になるぞ!」

「ああ、そう思うなら早く魔装してくれ……まだ?」




 ______




 オードと聖弥が対峙している光景を眺め、茜は自分のやる事に集中する。


 現在痛みに叫んでいる絵里香と歩実。

 指先から少しずつグラビティストライクが侵食している。ボキボキと骨を砕きながら、現在手を越えて、肘に行こうとしていた。


「やめてやめてやめてやめて!痛い痛い痛い痛い!」

「私も同じ事言ったんだよ。覚えてる?」

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」

「どうして謝るの? もう遅いのに」


 これから来る未来は変わらない。待っているのは死。

 拷問を受けている二人を見る残された勇者達は、恐怖に震えていた。

 どうして、同郷の者に殺されなければならない。突然やって来た死の恐怖に、泣き崩れる者、謝り続ける者、怒り狂う者が茜に生きたいと懇願する。


「そんな事言われてもね。大丈夫だよ、みんなは苦しまない様に殺すから」


 ニッコリと笑う茜に、自分達はもう助からないんだ…と諦めの心が芽生え始める。

 教会の騎士団が来てくれる事を願っている勇者には悪いが、ここには来ない。

 物陰に隠れている二人組が、既に仕留めていた。



 茜が黒い魔方陣を展開。

 勇者達の足元まで届く大きさの魔方陣に、恐怖が再燃する。


「あなた達に恨みは無いけど、あなた達のせいで悲しみを背負った人、何かを奪われた人が居るのは事実。私は代弁するだけだから……デスペリア・グラビトン」


 ズンッ!__


 勇者達が超位重力魔法に潰される。絵里香、歩実を残し、勇者達は命を散らした。

 茜はため息を付いた後、苦しんでいる絵里香と歩実の前にしゃがむ。


「ねえ、覚えてる? あなた達が私に言った言葉…」


 ガクガクと震え、今にも精神が壊れてしまいそうな二人に笑顔を向ける。


「一生幸せを奪ってやるから、感謝しなさいこのクズ。って言ったよね?」


 フルフルと首を振り、謝り続ける二人に構わず、黒い魔方陣を展開。


「この時を、ずっと待っていた気がする。私が、直々に命を奪ってやるから、感謝してね。クズ。…シュバルツシルト・ブラックホール」


 ドォゥン!__


 人の大きさ程の、真っ黒い球体が勇者達の真上に出現。

 次々と勇者の死体を呑み込んでいく。

 茜は両手を球体に向け、全力で制御しながら、ゆっくりと地面に下ろす。


 そして、生きたまま絵里香と歩実がブラックホールに呑まれて行く。その顔は、絶望に染まっていた。


 勇者達を呑み込んだブラックホールが消えて行く。

「……ふぅ」

 後に残る物は何も無く、人を殺したという空虚な感覚に襲われるが、やりきった感情の方が強かった。


「拷問してブラックホールに放り込むとか…人の事言えないよねぇ」


 これで復讐者の仲間入りかぁ…と激しい音が響く場所に目をやる。


 オードが聖弥と戦っている。


「私は、自分の為に戦って…オード君は、私の為に戦っている……埋め合わせをするのは私の方か…」




 ______



「はぁ、はぁ、何なんだ、お前は」

「…もう終わり?」


 白い光の魔装を纏う聖弥と、蒼い炎の魔装を纏うオードが対峙している。

 仲間を吸収し、レベルが跳ね上がった筈なのに、目の前に立つ蒼い騎士には全く攻撃が通じない。

 明らかに手加減されている。


 悔しい。悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい。

 憎い。憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い。

『くくくっ、楽しそうだな。勇者よ』

「__っ!その声はデュラントム!」


「ん?なんだ?」


『勇者よ。力が、欲しいのだろう?こいつを殺す力を!』


「ああ…力が欲しい…こいつを殺す力を!」


『くくくっ、合言葉は…魔王化だ』


「…解った。絶対に、お前を殺す! __魔王化!」



 御堂聖弥の力が増大していく。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ