久しぶり。
三日後…グリーダ達は、粉々に砕けた広場にやって来た。人の姿は無く、寂れた広場。
「じゃあ送りますねー。誰からイキますかな?」
「じゃあ私から行くね」
キリエが手を挙げ、グリーダの元へ。
グリーダが七色の魔方陣を展開する。魔方陣は徐々に上へと昇り、パァン!_弾ける。
キラキラとしたドーナツ状の光の輪が、ゆっくりと回転。
光の輪を見上げ、頷き合うキリエ達。
「じゃあみんな、あっちで待ってるね_ぅえっ!」
グリーダがキリエを担ぎ上げ、
「ほいじゃぁ、行ってらっしゃいませぇー!」
光の輪に向かってキリエをぶん投げる。
「きゃぁぁぁぁ!」
ものすごい速さでキリエは光の輪をくぐり、
バシュン!_
消えていった。
「…ふぅ、次は誰ですかな?」
「…グリーダ…ぶん投げるのは必要なのか?」
「ええ、必要ですよ。無理矢理、天異界へイクんですからね。魔法の力無しで、ねじ込まないと」
「…まぁ、必要なら…仕方ないか…次は我だ…」
次は絶望ちゃんを担ぎ上げ、光の輪に向かってぶん投げる。
「ぬぉぉぉぉ!」
キリエよりも速いスピードで突き抜け、
バシュン!_
消えていった。
「次はシルヴィさんですかな?」
「え、ええ…優しくお願い…」
シルヴィを担ぎ上げ、光の輪に向かってぶん投げる。
「ちょっ!速ぁぁぁい!」
目にも止まらない程の速さで突き抜け、
バシュン!_
消えていった。
残るは毒酒ちゃん。
「グリーダちゃん…ありがと」
「良いんですよ毒酒ちゃん。友達じゃないですか」
毒酒ちゃんと抱き締め合い、人差し指を立てて光の輪を操作。
光の輪を毒酒ちゃんに通し、
バシュン!_
消えていった。
「願い星ちゃん。みんな…イっちゃったね」
「グリーダちゃん。ぶん投げる必要無かったよね?」
「何言ってるの?毒酒ちゃんは私をアホなんて言わなかったよ?」
「友達は差別したら駄目なんだよ」
「願い星ちゃん。差別じゃないよ。
キリエはヒロイン枠を脅かす存在…
絶望ちゃんは私をアホーダなんて言うんだ…
シルヴィは私のケツが好みじゃないって言うし…
…だから、ぶん投げただけだよ?差別じゃないじゃん」
「…まぁ良いけど。なんか勇者達来たから移動するよ」
「抱っこしてー願い星ちゃん。扉開くの、結構疲れるんだよー」
「…もう、可愛いね。グリーダちゃん」
グリーダと月読は勇者達が到着する前に退散した。
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遠目に光の輪を見付け、粉々に砕けた広場に到着した勇者達。しかし、到着した頃には何も見付けられ無かった。
「なんだったんだ、あの光の輪は…」
「女神様かな?」
「だとしたら、声が聞こえる筈だろ?」
「むー…ここから出られると思ったのになぁ…」
勇者達は、カナンの呪いにより大教会の街から離れられない。自分達も逃げたいのに、街の人々が逃げだして行く様子を、黙って見ているしか無かった。
グリーダが大教会を壊して三日間。教会関係者と共に、グリーダの魔法で吹き飛ばされ、瓦礫に埋もれながらも、なんとか残った居住区で過ごしていた。
現在残っている勇者は、17名。何があるか解らないので、全員で行動していた。
「少し、調査しよう。何かあるかも知れない」
「うん。…あれ?誰か来るよ?」
「ん?本当…だ…」
広場に向かってくる二人組。一人は勇者達と同じ年くらいの金髪の男。もう一人は同じ年くらいの黒髪の女。
「茜さん、あれかな?」
「うん…ありがとうね。オード君」
「茜さんの為なら何でも出来るさ。一緒に罪を背負うくらい、なんでも無いよ」
「ふふっ、幸せだなぁ」
勇者達の一部が二人組を見て硬直している。
「誰だ?日本人?」
「う、わ、あれって…」
広場に到着した茜とオード。茜はカナンから御堂聖弥が魔王になったと聞き、オードに相談。
そのまま二人で大教会へ向かい、今到着した。
「嘘…でしょ…」
「あ…か…ね…」
「久しぶり、聖弥。…いや、魔王…あなたを、殺しに来たよ」
物陰から広場を覗く二人…
「ねぇ、願い星ちゃん。ちょっとあの二人、リア充過ぎない?あんな時でも手繋いでるよ」
「ラブラブだからね」
「ふーん……爆発しろ」
「グリーダちゃんが言うと本当に爆発するから言っちゃ駄目」
「………」
「アゴしゃくれさせても駄目だよ」




