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「アホーダちゃん、駄目だよ」

 ダンジョンの最深部。

 最凶の部屋に到着した、月読、キリエ、絶望ちゃん、シルヴィ、毒酒ちゃんは部屋の中央に向かう。


 中央には正座したグリーダ。


「「「「「…」」」」」


「キリエ様、絶望ちゃん様、シルヴィ様、毒酒ちゃん様。それと願い星ちゃん様。

 遠路はるばる、わたくしの部屋に来ていただき、誠にありがとうございます。

 F・グリーダちゃんでございます。

 先程は私の不手際により、多大なご迷惑をおかけしましたこと、心からお詫び申し上げます。

 念入りに確認していれば、防げた事態であり、認識の甘さを痛感いたしております。

 今後は二度と、このようなことがないよう、慎重に慎重を重ねて取り組む所存です。

 今後ともご指導ご鞭撻を賜りますよう、切にお願い申し上げます。


 改めまして、先程のお詫びを申し上げます。」



 リスポンした下着姿のグリーダが、正座をして真剣な表情で出迎えた。


「うん…まぁ助かったから良いんだけどさ…まだ…何も説明してないよね?」


「…前話を読みました」

「…」


「…グリーダちゃん…反省…出来たんだね…反省する頭があったんだね。嬉しいよ」


「願い星ちゃん…ありがとう。危うくこの家壊す所だったよ。眼鏡の変態兄さんに怒られる所だった」


 陰のある表情で、言葉を紡ぐグリーダ。

 月読は成長がみられるグリーダに感動していた。


 突っ込み所がありすぎて、他の四人は珍獣を見る様な目で見ている。



「さて、皆さん。天異界に行きたいという事ですが…」


「うん…でも、大教会壊れちゃったし…」


「その点は問題ありません。祈りの間にある女神像、それに埋め込まれた各属性石を使えば行けますが…探すのも面倒…ですよね?」


 大教会が壊滅し、祈りの間も壊れた。同意する様に喋るグリーダが少しずつウザくなっているが、突っ込むと喜ぶのでスルーしている。



「何か方法があるって言うの?」


「ええ、それはですねぇ!私が!私が天異界に送れば良いんですよぉ!」


「そんな事まで出来るのか?」


「まぁ、送れるのは一人ずつですけどね。それと、一つ…条件…というかお願いがありまして…」


「条件…それは何?」



 キメ顔で言うこの下着姿のヤバい奴に、何を要求されるのだろうか。キリエ達は心の中で身構えた。


 月読は、

「グリーダちゃん頑張って」

 両手を握り、応援している。



「私と!お!お!うぉ!」


「「「「…」」」」


「うぉ!とぉ!もぉ!だぁ!ちぃ!にぃ!なぁ!っとぅぇ!くぅ!だぁ!さぁぁぁい!」


「「「「…」」」」


「良く言えたね…グリーダちゃん」


 月読がウンウンと頷き、親友の頑張る姿に拍手で称えている。恥ずかしそうに顔を隠すグリーダはただ、仲良くなりたかっただけだから。



「…ごめん、ちょっと聞き取れなかった」

「友達になって欲しいって」

「まぁ、友達なら良いよ」

「友達…なるよ」


 毒酒ちゃんがトコトコとグリーダに歩み寄り、ギュッと抱き締める。

「あ、あ、ありがとう…ございます…」

 優しさに触れたグリーダの目から涙が溢れた。



 ______



 落ち着いたグリーダが、テーブルと椅子を出して皆を座らせる。



「それでですねぇ…あのぉ、言いにくいんですけどぉ…女神ってこの世界の願いを叶え続けて、結構力が増しているんですよ。

 多分私ぐらいの強さなんで、天異界に行っても皆さん殺されますよ」


「…やっぱり?でも行きたいしなぁ…強くなれる方法とかある?」


「うーん……とりあえず…皆でゆで卵でも食べますか。ちょっと待ってて下さい」


 グリーダが席を立ち、部屋を出ていく。キリエ達はゆで卵?と首を傾げ、月読はそういえば…と呟く。


「ゆで卵って?」

「反対側の扉に、星神獣・エッグが居るの」

「星神獣?」

「…聞いた事ある様な無い様な…」


 うーんと考えている間に、グリーダが戻って来た。手にはゆで卵が握られている。



「持って来ましたよ。もう茹でてあるんで、キリエさんから食べて下さい。黄身は見ずに、噛まずに一口で飲み込んで下さいね」


 何の変哲も無いゆで卵をキリエに渡す。


 言われるがままにゆで卵の殻を割り、剥いてみると綺麗な白身。ただのゆで卵だ。

 そのまま一口で、頑張って飲み込む。


「__んん!…ふぅ。飲み込んだよ」


「じゃあじっとしてて下さい…フォーチュン」


 キリエのお腹に魔法を掛ける。

 そして、再び部屋から出ていった。



「あの、何か変わった?」

「いや?でも必要な事なんだろ?月読」

「そう。グリーダちゃんはアホだけど頭は良いから」

「凄い矛盾した存在よね」


 その後も一個ずつゆで卵を持って来て、食べさせて魔法を掛けた。

 月読もゆで卵を食べているが、変わった所は無い。



「グリーダちゃん。何の意味あるの?」


「それは復讐…いえ、間違いました。ゆで卵ちゃんの能力をランダムで埋め付けたんですよ。

 リスポンするから沢山食べれますけど、フォーチュンを使えるのは一回だけですからね!

 数時間後に効果があります!」


「能力は何があるの?」


「卵肌です!お肌ツルツル!最高ですね!……あ、はい、すみません。ちゃんとあります。

 ……えーっとですねぇ…属性ダメージ半減、物理ダメージ半減、卵肌、魔力倍加、超回復、超逃げ足ですかね。

 因みに私は超逃げ足と卵肌をゲットしました!お肌ツルツル!ゆで卵ちゃんに感謝です!」


 しばらくして能力が付いた感覚。


 キリエは魔力倍加、超逃げ足、卵肌。

 絶望ちゃんは属性ダメージ半減、卵肌。

 シルヴィは魔力倍加、卵肌。

 毒酒ちゃんは物理ダメージ半減、卵肌


「…卵肌は必ず付くのね」

「ツルツル…ツルツル」

「まぁ、能力貰ったから良しとしよう」

「月読は?」

「全部」



「後は、ちょっと時間が無いので…そうですねぇ…3日くらいこのダンジョンで訓練して下さい。私が皆さんを強くします!友達ですからね!その後に天異界に送ります!」


「ありがとうグリーダ。でも、なんで時間無いの?」


「それはですねぇ、私は天異界に自力で行けないんですよ。だから、三日後くらいに◯ちゃんが到着して、上に居る◯◯が◯◯ので、そのパスを利用しようと思いまして…」


「アホーダちゃん、ネタバレしちゃ駄目だよ」


「あっ…」







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