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魔国に向かいます

 翌朝、朝の4時にカナンの実家の前にて健次を待つ。待っているのはカナン、刹那の二人。リーリアと矢印は精霊石の中でゴロゴロしている。


「来ないな」「…来ない」


 ニーゼッグ公爵家に行っている健次。一応向かっては来ているので少し待つ事に。


「…そういえばさぁ、健次結婚するんだって」

「へぇー。貴族と?」

「そう、見る?見事に洗脳されて結婚宣言するアホの姿」

「見たい」



 暇なので映像魔法で昨日の様子を見せる。


『アキ、悪いな。俺、彼女と結婚しようと思うんだ』


「なんか凄い腹立つ顔してるね」

「だろ?この自信満々な顔、殴りたくなる顔だよな…やぁ健次、おかえり」

「…ただいま。迷惑掛けたな…悪い」

「あー気にするな。良い経験になっただろ。ちょっと待ってて」


 途中で健次が帰ってきたが、刹那はまだ鑑賞中なので映像を流しておく。



『…心を奪われていました』


「この子可愛い。それに比べて健次の顔クソキモいね」

「……」

「だろ?俺の見立てだと人生の中でベスト3に入るくらい黒歴史だと思うんだけど…健次、どうした?」


 魂が抜けた様な顔をして頭を抱えているので、聞いてみる。相当恥ずかしいらしく、声にならない叫びをあげていた。


 しばらく健次が落ち着くのを待つ。



「悪い…落ち着いたよ。音市、生ゴミを見る様な目で見ないでくれ…」


「…生ゴミに失礼」「生ゴミ以下なの!?」


 再び声にならない叫びをあげる健次。刹那は遊んでいるだけなのだが、健次にとっては心にダメージを負っている様だ。



「棚橋…結婚するの?」「…悩んでる」


「別に結婚しても良いんじゃないか?キャサリンちゃん可愛いし性格良さそうだし。一応勇者だから身分差も無いだろ」


「そうなんだけどさ。まだ16歳だぜ?」


「貴族なら結婚しててもおかしくないぞ。重婚も認められてるし、早く決めないとキャサリンちゃん別の貴族と結婚するんじゃないか?」


「…」


 色々あったが、キャサリンの事を好きな気持ちは変わらなかったらしく、健次にしては珍しく悩んでいる。


 刹那は結婚賛成派。このチャンスを逃したら二度と来ないと、健次を脅していた。



「まぁ魔国に行ってる間に考えれば良いさ。1週間も居ないし」


「遠いの?」「飛行魔法で半日かな」


 以前より飛行速度は上がっているので、飛ばせばかなり早く着く。


 準備は終わっているので、路地裏からそのまま魔国を目指す。カナンが刹那と健次を浮かせて飛ばしているので、楽な旅路。


 飛び進んでいると、サティが付いてきている気配がする。恐らく暇だからストーキングでもするのだろう。いつもの事なので気にしない様にした。



「あっ、そうだ。人間って嫌われてるから変装しようと思うんだけど、どんなのが良いとか希望ある?」


「変装?コスプレみたいな感じ?」「そうそう。角付けたり、エルフも出来るぞ」


「私は師匠とお揃いが良い」「はいよ、エルフね」


「えっ?音市ってエルフの師匠居るの?」「…」

「えっ?無視?」「…何?早く決めて」

「聞いてなかった!」「…うるさい。黙って」


「はいよ、健次は町ゴブリンね」「勝手に決めないで!」



 結局健次はおでこに角を付けるだけになった。カナンが作った黒い角を魔法で接着。弱そうだが鬼族に見えなくもない。


 刹那は髪と目の色を緑に変え、回復魔法の応用で耳を伸ばして尖らせる。刹那はサティと同じボブカットにしているので、並んだら姉妹に見えそうだ。


 カナンもエルフに変装。刹那とお揃いにした。


 その後は雑談しながら魔国を目指す。エルフの国エルメスを越えて、広大な森に差し掛かると魔物の姿も見えるが、無視して飛び進んだ。



「リーリア、勇者達って今どこ?」

『んー?勇者?ちょっと待っててー』


「…ん?リーリアって誰?」「…可愛い妖精」


「そういえば…夢の中で妖精に会った気がする」


『明日くらいに魔国の王都に着くかもだってー』

「丁度良かったなー。じゃあ先回りするかー」


 今日中には着きそうなので、一安心。以前海に行った時の港町から、北の方角に王都がある。


 勇者達は他の街に寄る様子は無いので、他の街は安全と判断。王都に行ってどうするかを話し合う。



「とりあえず勇者達が来たら王都の魔族は危険だよなぁ…とりあえず健次に攻撃忍術でも渡すか…」

「良いの?ありがとう!」


 健次にトランスファーを掛けて忍術を転写。適当に忍術を覚えさせる。


「…私も魔法欲しい」

「超位魔法あげたでしょ?」

「禁術も」

「…うーん…変な所で使ったらお仕置きだよ」

「…エッチなお仕置き?」


 刹那にも魔法を転写。



「一応健次と刹那さんに忠告。勇者達が殺す気で来たなら、ためらい無く殺す覚悟を持ってくれ」


「…」「…」


 クラスメイトを殺す。この言葉が刹那と健次に突き刺さる。覚悟が出来るのだろうか。殺せるのか。そんな思いがぐるぐる回る。



「そんなの…出来るか解らねえよ」


「実際には殺さなくても良いけどな。ただ、覚悟があると無いじゃ生存率が違う」


「…分かった」


「悪いな…この世界じゃハッピーエンドなんて難しいんだ。よし、もうすぐ着く。先ずは魔王さんを拝見しに行きますか」




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