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そろそろ向かいたい

 とりあえずお茶でもと勧められ、カナンは二人に付いていく。冬なので家に入り、客間に入る。三人のお茶会が始まった。


 客間にはメイドと執事。微笑んでいるが執事の目がカナンを探る様に鋭い。



「ケンジさんの恩人だと聞きました。ケンジさんがここに居るのはアキさんのお蔭だって…だから…私の恩人でもあるんですよね」


「まぁ恩人なのは確かだな。健次はもうここで暮らすのか?」


「ああ。と言いたい所だけど、ニーゼッグ家の領地で暮らすよ。キャシーはニーゼッグ家を継がないからね」


「ふーん。へぇー。そぅー」


 ニコニコと笑い合う二人を見て、カナンもニコニコしている。洗脳されて結婚宣言をする健次の、黒歴史が出来たと心から喜んでいた。


 しかし違和感は他にもある。キャシーと呼ばれた少女、キャサリン・ニーゼッグに黒い部分が見えない。契約魔法を掛けたのは別の人物だと推測しながら話を進めていく。



「まぁ身分が違うだろうけど頑張って…(でも一応勇者だから健次の方が立場が上なのか?)…そうだ、二人の出会いは?」


「はい!お友達とお買い物に行っていたんですが、はぐれてしまった時に男達に拐われてしまったんです…その時にケンジさんに助けて貰って…」


「惚れてしまったと…」「はい…実は拐われたのは初めてじゃなくて、8歳の時にも拐われたんです。その時に助けてくれた人に雰囲気が似ていて…それで無理を言ってこの家に来て貰ったんです。それで、その人とは違うのは解りましたが、その時にはもう…心を奪われていました」


(この子は魔力が少ない方だし、健次を見る目は本物…白かな。だとすると親辺りが怪しい…それにしても健次の顔がデレデレしてキモいな。後で刹那さんに映像を見せよう)


 このままでも良いんじゃないかと思うが、健次の意志が解らない。結婚するのは良いが、隸属魔法はよろしくない。



「仕方無い…魔力を辿るか…健次、ちょっと目瞑って」

「ん?こうか?」「ありがと、じっとしててな」


「アキさん?何をしてるんですか?」

「ちょっと確認をね…俺との契約は生きてる…おー!凄いな!隙間に術式入れるなんて高等技術!…よし、解った」


 カナンの術式の隙間に入る高等技術、この魔法を使った人物に興味が湧いた。


 丁度近くに居たので「…ぐっ」密かにバインドで拘束。



「契約?術式?」


「キャサリンさん、気を悪くしたら申し訳無いけど、俺と健次はある契約をしている。そしてその契約の中に、この1週間の間に掛けられた新しい契約が入っていたんだ。だから、この家の誰かが健次に契約魔法を掛けた…でしょ?執事さん?」


「くっ…動けない…宮廷魔法士でも解らない程の隠蔽術式を…何者だ?」


「ロベルト?どういう事なの?」


 メイドも拘束して意識を奪っている…誰かを呼ばれると面倒だから。ついでに健次も拘束してある…喋るとウザイから。



「執事さん、キャサリンさんには後で説明してあげなよ。で?あの魔法を掛けた理由は?」


「…」


「だんまりか。別に良いけど、自害しようとしても無駄だからなー。それに、キャサリンさんに全部話すぞ?」


「…それは勘弁してくれ。理由は…お嬢様の為…それと…健次殿には公爵家で働いて欲しいと頼んだが断られてな…これだけの能力は逃したくは無かったんだ」


 だからと言って隸属魔法は頂けない。意志を曲げ、イエスと言わせるタイプの魔法。


 キャサリンはどんどん進む話に付いていけない。オロオロするばかり。



「時間を掛けて信頼を得れば良かったのにな。解除しても記憶は残るから(どの道信用は無くなるけど)」


「…確かにな。まぁでも、どの道私は投獄される」


「それは俺が証明したらだな。宮廷魔法士でも解らないんだろ?」


「それは、そうだが…どういう事だ?」


「証明するとか面倒なんだよ。宮廷魔法士や役人の前で解析魔法の披露をしなきゃいかんし、その後の面倒を考えたら割に合わないって事で執事さんは投獄されないよ。あっ、執事さんはこの仕事辞めたら駄目だからね」


 ロベルトはカナンが何を言っているのか理解出来ない。隸属魔法の使用は法律で禁じられている。報告すれば賞金が出る程に重い罪。通報するのは当たり前だと思っていた。



「何を…望む」

「何をってあの魔法だけは解除してやんなよ。一応健次は大教会の勇者なんだからさ」


「_っな!勇者!」

「へっ?勇者…様?」


「おーっと口が滑ったな。聞かなかった事にしてくれ。執事さん、健次に来るなら出発は明日の朝4時って言っといてねー。ほいじゃあ帰るわー」


 ニヤニヤするカナンの用件は済んだので帰る。帰り際に全員の拘束を解除。ロベルトにまた会いに来るとだけ告げ、窓から飛び立った。



「あー…楽しかった。あの執事さんはグリーダと一緒に隸属魔法を掛けた一族だと思うから色々聞きたいな。とりあえず明日が楽しみだなー」




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