パワーレベリング5
青の扉までゆっくり下りて行く。途中の踊り場でジュエルタートルを「グラビティプレス」ズンッ!撃破し「ああ…亀さん」
次の赤青の殺人熊を「サンドストーム」撃破。「ああ…熊さん」
そして不定形の魔物。サファイアスライムを「ファイアストーム」焼き付くした。「ああ…ドドエリアドドールさん」
「もう行ける?次は王種級魔石な。マナ・フュージョン。っとこれでレベル40かな。どう?」
「くっ…凄い…今までのレベル上げがクソみたい…でもこの青のエリア?は可愛い魔物ばっかり…心が痛い」
「えっ?可愛いか?「可愛いの」あっはい。可愛いですよね音市さん「棚橋…魔物と私、どっちの方が可愛い?」…音市(音市の目が怖い…アキ…助けてくれ)」
カナンに助けを求める視線を送るが、チラ見をされ「リア充が」一言。自分の方がリア充のクセして何を言っているんだ…と強く視線を向けるが今度はチラ見すらされない。
「このダンジョンはマスターが4人居てな。その内の1人が可愛い物が好きなんだよ」
「へーそうなんだ。ダンジョンマスターに会った事あるのか?」
「まぁな。お前らも会っているぞ」
「えっ?だれ?そんな奴居たっけ?」
「……もしかしてアキ?」
「正解。このダンジョンは俺と…あと3人の4人で作ったんだよ」
「「……」」
二人の同じ事を考える。こんな最高位ダンジョンのマスターになれるなど、道理で強すぎると思った。
「その、仲間?はアキと同じくらい強いのか?」
「そうだなー。みんな魔王より強いぞ」
「…もうさっさと魔王倒してくれよ」
「俺の仕事じゃないから嫌だよ。それに魔王倒したら面倒なんだよ」
「面倒って、倒したらゲームみたいに裏ボスとか出るのか?」
「そうだぞ。俺の時は邪神が出たからなー。だから下手に魔王なんか倒したら世界が滅ぶんだよ」
さらっと言われたが「「邪神?」」もしかして目の前にいる少年は凄い人なんじゃないかと思い始める。今更だが。
「ちょっ、ちょっと待てよ。魔王倒した事あるの?」
「いや?倒したのは勇者だよ。俺は見てただけ」
「じゃ、じゃあ邪神を倒したのも勇者?」
「それは俺だな。まぁこの話はどうでも良いから先行くぞー」
どうでも良くない。声を揃えて言おうとしたが、さっさと階段を下りるカナンに急いで付いていく。
「棚橋…アキって凄い人なの?」
「まぁ教皇さんは凄い人って言っているけど、詳しく聞いて無いから分からないんだよなー」
やがて青の扉に到着。超ゴージャス綺麗な水華をさらっと撃破し、青い宝箱の部屋に入る3人。青の宝箱を開けてメッセージを確認。
「宝箱は…青水晶と忍玉と魔法玉だな。__マ、マスター!ゆで卵を!ゆで卵を作ったんですが!何故にゆで卵が襲ってくるんでぃすかー!駄目!ゆで卵ちゃん口の中に入ろうとしないで!助けて願い星ちゃ_ぎにゃぁああ…!__…絶対俺の前で料理するなよ」
遠くで何か叫び声が聞こえ「ああぁぁ…!超爆滅災迅!_なっ!なんで効かないのぉぉ!」ゆで卵と死闘を繰り広げる爆発音が響いた気がした。
とりあえず健次に忍玉を渡す。中身は収納の術。魔法玉はアイシクルレイン、アイスガトリング、ウォータープリズンの魔法。
「収納の術は隠れて使えよ、面倒になるから」
「そうなの?空間属性?国が動いて奴隷化される?まじ…」
「また上級魔法…この魔法をくれたのもアキの仲間?」
「仲間と言えば仲間かな?…可愛い奴だぞ」
健次と刹那は恩のあるダンジョンの管理者に感謝の念を送る。健次は可愛いと聞いて、アキが褒める程の人ならきっと素敵な人なんだと想像。刹那はこんな自分に良くしてくれる尊敬出来る存在だと感じ、直接感謝を伝えようと心に決める。
その管理者は。
「ねぇ!願い星ちゃん!マスターが私の事を可愛いって!可愛いって!可愛いって!ねぇ!聞いてる!?「グリーダちゃん後ろ」なにさ!_あっ!しまっ_もがっ!んー!んー!んー!」
カナンにアシストされたゆで卵の捨て身の攻撃により、もがき苦しんでいた。
「さっ次は銀のエリアだ。とりあえず銀の扉まで行くぞ」
「うん」「了解」
健次と刹那は疲れていない様子なので、刹那を強化しながら階段を下りていく。
途中天使や悪魔が出現したが、カナンは「何故おっさん天使やババア悪魔ばかりなんだ…」遠い目をしながら瞬時に超位魔法で撃破していく。
「くそぉ!デスペリア!グラビトン!」ズンッ!!
「アキ…なんか怒ってるの?」
「いや、多分アキの中で理想と現実の葛藤があるんだよ。前よりもペース早いなぁ…サキュバスのババアが出てから魔法がオーバーキルだ」
やがて銀の扉に到着。健次と刹那は魔物の威圧を受け続け、刹那はダウンしたので健次は刹那を担ぎ、息切れをしながらなんとか早歩きのカナンに付いて行った。
「はぁ、はぁ、アキ…ちょっと休憩…」
「…あっ悪い。ちょっと夢中になっちゃった。ちょっと銀の扉を覗いて来るな」
「…棚橋…ありがとう」
「いや、まぁ、置いていく訳にはいかないからな」
カナンは銀の扉を少し開けて覗いてみる。中には2人の姿。正座している月読の膝に顔を埋める琴美が居た。
「うえぇーん!ゆで卵のくせに!ゆで卵のくせに!願い星ちゃーん!なぐさめてよー!」
「よしよし」
琴美の頭を撫でる月読と目が合った。そして月読が首を横に振る。
パタン。とりあえず扉を閉めて月読に念話をしてみる。
(月読…グリーダどうしたの?)
(グリーダちゃん…自分で作ったゆで卵に殺されて、控え室送りにされたから…心に傷を負ってるの。今なぐさめてる)
(そうか…ゆで卵…可哀想に。でもなんで銀の部屋にグリーダが居るんだ?)
(…部屋のボスの座をゆで卵に奪われちゃった)
(なにそれ?ゆで卵はそんなに強いの?)
(多分…グリーダちゃんが死んで、直ぐに離脱したから闘ってはいない。でもグリーダちゃんの魔法は効かなかった)
(…俺に出来る事はあるか?)
(ずっとこの調子だから…多分秋には会いたく無いと思う。今日は私がなぐさめるから、そっとしといてあげて)
(わかった。頼んだよ)
ふぅーっと一息付いて、健次と刹那に帰る旨を伝える。
難しい顔をしているカナンに健次と刹那は首をかしげるが、素直に同意。カナンと一緒に魔方陣に乗る。
バシュン。入り口の踊り場に転移した3人は、そのまま教皇の部屋に向かう。
途中「刹那ー!何処に居るのー!」刹那の姉である永遠の声が聞こえたが、カナンはスルー。健次と刹那はビクビクしている。
階段を上がり、教皇の部屋に到着。誰も居ない様子なので勝手に入り、教皇を待つ事にした。




