パワーレベリング3
「ウィルダネス・サンドストーム」
ゴオオオ!特殊な砂嵐が超ゴージャス綺麗な水華を包み込み、全てを枯らす。
その様子を見て「ああ!綺麗だったのに!」呑気に叫ぶ健次。
「花弁が健次の頭に触れた瞬間に死ぬから、早めに倒したんだよ」
「えっ?まじかよ…綺麗な華にはなんとやらってヤツか」
超ゴージャス綺麗な水華の魔石を拾い、宝箱の部屋へ。レベルアップは最後に纏めてやるので今は貯めている。
中に入り、宝箱を開ける。中には玉が2つ。蓋の裏には古代文字が刻まれていた。
「今回も忍術入っているのかな?ワクワクする」
「あーそうみたいだぞ。また何か書いてあるな…_そういえば願い星ちゃんはどこに居るんですか?お話をしたいんですが…琴美より_…後で来るぞ」
青水晶と忍玉を取り出し宝箱を閉める。遠くの方で「…しゃぁ!殺ったるでぇ!」何か聞こえたが気のせいだと流し、健次に忍玉を渡した。
「ありがとう。じゃあ使うな。……_おお!来た来た!…霧隠れの術と水蜘蛛の術と水呼吸の術。攻撃系統は無い?まだ早い?そりゃそうだよなぁ」
「一応攻撃系統は俺が教えるよ。補助系統の忍術の方が習得が難しいんだからお得だぞ?」
「そっか!ありがとうございます!ダンジョンさん!」
新しい忍術を得てウキウキの健次。使おうと思ったが基本的に水辺じゃないと使えない事に気付き、またの機会に。
「そいじゃあ銀のエリアに行くかー」
「おお!なんかダンジョンツアーみたいだな!銀って何属性?星?そんな属性あるんだ。カッコいいな」
宝箱の部屋を出て、階段を下りていく。やがて踊り場にたどり着いた。
「寒気が凄いんだけど…大丈夫これ?」
「どんな敵かなー……うわ…エルダー・リッチ…いきなり王種級かよ…」
ボロボロのローブに豪華な王冠。宝石の付いた杖を持つ不死者の王。エルダー・リッチが出現した地域には死が付いて回る。一万もの魂を喰らうまでは死を振り撒き続ける存在が「ホーリーレイ」一瞬にして灰になった。
「_っはぁはぁ…怖かったー。…なぁ、エルダー・リッチって魔王の一角って聞いたけど…」
「まぁ人間の間ではそうだなー。でも光属性にとことん弱いから雑魚だぞ」
「いや、それアキだけな」
魔石を回収して階段を下りていく。踊り場に到着。
「ここのエリアになると王種級が多く出るのかな?」
「んー多分そうだと思うけど、どんな魔物が来るか予想出来ないんだよなー…おお!天使だ!初めて見…た…」
空中に浮く光輝く存在。純白の羽を羽ばたかせ、細剣を持ちこちらを見据える微妙にカッコいいおっさん。
カナンは無表情で魔方陣を複数展開。黒銀の魔方陣を重ねる。
「ダークネス・フォース!」
ギュン!闇に呑み込まれ消えていくおっさん。
少しすると、カランと魔石が転がる。
「…アキ…「分かってる…天使は美少女以外認めない」…あれは天使じゃなかった。そうだろ?」
二人が握手を交わした瞬間だった。
親睦を深めた師弟は階段を下りていく。途中に出てきた悪魔達を軽く殲滅し、下へ下へ。
「白色と黒色の魔物がメインか。星属性の魔物は流石にいないよな。いないよね?性能がブッ飛んでいそうだから未知数だ」
「その前に敵が強すぎだよ。ゲームクリア後ダンジョンって、こんな感じなんだろうな…なんか聖弥達がちまちま頑張っているのがアホらしく感じる」
「アホなのは確かだな。訓練見たけどあんなんじゃいつまで経っても王種級には勝てない。まぁ全員レベル100になって頑張れば魔族の王都くらいなら落とせるかな?」
「魔族の国って、人間の国とそんなに変わらない普通の国なんだろ?ただの戦争だよなー」
雑談しながら雑魚敵を倒していく。やがて銀色の扉に到達した。
「さて、誰が居るのかねぇ」
「ここのボスは知らないのか?」
「いや、本来のボスは外出中なんだよ。だからどんな奴がいるか分からないんだ」
「ダンジョンのボスは外出って出来るんだ…世界大丈夫か?」
銀色の扉を少し開けて覗いて見る。「……」こいつなら大丈夫だと判断して健次に見せてみた。
「な、なぁ本当に大丈夫?今までで一番強そうだけど…ってか一番高級そうだな」
「そうだなー…ドラゴンとかの上位種の上に、魔王とかの王種があるだろ?その上が魔皇とかの皇種、そして更にその上に三種類の最強種がいるんだ。女神とか邪神の神種。王種等が進化の果てに行き着く超越種。太古より星を守る存在の絶対種」
「最強種は知らなかったな。で、あいつは何種?」
「あいつは違う存在、絶対種だったんだけど、闘いの中で進化してあの姿になったんだ」
カナンは扉を開き中に入る。健次も付いてきたが、ボスの存在感にビビっているので入口で立ち止まっていた。
「ぜっ、絶対種…最強種が、進化した、存在なんて、勝てる、のか?…くっ圧迫感が今までの比じゃ…」
「大丈夫。こいつは俺が一度倒しているからな」
ブォン!七色の立体魔方陣を展開。健次を守る様にボスの射線状に立つ。
七色の光に照らされたボスの姿。
全高5メートルを越える腰から上の、赤と黄色に煌めく姿。後ろが透ける程の透明度を誇り、動く必要の無いと言わんばかりの堂々としたダイヤモンドの身体。
「超越絶対種・ダイヤモンド☆アグニ…銀色の部屋だからって星マーク付ければ良いってもんじゃねえだろ…どこぞのロッカーみたいな名前になってんぞ」
『オオオォォォォ!』「ひぃぃぃ!」
戦闘を開始する雄叫びをあげ、赤色の魔方陣が複数出現。
カナンは真っ直ぐダイヤモンド☆アグニに向かって歩く。
ゴオオ!赤色のレーザーが迫り「収納」カナンが手を伸ばすとフッと消える
ダイヤモンド☆アグニは赤色の魔方陣を重ね
ゴオオオオ!極太のレーザーを放つが「収納」カナンには効果は無い
やがてダイヤモンド☆アグニの目の前に到達。腹の部分に手を添え「崩壊」分子を崩壊させダイヤモンドの身体を砕く
「パーフェクション・ストレージが使え、星属性を強化した今…もう藤島秋を超えている…後はここの最下層のボスを倒せるぐらい強くなれば、皆を守れる…」
健次は強大な存在が呆気なく崩れ去る光景を、呆然と眺め自分が到達出来ない遥かな高みを直に目撃した。
上を眺めるカナンの元にダイヤモンドの粒子が舞い、輝く雪が降る様にキラキラと景色を映す。
「もう一度聞くけど…こちら側に来れば、遥かな高みから勇者達を見下ろせるぜ。俺の所に来るかい?」
「そこまでは高すぎて行けないぞ。まぁ中腹だとしても充分過ぎるよ。是非ともお願いします」
ははっと笑い合い、魔石を回収して宝箱の部屋に行く。
健次は自分を強くしてくれる師匠になる少年に、一体何が出来るだろうか、恩返し出来るだろうかと考えるが、忍者としての力を発揮する以外に無い。まずは技術を学ばなければならないが、ひねくれた師匠を見て不安で一杯になっていた。
宝箱の部屋に到着。中心に銀色の宝箱。開けて中を確認する。銀水晶と忍玉が入っており、蓋の裏には古代文字。
「えーっと_(秋、さっき着いた。ちょっとグリーダちゃんとお話してくるから、長くなると思う。月読より)_なんでわざわざ宝箱で連絡するんだよ…」
遠くの方で何か声と爆発音が聞こえる。「オラァ!抜け駆けしよってからにぃ!」「グリーダちゃん見てコレ。指輪」「むっきぃぃぃぃ!」お話が盛り上がっているんだなー、後で覗きに行こうかなと思いながら健次に忍玉を渡す。
「ありがとう。銀色ってどんなのだろ?……_おお!肉体強化の術、術合成、術強化。…凄いけどまだ使いこなせそうに無いよな…」
「そうだなー。星属性で強化、合成した忍術ってかなり強力だから、今の所は切り札的存在かな」
「切り札!必殺技だな!攻撃の忍術無いけど!」
「そうだ、ここで強化してくか。次のエリアは雑魚敵のレベルが跳ね上がりそうだからな」
ドンッ。ストレージから時間加速の効果がある時空の家を取り出す。
「へ?家?」
「時間掛かるからこの家の中でやるぞー。入って」
見た目は3メートル四方の小さな家。中に入ると豪邸並みの広さを誇る。健次は中に入り呆然と内観を見渡す。
「さっ、レベルアップの時間だ。俺が持ってるいらない魔石も使うから…覚悟しとけよ」
「お、お手柔らかに……「マナ・フュージョン」_っあひぃぃ!」
時空の家に健次の叫びが木霊する。
ダンジョンの最下層では
「あっ、ちょっ!願い星ちゃん!まっ、待って!あっ!ぎゃぁぁぁぁぁぁ!」
喧嘩を売って返り討ちにあっている者の叫びが木霊した。




