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パワーレベリング2

「ところで健次ってレベルいくつなの?」


「今上がったので5」「弱っ」



 カナンと健次は階段を下りながら、ある程度レベルを上げてから忍術を使って行く方向に決めていた。



「じゃあはいこれ、ダークドラゴンの魔石」

「お、おうありがとう」

「マナ・フュージョン」


「ぐおっ!…すげえな…これでレベル6…ってかこんな貴重な魔石ポンポン使って罪悪感半端ねえんだけど…」


「雑魚敵は踊り場に来たら復活する仕様みたいだから、全く貴重じゃないぞ」


「それ言えるの…アキだけじゃねえか」



 ドラゴンなんて普通下級魔法じゃ殺せない。10人以上がチームを組み、作戦を練りに練り、数時間掛けて倒すのが一般的。


 現に先程作戦会議をしていたばかりだ。



「そういやうざクソ(聖弥)はレベル幾つ?」


「なんか含みがあるけど…確か40とかだった気がする」


「ふーん。あれで40か。80まで行けばドラゴンぐらいなら闘えそうだな…技術があればだけど」



 上限は分からないが、もうレベルが上がりにくいからダンジョンに挑戦したと推測。付き合わされるゴイームに心の奥底でエールを送り、階段を下りていく。



「少し長くなったのかな?…おっ次は、「ギャオオオ!」ブラックドラゴンか…ダークとブラックの違いって何だろうな…ホーリーバレット_バシュン!_」


「なぁアキ、アキが魔王倒せば良いんじゃないのか?」


「えっ?やだよ。それは勇者の仕事だし。それにこの世界の魔族は害悪じゃないぞ」


「えっ?そうなの?じゃあ教会は間違っているのか?」


「まぁ昔から人間と神は協力関係にあったって事だな。話がややこしくなるからまた今度。これを言っても皆信じないから言わない方が良いよ」


「そうだよな…そもそも俺が言っても信じないし」



 はははっと乾いた笑いで遠い目をする健次。召喚されてからの出来事を思い出して更にため息を付く。



「役立たずのヘタレって言われて終わりだな。まぁ良いんじゃないか?健次はこれから自由に生きれる訳だし」


「自由って?あー教会の契約か…アキ、ありがとう。本当にありがとう」


 しっかりと頭を下げてお礼を言う健次に、カナンの顔が綻ぶ。お礼を一言も言わないどこぞの聖女とは大違いだなー、と思いながら健次はしっかりと鍛える事に決めた。



「ははっ、良いんだよ。まだ始まったばかりだからな。あぁそれと、元の世界には帰れないからこの世界の勉強はしっかりとやんなよ」


「あーやっぱり帰れないパターンか。俺ライトノベルとか読んでたから覚悟はしてたんだけど…わかった。勉強はしっかりとやる。ありがとう!」



 徐々に明るさを取り戻していく健次に、勇者リストを見せながら見下していた奴らを聞いてみた。半分以上は該当。裏で陰口を言う奴らは分からないので、忍術の修行がてら自分で調査してみるそう。


 雑談しながら踊り場のドラゴンを倒していき、階段を下りる。その間はレベルは上げずに6のままにしてある。


 やがて紅羽の扉に到達した。



「うわ…ラスボスの扉みたい…ここが最深部?えっ?違うの?」


「ここに王種級のボスがいるから、そいつらの魔石でレベル10になったら今日は終わりにしよっか?俺はその先に用事あるけど」


「いや、戻っても仕方ないから付いていくよ。王種級ってどんだけ強いの?」


「了解。王種は…そうだね…さっきのドラゴンの50倍くらい?「まじかよ…」もっと低いかな?わかんねえや。じゃあ転移は使わず階段で黒の扉まで行くか」



 ギィ。両開きの扉を開けて、二人で中に入る。今までとは違う圧迫感に、健次はびびりまくっている。


 中に入ると、赤、白、蒼、黒の龍がお出迎えし、健次はブルブル震えていた。



「「「「グルルルル!」」」」


「んー?トゲが増えてる?倒したから強くなったのか?それとも人数?」


「あ、あ、あき…俺…息が…」


「あぁごめん10秒待って」


 魔方陣を展開。白と青。


「シャイニング・ブリザード」


 ヒョオオ!輝く吹雪が吹き荒れる


 ピキピキ。赤龍と白龍が凍りつき、次に蒼龍が凍りつく。



「グオオ!_グオオ…オオ…」



 黒龍も凍りつき、巨大な4匹の龍の氷像が出来上がった。キラキラとした氷が迫力ある雰囲気を作り出す。



「_っはぁはぁ…ごほっ…ごほっ……うわ…すげえ」


「健次ごめん。つい観察に夢中になっちゃった」



 スタスタと氷像まで行き、ピンッとデコピンをする。


 ピキピキ…ガラガラガラガラ。氷像が崩れ、消えていく。消えた後に魔石があり、4つの魔石を拾うと順番に渡しマナ・フュージョンを掛けていく。



「おおお!すげえ!…ちょっ!まって!早い早い!5分くらい待って!」


「連続は無理か、オ◯ニーした後にまたやろうとしても賢者タイムになっているっていうアレか?」


「あ、うん。そんな感じ_「マナ・フュージョン」_っ!待ってって言ったでしょおおおおお!これええ!やばあいいい!」



 無駄に叫びながらブリッジしている健次を解析していく。連続でやっても先程とそんなに振れ幅は変わらなかった。



「連続はあまり効果が無いか」


「_はぁ、はぁ。やるなら言ってよ、なんかフワッてする」



 5分してから蒼龍の魔石を使い、レベルが9になった。



「レベルが10になる時が良い振れ幅だから、ここで王種級の黒龍の魔石使おうか」


「よろ、しく頼、む。やっぱりあと5分_「マナ・フュージョン」_ぎにゃぁああああ!」



 裏技があるからレベルが低くて良かったなーと思いながら、ものすごいブリッジをしている健次を解析しながら眺める。



「おー!結構上がったなー!上位種の底辺と出会っても逃げ切れるぞ。レベル10でこれは凄い」


「お、おう…そこは倒せるじゃないのね」


「そりゃ技術がうんこだからな」


「…例えをせめて生物にしてくれ」



 健次が落ち着いてからボス部屋を出る。次の部屋は宝箱がある部屋。中央に宝箱があり、健次の目がキラキラと輝いていた。



「健次、開けて良いぞー」

「えっ?良いの?じゃあ早速…あれ?開かない」


「そうなの?じゃあ貢献した人が開けれる仕様なのかな?」



 暇人の悪意を感じながら宝箱の解析をして、罠が無い事を確認。開けるとアイテムが2つ。蓋の裏には古代文字が書かれていた。



「おお!ってこれなに?」


「赤水晶と、魔法玉?_(古代文字か…僅かながら私にも健次さんの応援をさせて下さい!琴美より…か)_ありがとな」



 お礼を呟くと遠くの方から「デ…レた…だとー!」何か声が聞こえた気がした。魔法玉を解析すると、琴美も忍術を解析していた様で複数の忍術が入っていた。



「ははっ、健次良かったな。このダンジョンを管理しているヤツが応援してるってさ。この玉は忍術が入っている。魔力ぐらいなら流せるだろ?」


「おお!そうなのか!ありがとうございます!ダンジョンさん!早速使ってみます!……_っ!そうか…忍術って忍気ってヤツを魔力に混ぜるのか…」



 教会では魔力の使い方しか習っていないので、使えないのも無理はない。闘気に至っては熟練者のみが到達する力というざっくりした説明。



「何個かあったけど忍術使えそう?」

 

「ああ!まずはこれかな?行くぞ!影分身の術!」



 ポンッ。煙が出て健次がもう一人現れた。お互い顔を見合わせて笑っている。



「はははっすげえ、すげえよ。これが忍術か」


「強さは裏技使う前のレベル4くらいか…なぁ、こいつは教会で過ごさせておけば自由じゃないか?」


「…確かにそうか。いきなり強くなったら、俺を鍛えているアキに迷惑がかかりそうだもんな。それにここぞと言う時に力を発揮した方が奴らを見返せるチャンスだし…」


「じゃあ健次2号は教会で過ごして情報収集。健次1号は俺と修行だな」



 便利な忍術を入れてくれた琴美に感謝しつつ、他の忍術も試してみる。敵の動きを止める影縫いと、諜報や逃走用の影潜りを習得していた。


 確認作業が終わり、部屋を出て階段を下りる。次はアイのエリア。



「雑魚敵ってどんなのかなー。……おっ踊り場だ」


「あーやっぱり怖いから、逃走用の影潜りは練習しとかなきゃな」



 踊り場に到着。広さは先程と変わらない広さ。魔力の流れが変わり魔物が現れる。


 全長20メートル以上、高さは10メートル以上の大きな亀。恐竜の様な顔に、甲羅は宝石の様にキラキラ輝いている。



「亀だ!でっけー!」


「亀だな。ジュエルタートル。初めて見た…アイは亀好きだからか?」


「あの甲羅売ったら金持ちになりそう」


「そうだなーこの大きさだと黒金貨200枚は行くんじゃないか?」


「黒金貨200枚ってーと20億円!素材持って帰れないの?」


「持って帰れるんじゃないか?でもリサイクルするだろうし…聞いてみるか。とりあえず倒そう。パイルバンカー」



 ドンッ!甲羅を貫く杭。一撃で消えていく高級な亀に「ああ!勿体無い!」健次が叫ぶ。


 魔石を回収し、階段を降りていく。次の敵もアイが好きな動物や魔物が出現していった。



「さぁ次は青の扉だなー。行くぞ健次」


 健次は大きな青い扉を自宅に入る様に開けるカナンを見て、こいつより強いヤツなんているのか?と震える身体に鞭を打って付いていった。

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