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パワーレベリング

「そういえば、月読が居ない部屋ってどうなっているんだろ?願い星が居るのか、それとも代役が居るのかな?」



 教皇の部屋を出て、階段を降り礼拝堂の通路を進みダンジョンへ行く為に階段を降りる。


 入り口の踊り場に差し掛かる時に話し声が聞こえた。



「んー?誰か居る?勇者達かな?」



 踊り場に行くと20名程の集団を発見。それぞれ緊張した面持ちで武具の確認をしている。内8名程は勇者達のようだ。ゴイームの姿も見える。


 カナンはこれなら上位種くらいなら倒せると思い、スルーで良いかと決める。



「あれ?子供か?」「おい、あいつって…」


「やぁおっちゃん。お先に」

「おーアキ、後で何処まで行ったか教えてなー」

「はいよー」



 ゴイームに手を振り、ゴイームも手を振り返す。その様子にカナンを知らない者は焦り出した。



「ゴイームさん、なんで止めないんですか!?ねぇ君!危ないから戻りなさい!」


「あぁ聖弥、あいつは大丈夫だよ。俺達よりもずっと強い」


「え?でも!1人でなんて危険過ぎる!」


「ん?聖弥?ってーと……」



 通り過ぎようとして階段の前で立ち止まる。振り返り聖弥と呼ばれた勇者を眺めた。予想通り爽やかイケメン。その顔は心配や困惑とが混ざった表情。


 その心配する聖弥を熱い眼差しで見詰める数人の女子の姿も見える。カナンには見向きもせず聖弥だけを見る注意力の無い様子に、一緒には行動出来ないなと心の中で切り捨てる。



「ほぅほぅ、真の勇者って言うだけあるな。なんか雰囲気がうざクソ(アラン)な感じだなー」


「いくら強いと聞いても君はまだ子供だ。1人は危険過ぎるよ」


「ご心配ありがとう。最深部の扉までなら1人で行けるから大丈夫だよー…(レベルアップは確か敵にとどめを刺せば上がるんだっけ。例外もあるけど)……ん?この魔力は…えーっと右端の勇者さん」


「ん?俺?」「そうそう、見学がてら一緒に来ない?」


「んー、どうせ俺は役立たずだし、気晴らしに行こうかなー。死んだって誰も悲しまないし」


「健次、駄目だ。危険だ!」


「聖弥、大丈夫だぞ。俺が保証するから行かせてやれ」


「…そこまで言うなら分かりました。だけど危ないと思ったら直ぐに引き返す。これは約束して欲しい」


「はいはい」



 ゴイームに送り出され、カナンと健次と呼ばれた勇者が階段を降りる。その様子を他の勇者達は心配そうに見詰めていた。


 しかしまたカナンは立ち止まる。



「健次さん、俺はアキ。宜しくねー……聖弥さん。なんで付いて来てるの?」


「は?何を言っているんだ?君と健次だけじゃ危険だから付いていくに決まっているじゃないか。健次はまともに魔法すら発動出来ないんだぞ?」


「知ってるよ?健次さんの魔力は少し流れが違うし。それに俺は指南役だから健次さんを鍛えるんだよ」



 さっと指南役の魔力カードを見せる。聖弥は少し目を見開き確認する。



「それなら俺も鍛えてもらうから付いていく」


「えー、聖弥さん鍛えても詰まらなそうだし「_っな!」バインド「_っ身体が!」じゃあ行こうか健次さん。おっちゃん後は宜しくー」


「わ、わかった。後で話し聞かせてくれ」


「りょーかい」


「俺がこのグループのリーダーなんだ!そんな勝手は許さない!今すぐこの魔法を解くんだ!」



 聖弥が喚いているが、後はゴイームに丸投げし、健次と階段を降りる。少し降りていくと、この前まで無かった踊り場に到着した。



「ん?踊り場だ。出来たのかなーっと、やっぱり他の人が居ると雑魚敵が出るのか。良いね良いね」


「本当に大丈夫?」「大丈夫大丈夫」



 踊り場は割りと広い。50メートル四方の広い踊り場。少し歩くと魔力の流れが変わり、敵が出現した。


「ガアァァァ!」


「_っな!レッドドラゴン!ちょっ!アキ君!_「アイスバレット_ダンッ!」_……へ?」



 10メートル程の赤いドラゴンが出現し、カナンの下級魔法により一瞬で命を散らす。コロンと魔石が転がり、カナンがスタスタ歩き回収する様子を呆然と眺める健次。



「ん?行くよ?」「今…何を…」


「魔法で倒しただけだよ。見てたでしょ?さっ次行くよ」



 未だに混乱している健次を促し踊り場を抜け、階段を降りていく。再び踊り場があり、敵が出る場所には踊り場を設置したのかと暇人(グリーダ)の事を考える。



「ゴアァァァ!」



「ダークドラゴン!怖えぇ!「ホーリーバレット_ギュンッ!」……嘘だろ…」



 再び魔石を回収し、スタスタ歩く。足手まといの健次はカナンに付いていくしか道は無いので、受け入れがたい現実を感じながらカナンの後ろを歩いていった。



「ねぇアキ君…強すぎない?」

「まぁ努力した結果だよ。ここら辺なら後続は来ないかな。よし、健次さん忍術使いでしょ?見せて」


「…いや、使えない」「ん?使えない?少しも?火出すとかは?」



「火遁」ポッ。ろうそく程の火が出て直ぐに消えた。


「これくらいしか出来ないんだよ。最初は舞い上がったさ。忍術が使えるんだから。でもやってみたら全然出来ない。生活魔法以下なんだ…だから役立たずって言われてな。お情けで御堂のグループに入れて貰ってるんだ…」


「……なるほどなるほど。こういう原理か…面白い。健次さん、分かったよ。忍術の使い方」


「えっ?ほんと?俺も強くなれるのか!?」



 半信半疑だが、期待が大半を占めている表情で目を輝かせる健次に、まぁ落ち着いてと話を始める。



「なれるけど、教えるには…そうだね。俺の下に付かない?それか味方にならない?なるなら良いよ。役立たずって言っている奴らを見返せるよ?」


「なる!なるよ!このまま奴らを見返せないまま死ぬよりは断然良い!」


「そう。一応軽く契約してもらうけど良い?「ああ!」…話聞かずにそんな簡単に決めて良いの?…まぁ助かるから良いんだけどね。コントラクト」



 淡い光が健次を包んだ。前に何か契約があった様だが無理矢理に上書きする。



「んー、健次さん「健次で良いよ」じゃあ健次。前に何か契約ってした?」


「ん?何か魔王を倒す約束をさせられて洗礼はしたけどそれかな?」


「そうなんだ。良かったね、奴隷にならなくて」


「奴隷?ヤバいヤツだったの?」


「魔王を倒した後も契約が終わらないタイプだから、戦争の道具にされるとかじゃないかな?まぁ解析してないからサンプルが必要かぁ…ねぇ仲間になりそうな勇者って居る?」


「…んー、分からないな。ほとんどの奴らから見下されてたから…」



 先程も右端で沈んだ顔をしていたのを思い出す。召喚されてから2ヶ月程、クラスカーストが出来上がっている様子。



「俺も底辺の扱いを受けていた事があってな。気持ちは分かる。だから…今日はレベル上げでもするか」


「えっ?止めをささなきゃいけないんだぞ?ドラゴンとか無理無理無理」


「別に止めを刺さなくてもレベル上げみたいな事は出来るよ」



 先程倒したドラゴンの魔石をぽいっと投げ、健次があたふたしながら受け取った。



「これ、さっきの魔石?」「そうそう、マナ・フュージョン」


「うおっ!うおお!なんか凄い入ってくる!」



 魔石の魔力だけを健次に融合させる。普通は危険だが、レベルアップシステムを持っている者には有効で、裏技的扱いの方法。



「これでレベルが1つ上がった筈だよ」


「すげえ…でもこの力は…1どころじゃ無いだろ…」


「それがねぇ、上がるのは1なんだよ。能力アップが凄まじいから完全な裏技だね。秘密だよって言ってもマナ・フュージョンは俺しか出来ないから他の勇者は出来ないんだけどね」



 レベルの上限は人に寄るが100~1000。上限に達するまでどれだけ強い敵を倒すかで強さが決まる。



「という訳で、スーパーパワーレベリングでもやろっか」


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