表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
171/285

歓迎会

 昼過ぎに、溟海の家にある湖に到着し降り立つ。



「月読、着いたぞー起きろー」


≪ん…今裸だから服着る≫


「…今度一緒に寝ようか」「了解」



 寝る時は裸。カナンはこの言葉を心に深く刻み付ける。


 その時、外周をランニングしていたカタリナに遭遇した。


「リナ、ただいま」


「はぁ、はぁ、あれ?兄ちゃん。おかえりなさ…いぃ!!」


「ど、どうしたリナ」


「うぉ…おぅふ…ぬ…ぬ…ぬぁに!銀色の女医さんだとぉぉぉ!」


「…あっ、はい。良く分かりましたね」



 いつもの通りカナンをふがふがしたカタリナは驚愕し、ワナワナしている。



「女医さんとか卑怯じゃねえか!大人の診察始めますってヤツか!?おぅ!?兄ちゃんの大好物じゃねえか!!おぅ!?襲われたのか!!おぅ!?……うぅ…また…また…兄ちゃんが女作ったー!いぃぃやぁぁぁぁ!アイざぁぁぁーん!」



 カタリナは逃げ出した。



「………」

「お待たせ。妹?愉快」



 女医さんスタイルで登場した月読に、妹が荒れる未来を想像する。もうエンゲージしちゃったものは仕方ない…そう言い聞かせて溟海の家まで向かう。


 知らない魔力を感じたのか、アイ、紅羽、サティ、リーリア、矢印、溟海が家の前で出迎えた。アイの後ろにはカタリナがカナンを睨み付けながらうーうー唸っている。



「ただいまー紹介するよ。超越種、極智の銀皇。月読だ」


「宜しく先輩方」


「よろしくー。アイでーす」「紅羽だ。よろしく」「私はサティエル、サティって呼んで。秋ちゃんの性奴隷なの」『リーリアだよー!』「…カタリナ」「私は溟海。宜しくね月読さん」



 それぞれ挨拶を済ませ、溟海の家で雑談しながら昼食を食べてゆっくりしていた。アイ、紅羽のエンゲージの変更は月読が家を作ってからにするという事に決まり、カナンのプライベートが消え去る瞬間でもあった。


 月読とサティは眠そうな顔と無表情の顔を合わせ、ブツブツと喋っている。何かフィーリングでも合うのだろうか。



「月読が皆に馴染んで良かったよ」

「フフ、私は大歓迎よ。これから何年も一緒に居るんだから多い方が楽しいし」


「アキ、ダンジョンのグリーダはどうするんだ?アキの事大好きなんだろ?」

「ああ、まあ、うん…あのウザさ…会ったら分かるぞ」



 一瞬琴美の顔が頭を過るが、頭を振り記憶の片隅に追いやる。


 カナンはよしっと立ちあがり、パンパンッと手を叩いて皆を注目させた。



「じゃあ交流を兼ねて、闘いますかー!」


「くふっ、歓迎会」


「ちょっと移動しようか。リナは溟海さんと見学な」

「うん、頑張ってね」



 山から離れた草原に移動。充分な広さを確認して魔方陣を展開。



「あ、溟海さん水の結界よろしくー」

「結界ね」



 シャー。水がドーム状に広がり結界を形成。直径一キロにも及ぶ結界が出来上がり、その中に闘う面子が入る。



「俺は魔法の維持があるから審判な。月読対アイ、紅羽、サティちゃんでやろうか。絶界」



 ブンッ!水の結界の内側に絶界を形成。更に銀色と白銀の魔方陣を展開させる。



「準備あるからちょっと待ってな………よし、出来た。魔法進化!エターナル・リヴァイブ・フィールド!」



 白銀の魔力が絶界内に充満し、フッと空気中に浸透。これで絶界内では死なない様になった。



「魔力の関係で制限時間は一時間かな。この中ならどんな攻撃でも死なないから思う存分闘って良いぞ」


「流石ねー」「よしっ暴れよう」「秋ちゃん…終わったらエッチしよ?」


「称賛。楽しもう」



 アイ、紅羽は力を解放。サティは魔装の準備、魔方陣を展開。


 月読は星魔銀のアクセサリーを外し、魔力を解放。


 ドオン!月読の隠蔽していた魔力が跳ね上がり、銀色の螺旋を描く。


 強大な魔力にアイ、紅羽の顔が引きつった。



「アキ…本当に…月読ちゃんに勝てたの?」


「ああ…なんとか…」


「アキ…我は少しビビっているぞ」


「死なないから…大丈夫」


「秋ちゃん…やっと良い感じのバイブ魔法開発したの…」


「ブレないね…サティちゃん」



 月読の眠そうな目が開き、真面目な顔になる。そして対峙する三人を見据えた。



「始めよう先輩方。殺し合い(歓迎会)を」








 _______


 _______とある地下にて




「いっざすっすーめーやー地下ー!めーざすーはー深淵ー!」



 ご機嫌で地下へ地下へ進むキリエ。進むスピードは遅く、かれこれ1週間も進み続けていた。



「…たー!_おっ?抜けた?」



 直ぐ下に空洞がある感覚。頭を下にして空洞の中を覗く。暗かったので、暗視の魔法を発動。



「水脈でもないし、熔岩の通り道?にしては違うし……もしかして…巣?」



 空洞は大きな筒状になっており、左右に分かれずっと先まで続いている。



「どっちに行けば会えるかな?……んー……んー?」



 ズリズリ。ズリズリ。何か這うような音が響いて来た。



「これは、当たりかな?…まだかなー」



 ゆっくり進んでいるのだろう。ズリズリと空洞を進む音。



「おっ来た来た。……うわ……やば」



 やがてゆっくりとキリエの下を通る黒い物体。形は定まっておらず、闇がそのまま形になった様な不安を煽る黒。



(予想通り。お伽噺話に出て来た魔物だ…それにこの懐かしい気配)



 神話の時代。女神と闘った、闇という概念が意思を持った魔物。人々にとって絶対悪な存在。


 この世界の大人達はお伽噺話を読み聞かせながら、子供に言い聞かせる。夜遅くまで遊んでいると、絶望に魂を抜かれるよ…と。



(絶対種、イービル()・デス・イーター()



 ズリズリとキリエを無視して進む闇。暫くすると闇は見えなくなった。



「追いかけよう。安全に逃げられそうな場所に行ったら聞いてみよう…そして」



 空洞の上を通り、静かに絶望を追いかける。



混沌の神(お姉ちゃん)の魂を貰いに行こう」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ