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溟海の家で報告

 昼過ぎになり、溟海の家に到着。ヘトヘトなので湖に到着したらごろんと横になった。



「アキ、おかえり。そんな所で寝たら風邪引くわよ?」

「ちょっと強い奴と闘ってさ。もう動きたくないんだよ…」


「無理しちゃ駄目よ。身体ボロボロじゃないの…どんなのと闘ったらこうなるのよ」

「ダンジョンのボスに極智の銀皇が居てな…いやー強かった」



 参った参った。苦笑しているカナンを見て、アイは呆れた目で見る。他の面々も出てきたので、起き上がり家の方へ。縁に座り結果を報告。今日はオードとカタリナは居らず、茜だけが来ていた。



「茜ちゃん今日は休みなの?」

「お店は昼までだったんだよ。オード君は用事あるって言うし、午後から暇だから来たんだ」


「そうなんだ。丁度勇者リスト持ってきたから暇潰しになるよ。コピー」



 持っていた勇者リストをコピーして皆に渡す。



「アイ、紅羽。ダンジョンの宝箱から良い物手に入れたからお土産だよ」


「何?赤と青の…水晶?」

「赤水晶と青水晶。魔力を通すと適性が上がる能力アップアイテムだよ」

「あら、これで強くなれるのね。ありがとう」

「アキ、ありがとう」



 早速アイと紅羽は水晶を使い、適性を上げていく。元々適性はずば抜けているが、魔法の威力は上がりそうだと喜んでいる。茜は資料を眺めながら、はっとしたり顔を顰めたり百面相をしている。



「茜ちゃんどしたの?…そういえば俺と地元一緒だったな。知り合いでも居た?」

「……うん…何人か居る…と思う」

「ふーん。会いに行く?週末は大教会で働く予定だからその時になるけど」



 暗い表情で考える茜。久しぶりの友人の再会のチャンスだが、中々踏ん切りがつかない様だ。会いたく無い者でも居そうな雰囲気。



「…うん…いや、最後に会ったのは3年くらい前だし…誰だこいつって思われたら嫌だから…」

「出た、ネガティブ茜。一番仲良かったのは?」


「聖女認定された楓ちゃん…あと聖弥君は近所に住んで居たから小学校の頃はよく遊んだかな…後は、何人か……ねえカナン君。新しいオモチャ見つけたみたいな顔しないでよ…怖いんだけど」


「悪い事なんて考えてねえよ。茜ちゃんの事覚えているか聞いてみようか?天草楓なら話しやすそうだし」


「あ、うん。お願い」



 ニヤニヤとするカナンをみて茜が疑いを持っている。一応重力魔法の師匠であり、恩義もあるので強くは言えない。



「まぁ茜ちゃんの人生だから自由にしなよ。勇者の味方をして俺達の敵になっても良いし」


「それは無いよ。命が幾つあっても足りないし。それにオード君と離れるのは嫌」


「ははっ、冗談だよ」


 絶対に敵に回してはいけない。茜はカナンがアイと紅羽を守る為なら、迷い無く殺す気概を持っている事を知っている。



「そうそう、俺達のダンジョン面白かったぞ。それぞれをモチーフにしたボスが居たんだ」


「へぇー、我のはどんな奴?」

「紅羽の扉は初めて会った時に使っていた4色の龍がボスだったんだ。赤、白、蒼が上位種級。黒が王種級だったぞ」

「龍か、やった」


「あら、私のは?」

「アイの扉は綺麗な青い華だったな。見上げる程の大きさで幻想的だったよ」


「ウフフ。変なボスじゃなくて良かったわ。そういえば変な魔力の正体は分かった?銀皇が居たって言ってたけど…」



 銀色の扉。間違いなく聖女キリエの扉だったが、深淵の魔法を使う月読に疑問は残っていた。



「(名前はダサいから二人には言えないな…)第三の扉は聖女キリエの扉だよ。やっぱり復活していたんだ」

「キリエ?あぁ、あのお転婆姫か」


「溟海さん知ってるの?」

「千年くらい前かな?いきなり星を墜としてきたから少し喧嘩になってね。水浸しでボロボロになっても、楽しそうに笑いながら闘っていたよ」


「ははっ、星天魔法は反則だよな…キリエは深淵の魔法使ってた?」

「いや、ただの闇魔法だったと思うよ。深淵なんて神種の魔法だし」


「そうだよな…やっぱりグリーダに聞いてみるか…」

「「え?」」



 そういえば説明していなかったな、と黒い扉に居た変態を思い出す。徐々にカナンの目のハイライトが消えて行く様を見る一同は、浮気ね…浮気だな…と呟いていく。



「皆勘違いするなよ。俺の扉のボスがグリーダだったんだよ。中身は別人だからな」


「そう…」「ふーん…」


「ま、まあそこで少し話したんだよ。全部で扉が3つあってその1つがグリーダ。後の扉は邪神と変態が居た」


「邪神…」「変態って…もしかして…」


「ああ、藤島秋だ。しかも保有魔力が桁外れだから、現段階ではどうあがいても勝てない。恐らく死ぬ間際の三千倍濃縮英雄の薬バージョンの藤島秋…邪神もバージョンアップしてるから攻略は絶望的だな」



 溟海と互角に闘えるカナンが言うのであれば、遥か高みの強さなのだろう。アイと紅羽は真剣な顔つきで。溟海、リーリアはいつも通りのほほんと。茜はボーッと物思いに耽っている。



「という事で、これから俺はダンジョンで修行するから。何かあったら報告し合おう」



 夕方まで話し、茜と共に王都へ帰る事に。カナンは帰る途中で気になる事を聞いてみる事にした。



「で?聖弥って元カレ?」「んな訳ないでしょ!絶対にオード君に言わないでよ!」


「なんでさ。兄さんも茜ちゃんの友達に会いたいと思うけど」


「だって、オード君、絶対クラスの女子にモテるから…」


「そうだな。男を取り合い血で血を洗う…逆もしかりだけど…」


「ん?とにかく私から言うからね!」


「はいはい」



 茜を家まで送り、カナンも帰宅。部屋に戻り計画を練る。



「兄さんに勇者をボコって貰おうかな?その為には、やっぱり茜ちゃんを大教会に連行しなきゃいけないな…冬休みになったら動くか…まずは調査」



 目の前の面白い事を優先し、本来の目的を忘れつつあるが、以前よりも楽しそうなカナンの姿があった。




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