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勇者リスト

 ダンジョンの入り口にある踊場に転移したカナンは、緊張から解き放たれた様に大きく伸びをして、ふぅーっと一息付いた。



「あー疲れた。でも楽しかったな…ん?入り口に踊場なんてあったっけ?…貼り紙があるな。__急遽入り口に踊場を作りました!マスターの為に作ったんですよー!褒めて下さい!ご褒美にまた私を縛って興奮して下さいねー!今日のおかずは私に決まり!愛しのグリーダちゃんより__………」



 ビリビリ。カナンは無表情で貼り紙を破り、ダンジョンから出る。まだ朝方なので地下への扉を開けても人通りは無く、通路を進み一階の礼拝堂へ。


 礼拝堂には神官が立っており、祈りを捧げている。巡礼者も会衆席に座り祈りを捧げていたので、カナンも気持ちを整理する為に会衆席に座った。



(凄いダンジョンだったな…あんなのゲームクリア後の裏ダンジョンだし…とりあえず、帰ったら赤と青の水晶をお土産にすれば良いか。銀水晶は後で俺が使おう)



 特に居座る理由も無いので、大教会から出て街の方へ。中央広場のベンチに座って教皇の部屋からコピーした勇者リストを読むことにした。



「えーっと…サラエコウコウ…え?更江高校?もしかして俺の母校か?」



 秋の実家から電車で二駅の所にあった高校。学力は上の方で、試しに受けたら受かってしまい、周りに付いていくのがやっとで苦労した事を思い出す。



「なんとか卒業出来たんだっけ。年離れていたから一緒には通えなかったけど、春は学年トップだったな…無事卒業出来たのかな…」



 感傷に浸りながら読み進める。学年は1年1組。人数は37名。割りと細かく記載されている事に、機密書類が机に置いてある程に教皇は忙しいのかねぇ…と苦労してそうな教皇を思い口元が緩む。



「おー、大まかな能力別に分類されているな。物理攻撃特化15人。魔法攻撃特化10人。回復特化4人。サポート特化6人。その他2人?特殊系能力もあるのか……うわ…全員に共通している固有能力。魔物を倒せば魔力を取り込み強くなれる…レベルアップ能力か。なるほど、女神は大した能力を付けられないから、能力をレベルアップで底上げする感じかな?」



 カナンはゲームみたいだ!とはしゃぐ奴が出そうだなーくらいにしか思っていない。前世でレベルアップ能力の転移者に会っているからだ。



「レベルアップは上位種級ぐらいまでは強くなれるけど、器が一杯になってカンストすると、後は努力次第だから大変って言ってたな…何さんだっけ?まぁ良いか」



 急激に強くなると地道な努力をしなくなる。力が付いても技が身に付かない。努力をしない限り、強敵と闘うのならデメリットの方が多い。



「数打ちゃ当たるって奴かな?でも上位種級の攻撃なんて当たってもびくともしないんだよなー。…女神は何かに焦っているのか?」



 読み進めると各勇者の詳細が書かれている。大した能力は無いなー、と思っていると気になる能力を発見。



「ぶっ、忍術ってなんだよ。ちょっと見てみたい…名前が棚橋健次………えー…まじかよ…うわ…まじか……

 ん?真の勇者の再来?御堂聖弥(みどうせいや)。へぇー主人公っぽい名前だ。聖なる魔装ブレイブを使えるのか。真の勇者ってどいつの事?あっ、アラン・レイ・ブレイブの再来って書いてあったわ。あいつ真の勇者だったの?…まあ邪王は人から成って自分から進んで破壊したから、歴史上一番被害があったらしいからかな?」



 気になるページには付箋を貼っていく。



「聖女認定された女子は、天草楓(あまくさかえで)。神聖魔法に封印禁術が使えるのか。苦労してそうな顔してたなー。おっ問題児発見。郷直也(ごうなおや)。不良かな?でも割りと頭の良い学校で不良しても小物感凄いけどな…」



 付箋を貼り終わり、終わったと思ったらもう一枚書類を発見。



「大教会地下の迷宮化についての報告か…最高位ダンジョンと認定。勇者がある程度強くなったら修行の場所として解放…いや死ぬだろ……おっ、ザコ敵にドラゴンが出るのか…頑張れ勇者…」



 最初の扉すら突破出来なさそうなダンジョン。ピンチに遭遇したら助けるか程度に思っていた。



「さて、外れの森で銀水晶使ってみよ」



 書類を読み終わり、楽だからまた教皇の所でコピーしようと心に決めたカナンは路地裏から飛び立ち、近くの森へ向かう。ウキウキしながら霊山の麓にある森へ到着した。



「宝物庫で白水晶はあったけど、他の水晶は初めて見たな」



 赤、青、銀の水晶を取り出し眺める。中心に向かって各色の魔力が渦を巻いている水晶玉。赤、青の水晶をしまい、銀水晶に魔力を通してみた。


 水晶にカナンの魔力が通り、渦が止まる。そして逆回転しながらギュンッ!とカナンの体に銀色の魔力が入ってきた。



「うお!すげー!どんどん入って来る!純度と濃度が凄いな…この感じだと水晶にもランクがありそう。……おー!適性が1.5倍くらいになった!やった!」



 ガッツポーズをして喜び、週一で通おうと心に決めた。



「願い魔法の簡単な奴なら楽に行ける!これで月読と互角に闘えそうだ!…でも何回か致死ダメージくらうからエターナル・リヴァイブは外せないか…あれ?」



 違和感を感じ手を見る。カナンの指に嵌まっている封印の指輪が、魔力に耐えられず全て砕け散っていた。



「やべっ、どうしよ…これじゃ教会で働けない…」



 ストレージに何か無いかと思考を巡らす。そこでふと月読が外した仮面を思い出した。銀色の笑顔の仮面。



「これ外してから魔装展開してたよな…」



 少し大きい銀仮面をスチャッと付けてみる。すると魔力が極端に封印される感覚。これ幸いと加工する事にした。



「やった!ナイス月読!ブレスレット型とネックレス型に変えるかな」



 不思議な材質だが、難なく加工出来たので装着。すると一般人以下まで魔力を封印出来、更に超位魔法なら装着しながら普通に魔法が使える事に驚愕する。便利だなー!と、ほくほく顔で溟海の家に向けて飛び立った。







とある地下にて



「…やったー!ストレージ出来た!」



3ヶ月程引きこもりのキリエはストレージを習得し、ご機嫌で周囲の財宝を収納していく。



「あれ?全部入れたら一杯になっちゃった。容量は家くらいなんだね。さて、どこに向かおうかなー」



ふんふんと考えながら行き先を考える。大きな魔力、大きな魔力と探していると、更に地下の方に魔力を発見した。



「なんだろこの魔力…行ってみようかな?でも予想が正しかったら絶対勝てないんだよな…うーん…よし!見るだけ見るだけ!」



思い立ったキリエは闇の魔法を使い、ズブズブと地下に潜って行った。





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