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願い星2

「くふふ」


 全長3メートル程。願い星から進化した喜びだろうか。笑顔を張り付けた銀皇の、銀色に輝くローブが揺れている。白い右手と黒い左手をグーパーしながら確かめる様に銀色の魔力を放出していた。



「これで逃げるのは駄目だ。そんなんじゃアイと紅羽を守れない…まぁそれよりもキリエちゃんに笑われそうだな」


「くふふ」


 ははっと乾いた笑いを浮かべ、ゲームのラスボスにこんなの居たよなー…と少しの現実逃避。駄目だ駄目だと頭を振り、両手で頬をパンッ!と叩き気合いを入れる。



「よし!銀皇!いざ尋常に勝負だ!」


 ブオン!ブオン!ブオン!周囲を埋め尽くす程の、無数の魔方陣を展開していく



「くふ、絶望を…受け入れなさい。星体観測」


 ビュン!キラキラと白、黒に煌めく星々が上空、周囲へと放たれた



「_詠唱破棄?なんだ?」


 カナンは白と黒の光に首を傾げながらも、右手に魔装を展開し魔力を練りに練る



「先制行くぞ!四元波動砲!」


 ドオオオ!カナンの右手から放出される四元の光のレーザー


 それを見た銀皇は両手を上に向けて魔力を解放


「星の集い」

 ドドドド!銀皇の周りにある光が星となり、次々とレーザーに衝突していく


 ゴゴゴゴ!拮抗するレーザーと無数の星々


 ガガガガ!壊しても壊しても墜ちてくる星。負けじと波動砲を強めるが更に墜ちてくる



「貫けない!_なんだあの魔法!」


「流星群」

 ドドドド!更に上空の光が星となり、カナンに向かって墜ちる


「うおぉぉぉ!まじかよ!ディメンション・コントロール!」


 左手を流星群に向けて魔力を放つ


「ゲート!」

 空間を繋ぐ扉を目の前に展開、もう片方を銀皇に向けて開く。カナンに向かう流星群は全て銀皇に進路を変える。


 ガン!ガン!ガン!しかし銀皇に流星群が衝突するが寸前で砕け散る


 カナンは自爆しろと思っていたが、その希望は打ち砕かれた。属性の環境を作るこのタイプの魔法は1つしか思い当たらない。



「もしかしてこれ_環境魔法か?詠唱破棄で発動出来るもんなの?_よし!来た!」


 力の差を見せ付けられ、戦慄している内に波動砲が終わり次の魔法へ。流れる汗を拭い、密かに発動していた魔法を放つ


「シュバルツシルト・ブラックホール!」


 ドオウン!銀皇の上空にブラックホールを形成


 星と共に上を見上げる銀皇を呑み込もうと引力を発生させる


「くふ、称賛。だが甘い」


 ドォフ!銀皇の白い右手が光る。星々が吸い込まれて行く中、銀皇は耐えながらも凄まじい白色魔力の奔流を放つ




「ぐぐぐ!吸い込まれてくれよー!神聖魔法とか卑怯だぞー!」


 ブラックホールの制御で忙しく、次の手を考える暇も無いカナンは、泣きそうな顔で悪態をつく



「ディヴァイン・セイヴァー」

 そんな事はお構い無しの銀皇。カッ!神々しい光に溢れ、右手に10メートルを超す真っ白な剣が握られていた


「断罪」

 ザシュッ!ブラックホールが真っ二つに斬られ

「滅殺」

 ザザザザザ!一瞬にして細切れに


「…うわ」

 剣技まで使えるのかよ…カナンはドン引きしていた


「やっぱり強えーな!星は吸い込まれたから…仕切り直しか」


 カナンの言葉を聞いて、張り付いた笑顔の仮面を向ける銀皇。その笑顔は悪戯に笑っている様にも見えた




「残念。星は巡る」


 ビュン!再び上空と周囲に星が浮かび、キラキラと煌めく。先程と同じ光景が広がった。



「_ですよねー!」


 期待した俺が馬鹿だった…エリクサーを飲みながら次の一手を必死に考える



「君は強い。敬意を払おう」


 銀色の魔力が溢れ、上空にある星の1つが段々と肥大していく


 やがて、100メートルを超す月に変化。淡く輝くその様は幻想的で、心を鷲掴みされる様な圧迫感を出していた



「そりゃどうも!_月!もしかしてキリエちゃんの!?」


 カナンは月を見て顔を引きつらせ、立体魔方陣を複数展開する



 月の光に照らされ、銀色のローブに銀糸のヴェールがかかる。左手が動き、フードを取り仮面を外す。長い銀髪を靡かせ、その顔は銀色で塗られた様な神々しい造形の美しい顔付き。



「やっぱり月光の女神(ルナ)か…おっさんが言っていたな。キリエちゃんに禁句を言って、半殺しにされた神シリーズ魔装……どうするかな…このままじゃ勝てねえな」



「半月」


 銀皇の魔力を受け、上空にある月が徐々に漆黒に染まっていく。やがて白と黒が半々の半月状の月に変化した


 先にカナンの立体魔方陣の1つが青銀に輝く


「星には星を!独りぼっちのおぉぉ!白銀の星!」


 やけくその魔法が発動。数十メートル規模の、白銀に凍りついた星が出現


 ピキピキピキピキ!周囲を凍らしながら銀皇に向かう



 そして銀皇の魔法も完成した


「断罪の月」


 ゴゴゴゴ!白と黒に染まった超質量の月が墜ちる


 ドオオオ!白銀の星と断罪の月が衝突


 ピキピキ!徐々に表面を凍らせていくが

 バキッ!押し負けていく


「ああぁぁぁ!威力が足りない!超鋼の星!」


 頭の血管が切れる程に精密な魔力操作をしながらも


 立体魔方陣が黄銀に輝き

 超重量の鋼の星を形成


 ドオオオ!押し負けていた白銀の星を押すようにぶつけていく


 ゴゴゴゴ!拮抗する星と月



「月蝕」

 賛美…そう言って銀皇が笑い、断罪の月が更に染まる



「また黒く!?__っ!ただの闇じゃない!?うおぉぉい!こりゃ深淵かよ!?」


 ただの闇属性ではない


 邪神が使っていた闇


「やばいやばい!業獄の星!」


 焦る気持ちを抑える様に深呼吸

 立体魔方陣が赤銀に輝き

 ゴオオ!爆発する業火の星を形成


 白銀の星、超鋼の星に重ねていく


「奈落の月」


 ズンッ!超重量の月が深淵を纏い


 バキッ!バキッ!カナンの星を押し潰していく


「間に合え!真嵐の星!」


 暴風を纏う星を形成


 ブオオオオ!奈落の月を押し返し、なんとか拮抗している



「俺の星も巡る!これが全力だ!エレメンタル・ローテーション派生!元素の真星!」


 カナンの白銀の星、超鋼の星、業獄の星、真嵐の星が合わさり超エネルギー体の星へと変わる


 キィィイイイ!光速で回転し奈落の月を押し返す


「見事」

 ドオオオオン!元素の真星は奈落の月もろとも銀皇を呑み込み


 カッ!!遥か上空で激しい光と共に爆発が起きた





「…はぁ、はぁ、やっ、た…_ごふっ」


 カナンは魔法の負荷に耐えきれず、血を吐き崩れ落ち


「あ、くっ、無理、し過ぎたか」


 仰向けに転がり、震える身体でエリクサーを少しずつ飲んでいく



 ドサッ。離れた場所に落下音


 銀皇が上空から落ちたのだと判断し、そちらを見る余裕もなく上を見上げる


「……」




 結果は見なければいけない…力を振り絞り銀皇の方向を見た。


 両手がボロボロで銀色のローブも破けている。


 そしてフラフラと浮き上がり。


 天を貫く魔力が立ち昇った。


 幻想的で美しい光


 何か銀皇が呟いている


「あん?何言ってん…だ」


「…闇夜を照らす月よ…深淵の扉を潜り…」


「おぅふ…詠…唱だと」


「全てを壊す永遠なる闇を…我は願おう…破壊を…そして歌おう…破滅の歌を」


 ズンッ!突如巨大な月が現れ


 刻まれる漆黒の魔方陣が妖しく輝く




「ははっ…泣きそうだ」


 カナンはゆっくりと起き上がり、巨大な月を呆然と眺める


 漆黒の魔方陣が刻まれた月が回転していく


「…神位魔法かよ」


「くふっ、絶賛」


「あぁ、くそ…どうやったら勝てんだ」


 巨大な月が点滅している


 カナンは歯を食い縛り白銀の魔方陣を展開する


「破滅の月歌」


 深淵の巨大な月が墜ち


 空間がギシギシと躍動


「恨むからなあぁぁぁ!エターナル・リヴァイブ!」


 痛いんだからねぇぇ!と叫ぶカナンの身体に白銀の光が吸い込まれ



 そして、カナンの身体が砕け散った

ディヴァイン・セイヴァー~神聖属性魔法剣。キリエちゃんがよく使っていた神剣、魔力消費が激しいが、色々な物がスパスパ斬れる聖剣よりも格上の剣を形成する。


元素の真星~特殊条件複合魔法。白銀の星、超鋼の星、業獄の星、真嵐の星を合成し放つ神位級魔法。アホみたいな制御が必要なので独りぼっちでやるものではない。


破滅の月歌~白、黒、銀色複合神位魔法。銀皇ちゃんの最強魔法。触れた物に破滅を与える超質量の月を墜とす。



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