入学
6歳になり、カナンはいつもと変わらず精霊の森に行って研究したり、家族と過ごしたり図書館へ行っていた。
そして、初等部に入学する。
「今更だよなあ…正直知っている事がほとんどだから、退屈をどう過ごすかだが…まっ本読んで過ごすかー」
王都の学校は東西南北に平民が通う初等、中等一貫校と魔法学校、騎士学校が1個ずつ、中央区に初等、中等一貫校が2つずつと魔法学院、騎士学院あとは細かい専門学校がある。
王都は意外と広く、兄弟達は東区の一貫校に在籍している。
だがカナンは中央区の一貫校に入学する事になった。
何故かと聞かれたら、兄の手伝いを視野に入れて魔導具職人の免許を取ろうと思ったら、魔導具の専攻があるのが中央区しか無かったから。
基本的に売る商品を作るには免許が要るので、仕方なく中央区へ行くのだ。
父に相談したら二つ返事で直ぐに手続きしてくれた。
知り合いも居ない。カナンは、ぼっちで中央区の学校に行く。楽しみにしていたエレンとの学校ライフが潰えた瞬間だった。
入学式が始まり、皆お揃いの制服を着ている。行事は制服。その他は服装自由な学校。カナンは制服を着て、いつものメガネをして遠い目で過ごした。
カナンにとって、特に内容の無い入学式は無事終わった。クラスに別れ、最初のオリエンテーションが終わり学校を出た。アラサーには辛いわ…と疲れきった表情で空を見上げる。
「はぁ…おわった…」
因みに貴族の子供は、貴族街にある貴族用の学校があるので、そちらに行く。なので中等部まで貴族に会う事は無い。
「中央区って西区に行くのに横切るだけだから、あまり散策していなかったっけ?ちょっとブラブラするか…」
中央区にある大通りを散策するため、キョロキョロしながら歩く。
「そういや、中央区の魔法書店ってチラ見しただけだよな」
大きな店の前に立つ。外観は綺麗な白ベースで嫌らしくない程度の装飾。外から中が見えて入りやすい。
「暇だし入ってみるか」
ドアを開けて中に入る。案内の受付のお姉さんを凝視しながら会釈して、案内板を眺める。
「いらっしゃいませー」
「見させて貰いますねー(綺麗な店内だなー)」
とりあえず本かな?と魔法書関連のスペースへ。
「なんかあるかなー、おっ複合属性理論の本が沢山あるけどちょっと理論が甘いな…こっちは魔法杖の本?…そういや杖って使った事ないな」
基本的に魔法使いは杖を持っている。持っていた方が威力や精度があがる為だ。
「んー、作れるかなー…指輪型もあるのか…まあ買ってみるか。後は何か無いかな…魔法剣理論か…オード兄さん好きそうだな」
2冊の本を買う。会計を済ませて、もう良いかなーと帰宅した。
「ただいまー…エレン姉さん」
「お帰りなさい、入学式どうだった?」
「姉さんが居なかったからつまらなかったよ」
「ふふっ、すぐに友達出来るから頑張って」
「…うん」
(友達ってどうやって作るんだっけ?)