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再び大教会へ2

 薄暗い街を歩きながら予定を組んでいく。



「とりあえず夜に偵察に行くか、大教会の敷地内に勇者がいるらしいし。内部構造は把握しているから今回は楽だ。あっ、後ダンジョンコアの様子見なきゃ。なんかこの感じ…迷宮化してそうなんだよな…3、4ヶ月でなるもんなのか?まぁ若いダンジョンだから1、2階だと思うけど…」



 飲み屋では冒険者等が騒いでいる。合格祝い等聞こえてくる。指南役は騎士、魔法使い、冒険者、剣術師範等と、細かく分類され、様々なジャンルの指南役を集めている様だ。



「もしかして勇者って複数いる?なんか嫌な予感するな…」



 特に見る物も無く、中央広場のベンチに座り以前来た時の事を考えていた。



「グリーダはラジウス国王に進化の秘術を教えた時点で女神に利用されていたのかねぇ…最期の最期まで人間らしいといえばらしいか…」



 人の往来を眺めていると、大教会の正門が閉まり、ポツポツと店も閉まって行く。



「そろそろ行くか」



 立ちあがり路地裏へ。黒いジャージに仮面を着けて変装する。気配を消して飛び立ち、大教会の尖塔の一つに降り立った。上から敷地内を眺めると、メイドや給仕があわただしく動いている。どうやら夕食時の様だ。



「夕食の時間か、居住区が賑わっているからそっちにほとんどの人が居そうだな……あー…あれが勇者か……」



 居住区から出てきた複数の人影、仲良さげに談笑しながら歩く15、6歳程の男女。遠目なので顔はよく分からないが、髪の毛の色は全員黒色だった。



「まじかよ女神…集団勇者召喚しやがったのか」



 カナンからため息が洩れる。勇者召喚という名の誘拐。過去の勇者に転移者が居り、一方通行の誘拐によりこの世界の生活を余儀なくされた記録がある。



「人数は…なんか沢山居るな…1クラス分くらい?すげえな…どれだけの力を使えばこれだけ召喚出来るんだよ…いや、星と星を繋ぐ天異界を通せばなんとかなりそうか…」



 服装はこの世界の物でバラバラだが、全員黒髪で日本人と分かる顔立ち。



「これで転移者の地位が少しでも上がれば良いけど、これだけの人数がいれば迷惑な奴も居そうだな…平和ボケした勇者達が現実を知ったらどうなる事やら」



 もっと近くで観察したいが、あまり近付けない。次元を越えて、固有能力が発現している可能性が高いからだ。感知系能力者は確実に居ると踏んでいるので遠くから魔法を使わず目を凝らす。



「教皇の部屋に行けば名簿くらいありそうだな。能力とか書いてあると有り難いけど」



 見つかる前に大教会内部へ侵入。前回と同じく上の階の窓から侵入。教皇の部屋と会議室がある階だ。


 以前付けた盗聴器は証拠隠滅出来る10日程で溶けるタイプなので、新たに溶けないタイプの盗聴器を設置。ペタペタと貼っていく。



「教皇の部屋は誰も居ないか、上の祈りの間に気配がするからお祈り中かな?今の内か…」



 教皇の部屋に侵入。直ぐに机に勇者リストと書かれた資料を発見した。



「複製すればバレないか。コピー」


 白紙の紙を取り出し魔力を通してから、リストを溟海から貰った複製魔法で複製し、ストレージにしまう。材料があれば複製出来るので料理等によく使用している便利魔法だ。



「後は無いか、出よう」



 こそこそと教皇の部屋を出た。その時上に向かう階段から誰かが降りてきたので、陰に隠れて様子を見る事に。



「では聖女様、また明日お祈りをしましょう」

「はい…分かりました…」

(聖女居たのか?いや、勇者の一人が聖女になったのか…)



 黒髪の女の子が教皇と共に階段から降りてきて会話をしている。聖女と言われた少女は暗い表情で返事をしていた。


(嫌そうだなー。まぁ誘拐されて聖女だなんて担がれたら誰だって嫌か…)


 聖女と言われた少女は表情を変えないまま大教会を出て居住区へ向かっていった。


(難儀なもんだねぇ。とりあえず来週辺りから潜入だから勇者に関してはこんなもんか…)


 カナンは大教会から出ずに地下へ向かう。ダンジョンコアの様子を見る為だ。



「あれ?立入禁止の張り紙だ。流石に迷宮化したら気付くか」



 地下への階段の前に新たに扉が設置され、立入禁止の張り紙が貼ってある。カナンは気にせず扉を開き、階段を降りていく。



「地下部分が迷宮化したんだな。まぁ勇者を鍛えるなら打ってつけの環境だよな。地下にダンジョンがあるなんて」



 やがて周囲の魔力が変質した。どうやら階段の途中でダンジョンに突入した様だ。



「一応このダンジョンのオーナーだから、コアの基本情報と位置が分かるんだよなー。……このコアの魔力は……俺、アイ、紅羽と、誰だ?なんか懐かしい様な覚えのある魔力だけど……白、黒、銀の魔力がメインだな…やっぱり聖女キリエが復活したのか?」



 首を傾げながら階段を降りていく。しかし階段の幅が広くなるだけで中々フロアに行かない。



「一階まだ?珍しいけど一本道タイプかな?罠が少ない代わりに大量の魔物が出たり、強い魔物が出るけど、見返りも大きい夢を見れるダンジョン」



 ダンジョンのオーナーの場合、ボス系の魔物以外は襲って来ないのでサクサク階段を降りていく。


 やがて赤色の大きな両開きの扉が現れた。コアの位置はまだ奥なのでまだ先はありそうなので、最初のボスと判断。



「ボスかな?早いな。いや、魔物と闘っていないからか…さて、最初のボスはなんだろなー」

コピー~複合上位属性魔法、材料さえあれば複製出来る魔法。物によって属性が違うので、作り方を知らないと複製出来ない。大規模な複製をする場合は、超位か禁術の複製魔法を使用する。

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