今後を考える
王都を照らした大きな光は
王城を優しい光で包み込み
夜中にも関わらず
多くの人々が目にしたという
神や天使が降臨しただの
何か不吉の前触れだの
人々の間では論争が繰り広げられた
後日、王城は
大きな光が現れた時に
第三王女の病が完全に治ったと発表
細かい事実は伏せ
神の奇跡として扱った
人々は歓喜し各地で喜び合い宴が開かれた
―――
カナンは聞いた情報を図書館で考える。
「父さんからざっくり聞いたけど……神の奇跡ねえ…」
メガネを外し、ふぅっと一息。
「自分達は神に守られてるとでも言いたいのか?…まあその方が国民を操作しやすいか…」
呆れるような表情でこめかみをグリグリする。
「しかしまあ、王女に会うにしても、王女がどこまで話しているかだな…会いに行ったら捕まるとかシャレにならんしなー。囲いこまれるのだけは勘弁だ…とりあえず様子見かな」
そこであっと気付き、ため息が深くなる。
「にしても焦ってお風呂寄り忘れた…もう警備が厳重っぽいし…やはりメイドさんと、侍女さんはレベルが高い…悔しい」
しばらくボーッとしてから席を立つ。
「おねーさんまたね!」
「はい、カナン君また来てね。気を付けてね」
「うん!」
(おねーさんは今18歳、後10年したら俺が15、6歳。おねーさんは28歳か…うん、いけるな。確か精霊樹エリクサーと世界樹エリクサーと創生のナントカを混ぜたら若くなるんだったか?研究だな…)
考えながら家に帰り、部屋に戻った。部屋にはオードがおり、フンフンしていた。
「ただいまー、オード兄さん」
「おう!カナン!」
(筋トレ中か)
「カナンがくれたパワーリストってヤツ良いな!外した時に力を解放する感じ!」
(おお、いけるクチだな!)
「でも兄さんいつもソレしてるよね、一応浄化は付与してるけど毎日同じものだと不潔と思われちゃうから、何個か作っとくね。」
「おう!悪いな!」
(少し脳筋だけど優しくて、カッコいいからモテるんだよなー)
オードと雑談していると、部屋に誰かが入ってきた。
「にいちゃん」
「リナ、ただいま」
リナはカナンがプレゼントしたぬいぐるみをいつも持っている。抱えられるくらいのクマのぬいぐるみだ。
「ぎゅーして」
「はいよ」
最近カナンに甘えてくるので、いつも要望に応えてしまう。
「そうだリナ、本借りてきたぞ」
おとぎ話の絵本と可愛いモンスターの辞典を渡す。
「にいちゃん、ありがと」
本を抱き締めて、上目遣いでお礼を言うカタリナの頭を撫でる。
(よかった)
カタリナは早速本を読むようで、部屋から出ていった。オードのフンフン言っているのをBGMに机に座って考える。
(最近フジを探す人達が出てきたな……騎士団も機能してるし行動を控えるか?とりあえず名前を変えよう、もうちょっと成長すればやりようはあるけど……)
「にしてもメガネとマスクにフードだから似顔絵の意味ないんじゃね?」
似てないなー、と手にしている探し人のチラシを見て呟く。