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秋とグリーダ2

 進化の秘術。

 それは邪法を用いて進化する方法。暗黒物質(ダークマター)を身体に取り込む方法や、一部の魔物を取り込む。魔物との融合。邪族を喰らい続ける方法、負の魔力を喰らい続ける等があるが、進化には魔力が多い、又は魔法の適性が多い方が進化の条件を達成しやすい。


 一定のラインを超え、進化条件を満たすと人種では無くなり、絶大な魔力を手にする。そして固有魔法や固有能力を会得し理から外れ、魔王種となる。




 絶界内が邪気で溢れている。血生臭い様な、ねっとりとした魔力。常人では数秒と耐えられないであろう濃い魔力。


「この邪気…200年前の邪王より魔力が洗練されているな。なあグリーダ、お前の進化条件はなんだったんだ?」

「くはっ、怖じ気づいたか?冥土の土産に教えてやる。ゴミ虫の恐怖、怨嗟、憎悪のこもった魔力を喰らったのさ!ゴミ虫が泣き叫ぶ姿を観ながら喰らう魔力は格別に美味であった」


 思い出すように恍惚に唇を舐める姿は、刺々しくも妖艶な姿。カナンは話せば話すほどグリーダの外道さが際立って、仮面の下の顔は苛立ちと嫌悪感が滲み出ている。


「そうか…スラムの住人を生贄に魔王へ進化し、更に聖女へ移魂する事で、魔王の力を持った聖女へと昇華するのか。外道だな」


 そうなると殺すのは困難になる。カナンはギリギリで止めれた事に安堵しつつ。この強さに邪気、魔法玉の魔力が充満した絶界内で勢い余って直ぐに殺したら、邪神が顕現するんじゃね?と頭を悩ませる。


「貴様も分かっているのだろう?貴様が死ねば余は聖女と成りて更なる進化を遂げる。もし余が死ねば邪神と成りて、この世界を破壊する!貴様にはもう道は無いのだよ!ブラッディ・フォース!」


「闘う程に強くなる邪族の能力か…グリーダがもっと人の為に動いていたら、違う未来があったのかもな…」


「魔装・血恵の女王(ブラッディ・クィーン)!」


 グリーダがどす黒いオーラに包まれる。

 魔装・知恵の女王の色が血の色に染まる。赤黒く輝く、禍禍しくも美しい姿。その顔は、自分が絶対的な覇者だと言わんばかりの笑顔。


 そして血色の魔方陣が多数出現した


「紅羽と互角…か。やるねえ」


 カナンも魔法を発動。魔方陣を多数展開


「ん?術式が特殊だな…貴様の魔方陣…固有能力か?」

「お?ご名答。俺の固有能力、超汎用型魔方陣。理論さえ理解すれば、簡単な禁術までなら色を乗せて重ねるだけで魔法が発動出来る。何が来ても直ぐに対応出来る魔方陣だ。まっ、今世での努力って奴だ」


 グリーダは目を細めてカナンを見据える。邪気が次第に粘性を帯びるように濃くなっていく。それは嫉妬を意味するのか殺意が増したのか、見る限りでは分からない。


「貴様は…何を願った」

「俺は…自由さ。ところで、お前の目的はなんだ?」

「余の目的は…いや、貴様に言っても分かるまい!ブラッディ・ディザスター!」


 ドドドド!どす黒い濁流が渦を巻き絶界内を埋め尽くす。津波の様に全てを呑み込まんと勢い良く流れ出る

 カナンは禁術級魔法まで使えるグリーダに、心の何処かで称賛を送りつつ、魔方陣に色を乗せていく。


 カナンの魔方陣が全て白色に輝き、全てが重なった


「グリーダ…それでも俺には届かないぜ。ハイリッヒ・ベーレイニガン」


 カッ!!溢れ出る浄化の光、その暖かい光は絶界内を隅々まで照らしていく


「この光は!神聖魔法だと!」

「くっくっ、神聖魔法は邪属性の弱点だったよな。俺にも素質があったみたいだぜ?」


 神聖な光が絶界内のどす黒い濁流を照らす。次々と、溶ける様にどす黒い魔力が浄化されていく。グリーダは茫然とそれを眺める。


 邪属性の弱点。


「神聖魔法は聖女と勇者のみに許された属性…貴様は勇者だとでも言うのか!」

「んな訳あるか。俺は勇者と聖女の後ろから神聖魔法を直に視てきた。だから神聖魔法なんて努力すれば凡人でも出来るんだよ」

「そんな筈は!「あるさ」_っく!」


 光に当てられグリーダが片膝を付く。やがて苦しそうに胸を押さえながら肩で息をしだした。


「効いてきたか。この神聖浄化魔法は邪属性のお前には毒だからな…けど神聖付与などの逆だと良い効果になるんだよなー」


 不思議なもんだな…そう呟きカナンは巨大な魔方陣を展開する。


「く、ふふ。良いのか?余を殺せば邪神が顕現するぞ」

「まあ確かに存在力が極端に減ると女神様の降臨だがな…逆だよ」

「なに?_ぐっ…」


 魔方陣が輝く。白銀の巨大な魔方陣。


「元々この魔法は(おれ)がお前の為に大教会に忍び込んで手に入れた魔法なんだが……まあ効果は俺が体験して実証済みだ」

「何を、する、気だ!」


 ストレージから白色精霊石を一掴み取り出す。


「それ、は、精霊、石…」

「そう、お前の為にわざわざ探してやったんだぜ?白色精霊石があればこの魔法を他人に付与出来るんだ」


 感謝しろよ?そう言ってカナンはグリーダに近付き精霊石を押し当てる。

「フュージョン」

「_っ!あああぁぁぁ!」


 白色の精霊石がグリーダと融合。無理矢理白色魔力を植え付けられたグリーダはもがき苦しむ。


「ははっ、こんな事で苦しむなよ。まだまだ始まったばかりじゃねえか」


 グリーダの顔を掴みながら白銀の魔力を練り上げる。


 やがて白銀の巨大な魔方陣が回転し、魔法が完成した。




「ようやく本気で魔法が撃てる!エターナル・リヴァイブ!」


 グリーダが白銀の光に包まれた、そしてフッと光がグリーダの中に消える。


「余になにを……何をしたあああぁぁぁ!」

「何をって、死にたくねえんだろ?俺が望みを叶えてやったんだ。ディメンション・カット」

「_ぐあああ!」


 カナンは空間を斬り、グリーダの右腕を斬り落とす。

 ドサッという音を立てて右腕が落ち、そして溶けるように落ちた右腕が消えていった。


 エターナル・リヴァイブの効果により、直ぐ様右腕が再生する様子を、グリーダは痛みに耐えながら茫然と眺める。


「再生の…禁術…だと…」

「そうそう、大量の白色精霊石の魔力プールにして運用されているから、ちょっとやそっとじゃ死なねえよ。だから…」


 お前の好きな拷問だぜ?無数の魔方陣を展開し、満面の笑顔を仮面の下に隠し告げるカナンに、グリーダは顔を引きつらせる。




「おめでとう(おれ)。願いが叶うぞ」






ハイリッヒ・ベーレイニガン~白色超位魔法、神聖浄化範囲魔法、浄化の光によって周囲の空気に神聖属性を混ぜる。


フュージョン~白、黒、灰色複合上位魔法、対象同士を合体させる。難易度によって魔力消費量が異なる。


ディメンション・カット~紫色上位魔法、空間を斬る魔法。耐性の無いモノは全て斬る事が出来る、主人公はこのチート魔法は何でも斬れるので、努力しなくなる魔法だと思っているから余り使わない様にしている。



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