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一時帰国

135話の後書きに魔法の説明記載するの忘れてたので、追記しておきました。

 ふよふよと飛んでいく精霊に付いて行き、森の奥へと進む。鬱蒼としたジャングルの様に木々が絡み合い、日の光が遮られ薄暗い森の中。


「結構良い薬草とか毒草があるなー。あまり人が入っていないのか?勿体無い」

『そうだねー、人は来ないみたいだよ。迷いの森って言われてるらしいし』

「ふーん、確かに多方向に魔力スポットがあるからかな。後で寄るか。珍しい植物がありそうだ」


 採取をしながらリーリアと雑談する。精霊の話も聞きながら、落葉を踏みしめ小さな川を渡り、更に進む。


「そういえば精霊ってどんな条件で人の前に姿を現すんだ?見た事無い人がほとんどなんだよ。それこそ世捨人みたいな人ばかりだし」

『精霊は人間をあんまり好きじゃないよ。一番この星を汚しているからねー。まー基本的には悪人を除いて、家族以外の、他人との繋がりや絆が薄い人かな?ぼっちとか、小さな子供とか。後は美味しい物持ってる人』


「へえー。前世で精霊の森に来た当時は、友達なんて居なかったし、街中で認識阻害メガネをフル活用していたからなー。今世も五歳の頃は友達が誰も居なかった…今は片手で数えられるくらいは居るな」

『アキの最初の友達は私だもんね!』

「そうだな。一番長い付き合いだ」

『因みにアキに付いている精霊の加護は、精霊と仲良くなりやすくなって、人間とは関わりが薄くなる。社会では、ぼっちまっしぐらだね!』

「おい、友達が出来にくいのはそれのせいか!」


 森の中を進み、やがて小さな洋館が現れる。人が住んでいる気配は無い。一般的な一軒家よりも少し大きな洋館。庭は雑草が生い茂り、遊具の様な物が見える。


「じゃあ中に入っておじさんと話してみますか」

『よろしくー。石に戻っているね』


 リーリアが石に戻り、精霊は周囲をふよふよと漂っている。洋館の扉が閉まっているのでノックしてみた。


 コンコン

「……物音がする、来たか?」


 ガチャ

「はい?…あっ!カナ_「マジックバレット」_ぐぎゃ!」


「よし、退治したぞ」

『アキ、今名前呼ばれなかった?』

「気のせいだぞ、こんなスキンヘッドでゴリゴリマッチョのおっさんの知り合いは居ない…ん?おっちゃんか?」


 カナンは顔を抑えゴロゴロと痛がっている筋肉の塊を眺める。闘技大会で会った選手、ゴイーム・ハンサに間違いないなーと思いながらもここに居るのが悪いからと、謝る気は無さそうだ。


「…いてて…てめえいきなり攻撃しやがって!」

「この館におっさんが住み着いて困っているという苦情を受けてな。討伐しようとここまで来たんだ。俺に討伐されるか出ていくか選ぶんだ、おっちゃん」

「お前には思いやりという物が無いのか!普通再会を喜ぶか何でここに居るのか聞くだろ!」

「そうなのか?まあ前金は受け取っているからな。一応聞くけど何でここに居るの?他の団員は?」


 館の中をチラッと見るが他に人は居ない様に見える。傭兵団を率いていた筈だけど?、今更カナンは首を傾げる。


「傭兵団は一時解散した…今帝都に剣聖が居るからって、皆オータム流の門下生になっちまったんだよ」

「あー、それは残念だったな。大人しく討伐でもされてくれ」

「話の途中だから指を向けるな!大人しく出来ねえよ!採取の依頼受けたら迷子になってな。丁度良く館があったから寝泊まりしていたんだ」


 そのまま話を進めるおっちゃんも中々だなーと思いながら、土魔法で浴槽を作り、お湯を溜める。


「何してるんだ?湯なんて溜めて」

「おっちゃん、まじ臭いから風呂入ってくれ」

「もっと優しく言ってくれ…泣きそうになる」

「おっちゃん、フェロモンが溢れ出ているぞ。俺にはレベルが高くて近付けないんだ」

「少し優しくなった!分かったよ…入るよ」

「終わったら呼んでなー。館の探検するから。はいタオル」


 おっさんの入浴なぞ見たくもないので洋館の中へ入る。中は意外と綺麗で荒らされた様子は無い。


「リーリア、この館に住んでいたのってどんな人か聞いてみて」

『はーい、…なんか薬師の人らしいよー。良くしてくれたから覚えてるって』

「へえー、良い素材があるから住み着いたのかな?でもどうやって洋館建てたんだ?魔法かな?」


 ふらふらと館を徘徊する。これといって何がある訳でも無く、ただの館の様だ。2階建ての小さな館。1階は調合部屋があり、2階は寝室等だ、1階の奥に地下の階段を見つけ、降りていく。


「見る限りは無人になってから100年以内かな?綺麗なのは精霊が手入れしてるんだろうけど老朽化は避けられないか…地下は貯蔵庫かな?サーチ。空洞発見」


 地下の小部屋で探索の魔法を発動。奥に空洞があるので調べてみる。どうやら壁で埋められているので崩壊させて穴を開けた。


「隠すって事は何かあるよなー。んー…種?」


 小さな空間に台座があり、その上に白色で5センチくらいの大粒の種らしき物が3粒乗せてあった。


「割とデカイけど何の種?説明無いから植えてみるか、リーリア、これ知ってる?」

『んー何だろうねー。精霊の森に一粒植えてみたら?』

「そうするか。一粒は保存で、もう一粒は鉢植えに植えよう」


 後は何も無い様なので入り口に戻る。丁度ゴイームが出て着替えを済ませた後の様だ。日の光が当たる場所に椅子を置き、ゴイームを座らせ、カナンも対面に座る。


「さっぱりした様だけど、この後どうするの?」

「特に決めて無いんだよなー。…カナン、国に帰るなら連れてって!どのみち迷子なんだよー!」

「あー丁度帰る予定だから良いよ」

「恩に着るよ!」


『アキー、白の精霊も来たいって!』

「ん?まあ良いけど」『ありがとーだって!』

「どうした?カナン。何?妖精、精霊と話してる?へえー、カナンは精霊に愛されし者なのか?」

「何それ?」

「俺の地元に伝わる伝承さ。精霊に愛されし者は、何だっけ?忘れたけど、地元に来たら歓迎されるぞ」

「へえー、どこにあるの?」

「ずっと南の国さ、暑い国で砂漠とかあるんだ」

「南で砂漠ってえと、ヤード国?」

「おっ!行った事あるのか?」

「昔になー」


 少し雑談して、もうここに用は無いので、ゴイームを浮かし、飛び立ってファー王国を目指す。山脈は迂回して進む。ゴイームはうるさいので寝かせてある。


「なあリーリア」『なーに?』

「妖精の加護ってあるのか?」

『もちろんあるよー。心配しないで!ちゃんと最初から付けているから!』

「……因みに効果は?」

『恋愛運上昇だよ!嬉しいでしょ!』

「それなら大丈夫か?」

『精霊の加護と合わさって、人間以外との恋愛運が上昇するんだよ!だから私のお陰でアイと出逢えたんだからねー!感謝してよー』

『あら、だからティナとリナちゃんの進展が遅いのね。もう、それなら早く言ってくれれば良いのに。ありがとうリーリア』

『我の時もリーリアのお陰か、ありがとうリーリア』

『どういたしましてー!聞かれるまで忘れてたんだー!当時は上手く喋れなかったんだよー!』


 石の中の住人が盛り上がる中、カナンは加速空間の部屋をどうやって作るか考えながら、ファー王国までぶっ飛ばして進む。

 太陽が傾く頃になって王都が見えてきた。中央区の路地裏に降り立ち、ゴイームをドサッと下ろして、疲れたーと伸びをする。


「んあ?ここは?着いた?あの距離を?すげえな…」

「ようこそファー王国へ、まあ後は自由にして良いよ。そうだ、俺に用事有ったら、東区にあるミラって店に大会に居たアヴァネさんが居るから聞いてみてー」

「あの姉ちゃんも居るんだな、ありがとうカナン!早速飲み明かして来る!」

「はいよ、因みに歓楽街は南区にあるから、案内見て行ってらっしゃい」

「はははっ、分かってるじゃねえか!じゃあ落ち着いたら店に行くから!」


 ゴイームと別れ、家に帰る。リビングに書き置きがあった。父と母は旅行に行ったらしい。父さん頑張ったんだなーと呟き、部屋に入る。


「あっ、魔力スポット行くの忘れてた。次回だな。早速加速空間の部屋作らなきゃ、ちょっと時間が無いし」

『時空魔法使うなら私も手伝うわよ?』


「おっ、じゃあ魔力込める時にお願いするよ。ちょっと作りたい物があってな。くっくっく、楽しくなってきた」

『じゃあ今日は夜更かしするのね?』

「ん?そうだよ?どうした?」

『何でも無いわ』









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