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ロブ王国の遺跡へ2

「試したかったんだ。新しい魔装」


『ギギギ…タイショウ…ホソク』


 わらわらと魔導エレベーターからやってくる成人男性程の大きさの、鉄色の古代の騎士。その中で紅羽は魔力を練りながら、ダイヤモンド製の十文字槍を上に掲げる。


「獄炎!」

 ゴオオ!黒い炎が紅羽を包み、徐々に鎧を形成していく。

 攻撃的なフォルム。

 少しトゲトゲしいデザインの腕、力強くも美しい曲線を描く脚。

 龍が口を開いた形の兜。背中には蝙蝠の羽の様な飛膜のある黒翼がバサッと開く。


 ―――


「やっぱり紅羽はアレが気に入ったのか」

「そうね。最初に会った時も龍の魔法使ってたくらいだから、ああいうのが好きなのよ。戦乙女(ヴァルキュリア)はイリアさんの魔装だからって言って、練習してたわよ」

「ははっ、超機動、攻撃特化の龍騎士(ドラゴンナイト)を最初見た時は目が輝いていたもんな。ところで紅羽に龍気を教えたけどモノにしたのか?」

「ウフフ、そうね。魔力も混ぜれる様になったから、魔龍気も使えるわよ?」

「まじかよ…天才め」


 ―――


「ふんっ」

 無造作な横凪ぎ

 ガガガガ!1度に5、6体の上半身と下半身が別れた。


 カシャンカシャンと紅羽へ向かう古代の騎士

「うーん、弱すぎだな」

 近付く騎士は全て真っ二つになっていく

 期待外れだという表情で機械的に薙ぎ倒す。


「全部倒せば大物出るかなあ」

 左手を天に掲げ龍気を放出

「龍炎散弾」

 紅羽の頭上に無数の炎が出現

 一つ一つが生き物の様に上下左右に動いている。


「貫け」

 バシュッ!一体を貫いたのを皮切りにバシュッバシュッと地上に存在していた騎士を貫き、ゴオオ!呑み込む様に燃え上がり灰になっていく。

『ギギギ…ギギ』


「……」

 辺りは魔導エレベーターが残り、至るところに古代の騎士の残骸が散乱している。考古学者がみたら卒倒するほどに歴史的価値のあるものだが、紅羽にとってはただの弱いゴーレムだ。


 ウィーーーン

 魔導エレベーターが稼働を始める。

 扉が開き、カシャンカシャンと再び稼働音が響く。


「ふん、少し強くなる程度じゃ詰まらないな」

 魔導エレベーターの扉一杯の大きさ、3メートル程の線の太い銀色の重騎士の姿。

 大きな盾と斧を持ち、次々と現れる。

 盾を構えている。全ての重騎士が現れるのを待っている様だ。

 紅羽も全ての重騎士が現れるのを待つ。

『タイショウ…ホソク…センメツ…』


「もう、来ないか。行くぞ!無双黒炎舞!」

 重騎士との距離を詰め、舞う様に黒炎の突き、払い、斬撃を繰り出す。

 ガシュ!騎士よりも硬さはあるが、難なく左右に真っ二つに切断。次の重騎士も流れる様な動きで、ドンッ!胸の中心を抉り沈黙させる。


「こんな物じゃ我は止められない!」

 槍を地面に突き立て龍気を解放。

黒葬(こくそう)昇龍(のぼりりゅう)!」

 地面から出現した黒い龍の顎が重騎士達をガブリと呑み込む。

 ガリッ!ガリッ!と噛み砕く音が響き

 やがてズブズブと顎を閉じた龍が地面へ戻る。


「もう終わりか?…ん?穴から魔力…大きいな」


 キィイイイイン!古代の騎士、重騎士の残骸から魔力をかき集める音が鳴り響く。

 ドンッ!ドンッ!と穴から重低音が聞こえてきた。


「…同じ?」

 ドンッ!と飛び出した銀色の影。くるくると回転しながら空へ打ち上がる。

 空中で停滞、直ぐにバサッと銀色の翼が開いた。


 身長は170センチに行くかどうか、古代の騎士と変わらない。太陽に照らされ、輝く白銀色の線の細い全身鎧に包まれた白銀の騎士。右手に白銀色の剣、左手に白銀の盾を持つ。その背中にはメタリックな羽根で出来た翼。


 瞳の部分から覗く2つの白い光は紅羽をしっかりと捉えている。


「マナゴーレムヒガイ98%。03シュツゲキシマス。タイショウホソク、カイセキ…サイガイシテイ、エンペラー・クリムゾン。セントウジュンビ」


「ふん、やっと楽しめそうだな」


 ―――


「アイ、出れる準備しとけよー」

「あら、知ってるの?」

「ああ、前世でな。魔の森を徘徊していた時に見つけた遺跡の中心で、押すなっ!ってボタンがあったから、迷わず押したら出てきたんだよ。まあ、俺の時はプロトタイプっぽかったけど」

「それは私も押すわね。何ていう卑劣な罠。強かった?」

「んー。解析ってヤツで弱点狙ってくるから、いやらしい奴だなーとは思ったよ。」

「アキの弱点は?戦闘の記憶ってあんまり観れないのよ」

「…綺麗なお姉さんだ」「…」


 ―――


「モードチェンジ。セイコウノツルギ、セキヤミノタテ」

 白銀の騎士の剣が青白く光り、盾が赤黒く染まった。


「龍気・纏」

 紅羽は騎士を見据えながら龍気を纏う。戦闘準備は完了だと言う様に、仁王立ちで待ち構える。


 白銀の騎士は、空中で紅羽を見下ろしながら金属の翼を広げ、天に掲げた青光の剣を輝かせる。


「ジャクテン、ミズ、コオリ、ヒカリ。フォトン・フラッド」

 白銀の騎士が剣を振り下ろす

 ドオオオ!青白く光る光の洪水が、大量の質量を持つ50メートルを超す巨大な斬撃となり紅羽を襲う


 紅羽は腰を落とし、右手に持った槍の切先を騎士に向け、左手は穂先に手を添えて構えた

「なかなかやるな!獄炎龍波!」

 黒い炎を立ち昇らせ、腰のバネを生かした捻りで右手に持った槍を騎士に向かって突きだし

 ギャアオオオオ!斬撃と同じ大きさの黒い炎を纏った龍が騎士の斬撃に衝突


 巨大な斬撃に龍が絡み付きギリギリとせめぎ合う


「ツイゲキ。チョウイマホウ、シャイニング・ブリザード」

 白銀の騎士が青、白色の魔方陣を展開

 剣の切先を紅羽に向け、ヒョオオオ!輝きを持った吹雪を叩き付ける


 ギリギリギリギリ!巨大な斬撃が大きくなり黒い炎の龍が押される


 紅羽も赤色の大きな魔方陣を展開

「ふん、天道」

 以前よりも発動が遥かに早くなった白く燃え上がる太陽を召喚

 大きさは100メートル超、以前の比ではない。ゴゴゴゴ!龍もろとも太陽で呑み込む


 紅羽は更に赤、黒色の巨大な魔方陣を展開

「まだだ!黒天道!」

 上空に召喚した黒く燃え上がる太陽

 ゴゴゴゴ!ゆっくりと白い太陽に向かって墜ちてくる


 やがて白い太陽と黒い太陽が接触

 ドッッ!白と黒の巨大な柱が地上を焼き付くし

 ドゴゴゴ!天高く、頂点が見えない程に立ち昇る



「……ちょっとちかれた」

 ふぅっと一息ついた紅羽は上空に移動、少し高い位置から炎の柱が収まるのを待つ


 やがて柱が収縮


 以前まであった遺跡の面影は無く焼け野原が広がっている。


 その中心に倒れている白銀の騎士。盾は力に耐え切れなかったのか砕けている。鎧は所々剥がれボロボロだ

 紅羽は地上に降り立ち、騎士に近付く


「ギギギ、エネルギー…ザンリョウ、42%…。マナキョウキュウカイシ。キョウイド…レベル9…リミッターカイジョ。パージ」


 ヨロヨロと立ち上がったボロボロの騎士はぶつぶつと呟き、フッと目の光が消えた。


 そして

 ガシャン!全身鎧が全て剥がれ落ちる


「へえ、まだまだ楽しめそうだな」

 騎士の姿を見て紅羽は楽しそうに口角を上げる。


 身長160センチ程、少し小柄な女性の姿。

 身体のラインが分かるピッタリとした白い服に身を包み。白い肌がチラチラと見える。

 背中まで伸びる白銀の髪は、キラキラと太陽に反射し、紅羽を見据える白銀の瞳は無機質な輝き。


「目標…殲滅します」




「あぁ、秋の言っていた弱点ってこの事だったのね」

「そうだな。出会って、解析されて速攻パージしたぞ。脅威度変態だってさ」

「変態だもんね」

「いや、アイさんも充分変態の領域だと思うぞ」

「そう?…そうね。そういえばこの間欲しい物が出来たのよ」

「ん?何だ?言ってみ?」

「私、リナちゃんの処女が欲しいのよ」

「…何言ってんすか」

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