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カナンとサティ

「ねえ秋ちゃん、会いたかった。凄く会いたかった。秋ちゃんと沢山お喋りしたかった。私ね頑張ったんだよ。秋ちゃんが凄い強いんだって分かってキモイ奴と光の中に消えてから、イリちゃんと一緒に修業したんだよ。いつも3の刻になると師匠の鼻毛が出てるのにも耐えて頑張ったんだよ。剣聖なんてなりたくなかったけど、有名になったら秋ちゃんに見付けて貰える、そう思って我慢したんだよ。ねえ、聞いてる?「あ、ああ」だからご褒美に抱いてよ。直ぐ抱いてよ、今抱いてよ、早く抱いてよ。「い、いや」ん?何?聞こえない。もっとハッキリと好きって言ってよ。大好きって言ってよ。愛してるって言ってよ。「ちょっ、落ち着いて」落ち着いてるよ?何?愛してるって言ってくれないの?私死ぬ、死ぬよ、今直ぐ死ぬよ。「あ、愛してますぅー」…ふふふ。私も愛してるよ。秋ちゃん」


 部屋の中で対峙するカナンとサティ。満開の華が咲くような笑顔を向けるサティ、それを見てカナンは顔を引きつらせている。


(このままじゃサティちゃんが危ないんじゃないか?アイと紅羽には期待しない方が良い、話が拗れるし)


「ふふふ、秋ちゃん秋ちゃん秋ちゃん」


「あー、抱くのは正直大歓迎なんだよ。覚醒エロフなら抱けば事態は収まるらしいが、アルティメット・エロフは何処に地雷が潜んでいるかわからない。最悪抱いたら心中とかありそうだ…それにこの正気じゃない状態のサティちゃんを抱くのは無しだ、男が廃る」


「イリちゃんとどっちが早く秋ちゃんを見つけるか勝負してたんだ…ふふふ、私の勝ちかな」


「イリアと仲良しだったもんな……こんなに長い間待っててくれたんだ。応えない訳にはいかねえ」


 カナンは魔法を起動させる。紫色の魔方陣を展開。


「秋ちゃん。もう居なくならないでね」

「ああ、居なくならないさ。なあサティちゃん、頑張ったご褒美に、俺からプレゼントをあげるよ」

「ふふふ、プレゼントくれるの?嬉しいな」


「ああ、頑張って作るから受け取ってくれ。タイム・アクセラレーション」



 ………


 ………音が消え、景色がゆっくりと流れる。


「サティちゃん、アルティメット・エロフの副作用が強いから鎮めないといけないんだ。ちょっと待っててな」


 笑顔のままゆっくり動くサティの頭を撫でて、机に向かう。


「さて、まずは安定のメガネを新しいメガネに取り替えないと。いや、外れたら精神が持たないよな、ブレスレット型も作るか」


 ストレージからダイヤモンドを取り出し、モデルの魔法を使用。1つは黒く染めメガネの形に、もう1つは白銀色にしてブレスレット型に作成。


「調整が難しいな…効果が強すぎると人形みたいになっちまう…エンチャント。調節機能付けるか…。エモーションコントロール・セレニティ」

 白、黒、銀色の魔方陣を使い、感情を落ち着かせる魔法を付与する。


「これを付ければ大丈夫かな?いや、落ち着いて自殺なんて始めたらどうしよう。んー、自殺をしない契約?…エンゲージか。アイ、紅羽。観てるんだろ。俺サティちゃんと結婚するから」

『ウフフ、大歓迎だよ』『我も歓迎する』

「ありがとな、愛してるよ」

『アキ、愛してる』『あ、愛してるぞ』

「ああ、ん?サティちゃん?」


 カナンがエンチャントをしている間に、サティは椅子に座っているカナンの後ろに回り、後ろから抱き締めていた。


「今は100倍速だからこのぐらいは動けるよな。今の内に交換しとくか」


 サティの左手にブレスレットを嵌めて、素早くメガネを交換。


「これで、よしっと。ん?サティちゃん、これはハグって言わないんだよ。チョークスリーパーって言うんだよ。だからちょっと腕を外して欲しいな。サティちゃん?」


 サティの右腕がカナンの首に絡まり、裸締めの状態になっている。じわじわと絞まる腕。カナンは落ち着いて指輪を作る。ダイヤモンドを緑色に染め、形を整えた。


「よし出来た、…今魔法を解除したら確実に死ぬな。じわじわ迫る死の恐怖ってこういうものなのか。もしかして殺人衝動もあったりする?大丈夫これ?ちょっと出力上げるか……おっ少しゆるんだ気がする」


 腕がゆるんだ隙に、下の方にズルリと抜け出す。椅子から立ち上がりサティを見る。


「あれ?もうこっち見てる、早くね?…なんか表情が柔らかくなったかな、成功?」


 魔法を解除してみないと分からない。カナンは出来る事はやったので、時間の魔法を解除する。


 ………


「サティちゃん、調子はどうだい?」

「秋ちゃん、少しボーッとする。チューで治して」

「後でな、とりあえず成功かな」

「チューしてくれないと、私…生きる気力が無くなるかも」

「…まだだったか。サティちゃん」

「なあに?」

「結婚しよっか」

「…………」

「サティちゃん?」

「…はい…喜んで…あきちゃん…ありがとう」

「こちらこそずっと想ってくれてありがとう。感情抑えつけちゃってごめんな。確か副作用は時間をかければ治る筈だから、ゆっくり治そう」

「…うん…うん」


 無表情で涙を流すサティの左手薬指にダイヤの指輪を嵌める。カナンはサティを抱き締めながら魔法を発動させる。白、黒、銀色の魔方陣を展開。


「プレシャスライフ・エンゲージ」


 二人を包む暖かい光。先に死んでおいて人の事言えないよなと思いながらも、命を大切にと願いを込めた魔法で二人を繋いだ。


「暖かい、秋ちゃんと、秋ちゃんと結婚出来た…やった」

「ちゃんとサティちゃんの副作用が治ったらエッチしような」

「そんなの…治るまで待てなかったらどうするの?襲っちゃって良い?」

「いや、まだ俺子供だし…もう少し成長してからな「じゃあ明日?」「早えよ」「えー、じゃあチューしよ?」


「わかったよ」


 過ぎ去った時を埋める様に重ねられた唇は、いつまでも離れる事は無く、精霊達が祝福する様に蒼い光で二人を照らしていた。


(アイと紅羽を紹介しないと…修羅場にならない事を祈ろう)


 カナンの祈りは届くのだろうか…



エモーションコントロール・セレニティ~光、闇、星属性複合超位魔法、感情を落ち着かせる魔法、本来は中位魔法だが、主人公は星属性を複合してサティ用に調整してある。


プレシャスライフ・エンゲージ~光、闇、星属性複合超位魔法。命を大切にする契約。本来は上位魔法だが、主人公は星属性を複合してサティ用に調整してある。

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