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カナン対剣聖4

「はぁ…アイすまん。俺、この闘いが終わったらばっくれるわ」

『ウフフ、気にしないで。それに、あれだけ派手に魔法使ってたのは最初からばっくれるつもりだったんでしょ?』

「ははっ、お見通しか」


 巨大な大砲になった剣聖を眺めながら、雑談する様にアイと話すカナン。次第に観客達はざわめき始める。あれが放たれたら射線の人間は大丈夫なのか、闘技台の結界は保つのか。カナンの後ろに居る観客の中には逃げる者もいる。


「とりあえず兄さんに連絡しとくか。兄さーん」

≪カ、カナン。どうした?≫

「俺この闘いが終わったら逃げるから、お昼頃に帝都の北門から出た先で落ち合おう」

≪え?北門?わ、わかった≫


 オードとの通信を終え。ふぅっと一息。花火の時は誤魔化せた様だけど…そう呟きメガネをクイッと上げながら魔法を起動。


 ブオン!紫色の巨大な魔方陣を展開


 観客達のざわめきが大きくなった。特に貴族席の方が騒がしい。あれは時空、軍を呼べ等、聞こえて来る。


「ははっ、流石に気付かれるかー。時空魔法の色は」


「あと少し…あれ?紫色の魔方陣…時空魔法?」


 キュイイイイン……魔力をかき集める音が止んだ。どうやらチャージが終わり待機状態に入った様だ。こうなると後は射つだけ。


「あ、そうだ!中が見えなきゃ逃げやすい!」

 カナンは白色の魔方陣を紫色の魔方陣に重ねる


「時空魔法…師匠から聞いた取得条件は…次元を越える、いやカナンは家族が居るからこの世界の人間な筈…じゃあ時空石を身体に取り込む?カナンの目は紫じゃないから違う…後は、後は、時空を極めた者が直接教える…あれ?複合?あれ?」


「ん?打たないの?そいじゃお先に。絶界・白」

 闘技台が白い結界に包まれた。観客達は中の様子が分からない。何が起こっているかはもう、中の者しか知る事が出来ない。


「これは……ふふ、ふふふ。師匠が言っていた…時空と他の色を重ねた複合魔法の使い方を知っているのは秋ちゃんだけだって…イリちゃんが何年かけても出来なかった秋ちゃんの魔法。ふふふ。カナン、貴方の師匠は龍王じゃ無かったのね!」


 キュイイイイン!剣聖は、にやつきながら更に魔力をかき集め、全ての魔力を大砲に注ぎ込んで行く。


「うえ!?まだ魔力吸うの!?あー…どうしよどうしよ…あっ!絶界は時間魔法だから空間魔法なら使えるか!よし!」


 剣聖が魔力をかき集めている隙に魔法を発動

 紫色の魔方陣を展開


 先にカナンの魔法が完成した

「間に合った!ディメンション・コントロール!」

 絶界内がカナンの魔力で満たされ


 その時剣聖の魔力チャージが終わった

「ふふふ。行くよ。アルティメット・カノン!」

 ドゴオオオ!

 大砲から放たれた魔力の濁流が巨大なレーザーとなり

 全てを呑み込む圧倒的な力、絶界を突き破る勢いでカナンに向かって行く


 強過ぎだろ…呟くカナンは両手を前に向け

「ゲート」

 目の前に大きな光の壁が出現した

 ドオオオオ!光の壁に直撃せずにレーザーが壁に吸い込まれて行く

「ん?当たって、無い?」


 剣聖不思議に思いながらも、更に魔力を注ぎレーザーを持続させる


「えー…まだ出るか。すげえな…」


 カナンは上を見上げる

 そこには絶界の頂点に設置された光の壁から伸びる光の筋、いや剣聖が放ったレーザーが天に昇っている…

 やがてレーザーが細くなっていき、消えていった


 大砲から煙が上がりプスンプスンとガス欠する様な音が聞こえる


「そういや無駄に凝って活動限界時の演出付けたんだっけ」





 そして消えて行く重戦車


 消えた先、剣聖が俯いて佇んでいた


 カナンは歩いて剣聖に近付く


「もう魔力切れなんだろ?もう、この勝負は終わりで良いかい」

「…ええ」


「そうか、聞きたかったんだけど…この大会はエリクサーが目的?」

「…ええ」


「そっか…(…急に無口になって怖いんだけど!)妹が病気って聞いたけど「不死病」…エリクサーで治らないけど「合併症」それ「エルフ喘息」あ、うん(怖いからゼロタイムで返事しないで!)俺が「お願い」……はい」


 剣聖は少しもじもじしながらカナンをチラチラ見て、ふぅーっと一息。何か意を決した様な無表情でカナンを見据える。


「…秋ちゃん」「へ?」「貴方の師匠?」

「い、いや違う…(自分が師匠な訳無いしな)」

「……………………」「(怖えよ!睨むなよ!)と、とりあえず俺は時空魔法使っちゃったから帝都から逃げなきゃいけない!」


「………帝都の西…クヴァルの町…」「わ、わかった。そこに「今から一緒に」行けば「直ぐに」妹「治せるぜ」……(割り込んで文章作らないで!)」


「はぁ…(俺が秋だって気付いて無いな…無いよな?とりあえず妹の様子を診るまで教えるのは駄目かな?サティちゃんの事だから妹に直ぐ教えそうだし…)じゃあ行くかー。丁度ドリルの穴が空いているからそこから出よう」

「…ええ、お礼はちゃんとするわ」

「お礼か…あっ、じゃあ!剣聖様のぱん__うがっ!(二人の殺気か!)」

「ん?どうした?」

「いや、なんでもない…」


 カナンと剣聖は二人でドリルの穴へ向かい、こそこそと帝都を出た。二人が逃げてしばらくした後、絶界が解け、観客達は困惑する。二人の姿が無いのだ。そして選手席を見ると誰も居ない。ざわめきの中、軍も到着した。決勝戦の両者が生死不明、この闘技大会は収拾の付かない事態に陥る事になる。

ディメンション・コントロール~空間属性魔法、魔力の届く範囲の空間を操作出来る。座標点を繋いだり、一応テレポートとか使えるが魔力感知が出来る相手だとバレバレなので狭い場所推奨の使い勝手の悪い魔法。

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