魔法殺し2
四大元素。この世界は火、水、土、風の4つの元素から構成されるという概念から来ている。そして光が差し闇が生まれる。
エレメンタルイーターは1つの世界なのかもしれないと…カナン少年は思う。
呆然とした表情でエレメンタルイーターを眺めながら、ため息を一つ。
「どうやって倒そう……」
打つ手が無く、悩む。また片っ端から行くかなーと思っていると、エレメンタルイーターが動き出した。
魔方陣が2つ出現した。赤色と緑色。
カナンは赤、緑の複合が来るか、火災旋風かな?と身構える。
「いきなり複合かよ……ん?重ならない?」
魔方陣は重ならず、炎と風がカナンを襲う。
火炎放射が放たれ
「よっと」
切り裂く風が迫る
「楽勝」
カナンは簡単にかわし、徐々に一筋の光が見えたような希望に満ちた表情になる。
「単調だ!よっしゃ!ヤツは弱ってる!……けど、とどめはどうすれば…」
悩んでいる間にもエレメンタルイーターの魔法は迫る。
土の弾丸
「よっ」
氷の弾丸
「っと」
やべー!とさらに悩む。
「さっき以上の攻撃はヤツの力も使ってるから無理だよなー」
火炎放射が追尾する
「よっ」
水のカッターが切り裂き迫る
「連発してくるなー」
まだ少しだけ余裕な表情を持つカナンはさらに考える。
「考えろ…弱ってる今しかない…落ち着け…整理しよう」
深呼吸をして、躱しながら集中力を切らさない様に努める。
「四大属性は効かない、光闇もあまり効果無し」
つむじ風が吹く
「よっ」
石のシャワーが降る
「んー…決定打が無い。今の身体じゃキツイか」
「でもヤツは弱ってる。早くしないと周りの魔力を吸収しそうだけど…」
「ひびだらけ…で、外装みたいのが剥がれている?」
カナンははっと気付く。
「なんで外装がある?」
風の弾丸が迫るがかわす
「剥がせれば」
思い立ったカナンは魔法を発動。灰色の魔方陣を展開した。
「スターディ」
自身の拳が頑丈になる魔法をかけ、決意の表情を浮かべる。
「試すか、物理は苦手だけど」
さらに魔法を発動し、緑色の魔方陣を展開。
「スピード」
風を纏い素早さを上げる。
迫る魔法をくぐり抜け、エレメンタルイーターの背後に素早く回り込み魔法を発動
灰色の魔方陣を多数展開
「インパクトフィスト!」
背中に一撃
殴るとドンッと衝撃が走る
殴る殴る
懐に入り込み
「おら!」
突き上げ仰け反る
「顎!」
飛びあがり顎にストレート
「みぞおち!」
落下中にハンマーパンチ
「腹!」
腹に掌低
「連打!」
衝撃の連撃
パラパラと剥がれゆく外装。その剥がれた中身はキラキラと煌めく身体が見える。
チラチラとエレメンタルイーターの中に星の輝きの様な煌めきが見えた。
魔法の効果が終わり少し離れ
「ハァ…ハァ…なんだ?これ…っ!」
星の輝きの様に見える物。
「___精霊」
かつて見たことのある光だった。
「数は……10__完全には吸収されていないのか?残りが10体か?…それであのパワーかよ…」
「吸収する力を強めたら精霊は消えるし、きっと振り出しにも戻る」
「精霊樹を譲ってくれた精霊には恩がある」
「嬉しそうに飛び回るあの姿が好きだった」
「お前らがいないと…リーリアが独りぼっちで悲しむじゃねえか」
「待ってろ、助けるから」
決意を胸にする
ふとエレメンタルイーターを見ると、また違う動きをし始めた。悩む様な、よくわからない仕草をする。
「殴った時に思ったが、もしかしたらいけるか?…ん?なんだ?」
不信に思うカナンは防御するための魔法を発動。
「シールド…何かするのか?」
透明な壁がカナンの前に出現した。
エレメンタルイーターが魔法を発動する。魔方陣が1つ出現。
緑色。
しかし切り裂く風が発生しないのをみて、カナンは不思議に思い首を傾げる。
「攻撃じゃない?_っまさか!俺の魔法を見て!」
やがてエレメンタルイーターが緑色の光に包まれる。
姿が
「消え__ガガガパリンッ!__ごふっ!(やべえ!)」
素早い動きで殴られシールドを破壊された。そして小さな身体は殴り飛ばされ、30メートル先まで吹っ飛ばされた。
「がっ__はっ!…」
痛みに耐え、のたうち回りながらも気力を振り絞り魔法を発動する。
「ハイ…ヒール(まじかよ!スピードを真似やがった!)」
白い光に包まれ回復されながら苦笑して、ゆっくりと立ち上がる。
「…はぁ…」
「ままならないなぁ」
カナンは諦めた表情でエレメンタルイーターを見据え、ゴオオ!魔力を解放する。
「ははっ…すげえよお前。ダンプカーみたいなパワーだったぞ」
エレメンタルイーターに話しかけるが、反応は薄い。エレメンタルイーターは何か考える仕草をしている。また何かするのだろうか。
ブオン!カナンは紫色の巨大な魔方陣を展開。
「敵の技見て真似るとかどこの主人公だよ…高等技術だぞ」
魔方陣がゆっくりと回転していく。
「子供だってのもあるが、前世以来だぜ?こんなに強いヤツは、こんなに痛いのもな」
魔方陣の回転が早くなる。
「誇って良いぜ……闘いで俺にこの魔法を使わせたのは…」
魔方陣が点滅しだす。
「龍王以来だ」
魔方陣から紫に輝く光が溢れ出す
「タイム・アクセラレーション」
―――――
―――
――
カナンの時間が加速する
音が消え
全ての映像がゆっくりゆっくり流れていく
「流石にキツイなー……早くしないと身体が保たない」
呟きながらエレメンタルイーターに歩いて近づく。そしてゆっくり動くその身体に手を突っ込み入れる。
「ぐっ…(熱い、凍る、痛い、硬い)」
四属性で出来た身体は触るだけでダメージを与える身体
(痛い…が前世程では無いな)
(力を吸収されるこいつらの方が辛いよな…)
(こりゃ難産ですこと……)
苦笑いしながら、魔力を纏った手で、丁寧に精霊を取り出していく。
「ひとつ!」
精霊を取り出したが手が焼け爛れ
「ふたつ!」
凍傷になり
「みっつ!」
切り刻まれ
「よっつ!」
指が折れる
「いつつ!」
燃え切り刻まれ炭化し
「むっつ!」
感電する
「ななつ!」
すりつぶされる
「やっつ!」
右腕は燃え尽き
「ここのつ!」
左腕は切り落とされた
残るは胸にある1体
(もう腕が無いや…あとひとつ)
顔を突っ込む
(ぐっ…あっ)
口で引っ張り出す
「ほー(とう)!」
変わり果てた姿になりながらも何とか魔法を発動
気合いを入れて白い巨大な魔方陣を展開
「ハァ…ハァ…」
「パーフェクト・ヒール」
超位の回復魔法。それは失った腕が再生し、顔も元に戻っていく
「ぐっ__流石に無理しすぎたなー」
胸を押さえるカナンは、赤ちゃん程に小さくなったエレメンタルイーターを眺める。踏みつけたら潰れそうな程に弱々しい姿。
「この状態なら効くかな?」
灰色の魔方陣を展開。
「セパレーション」
エレメンタルイーターが4つに分離。ファイアイーター、アクアイーター、アースイーター、ウィンドイーターに分離された。
最後に赤、青、黄、緑の魔方陣を展開し、それぞれの弱点の魔法を当てる。
「じゃあな」
ボボボボンッ!
エレメンタルイーターは消滅した
魔法を解除
時間の加速が元に戻る
「___くっ…ハァハァ」
「………はぁ」
「まだまだ弱っちいな俺」
荒れた大地を見ながら1人呟く
スターディ~無属性下位、指定の部位を頑丈にする。込める魔力により頑丈になる。
スピード~風属性中位魔法、風を纏い速くなる。込める魔力により速さは変わる。
インパクトフィスト~無属性中位魔法、殴った箇所に衝撃を与える。
タイム・アクセラレーション~時間属性禁術、自分の時間の流れを早くする。ただし、色々無理をするので全身筋肉痛は避けられない。
パーフェクト・ヒール~光属性超位魔法、欠損すら治す回復魔法。
セパレーション~無属性下位魔法、対象を分離、料理によく使われる魔法。
龍王~世界樹の近くに住んでいる龍の王




