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魔法殺し

エレメンタルイーターはまだこちらを意識していない。カナンは深呼吸をして情報を整理する。


「こいつはやべえな……別名は魔法殺し…あーくそ、最近まで弱い魔物ばかりだったから全然勘が戻ってねえ…」


それは四つの属性を持ち、一般的な魔法使いの魔法ではダメージを与えられない事を意味する。


カナンは魔法主体の戦闘スタイル。


「こりゃ相性が悪いなー。この目で見るのは初めてだが文献は3メートル、これは2メートル行かない、か?……強い…けど王種程では無い…はず」


リーリアが応援する様にピンク色の光を点滅させているのをチラリと見て、腹くくるかー、と弱気な心を切り替える。


「リーリア、ここら辺更地になりそうだけど大丈夫か?」

『だいじょうぶ…ふつうのき…すぐはえる』

「わかった、危ないから精霊樹の所まで戻っていてくれ」

『うん…がんばれ』


リーリアが行くのを見届ける。深い森の中で一人になる心細さを感じながら、エレメンタルイーターを眺める。


「さて、どうしようかな…火、水、土、風の4属性はまず効かないとみたけど、他の属性は…光、闇、無、重力、星、空間、時間、禁術か…複合魔法は4属性が入ってるとダメだし…」


「強い属性は転生してから使ってないからどうなるかわかんねえ…そもそも超位魔法は、子供の身体には負担がデカイから多様は出来ないしなあ…」


成長阻害されてチビになりたくないなー、と呟きなから魔法を発動。

白色の魔方陣を展開。


「とりあえず使い慣れた光魔法、ホーリーレイ!」


発動した魔法は光の上位魔法。


キィィン!と頭上から一筋の光が突き刺さり、光が増幅。


直径2メートル程の光の柱が天に登った。


そして光が晴れる。エレメンタルイーターに変化は無い様だった。


「__効かない…か。熱を持ってると変換するのか?…こっち見たな」


エレメンタルイーターは、こちらに目も鼻も口も無い顔を向け、こちらに手を向ける。エレメンタルイーターから魔力が吹き上がった。


赤、青、黄、緑の魔方陣が出現。


「うえっ!複数展開!?」


水の弾丸

「うお!」

土の弾丸

「うわ!」

風の鋭い鎌鼬

「はやっ!」

火炎放射

「最後!」


火が水が土が風がカナンに突き刺ささろうと迫るが、カナンはなんとか避ける。


「___ふぅ、これはまずいなー」


カナンは少し焦った表情で魔法を発動する。

黒色の魔方陣を展開。


「それなら落とす、ダークフォール!」


エレメンタルイーターの周りに闇が生まれ、徐々に闇に侵食され沈んでいく。


そしてスッポリと闇の中に沈んだ。


「……」


少し経ち、ボンッと突き破って這い出てきた。


「やっぱりだめかー」


エレメンタルイーターがカナンに手を向ける。

赤、青、黄、緑の魔方陣が出現した。


「四属性とか器用な事しやがって」


水の弾丸

「よっと」

土の散弾

「うえっ!」

切り裂く風が2つに分かれ

「ちょっ!」

火炎放射が追尾する

「熱っ!」


「___っあっつー!軌道変えてきやがって!」


カナンは怒った表情でエレメンタルイーターを見据える。


「反撃だ!」


少し迷いながら魔法を発動、灰色の魔方陣を展開する。


「片っ端から!ショックウェーブ!」


衝撃の波が多方向から襲う。


ドンドンドン!脚、腕、肩、顎に衝撃波が衝突。


身体が仰け反る。しかし某電脳映画の様な体制から動かず。


「おお!…いや押されただけか」


エレメンタルイーターの身体に変化は無かった。


「他の属性はあんまり使えないんだよなー…どうするかな」


エレメンタルイーターが違う動きをする。顔を上に向け、まるで何かを考えるような仕草。


「ん?どした?」


そして魔法が発動された。魔方陣が2つ出現。


緑色と青色の魔方陣。


カナンは、また水の弾丸と切り裂く風が来るのか?と身構える。


「ふたつ?風と水の強いやつか?いや重__なっ!」


魔法陣が二つ重なり、カナンに向かってバチバチッと電撃が走った。


「あ…がっ…」


避けられずに直撃。


(食らった…まずい)


風と水の複合属性、雷属性の攻撃を放ったエレメンタルイーターは首を傾げ、カナンに顔を向けている。


カナンは痺れる身体、感覚が薄れる身体に焦りを感じる。


「ぐっ…ぞ…(距離を取るしか)フ…ライ」


フラフラと身体が浮かび上がる。


焦る心、思うように動かない身体で何とか魔法を発動した。


「ハイ…ヒール」


パアッと身体が光に包まれ火傷と痺れが回復し、懐から精霊水を取り出し飲む。少しずつ魔力が回復していく様子を感じ、少しばかりの安堵を浮かべる。


しかしカナンの表情には最初にあった余裕は無い。


「ハァ…ハァ…危なかった…複合魔法使えるのかよ。どうする?強い魔法…制限された属性で複合魔法しかないか?」


エレメンタルイーターは、また何かを考えるような様子で上を向いている。


カナンは考えうる最悪を想定していく。


「まずいな…4属性複合されたら死ぬかもなー。精霊水で魔力は回復するがジリ貧だし…」


カナンがまた死にたく無いなーと思っている隙に、エレメンタルイーターが動く。


エレメンタルイーターの魔力が目視出来る程に立ち上ぼり、魔力を解放した。


魔方陣が4つ出現し、徐々に重なって行く。


最悪だ…と焦るカナン。


「おいおい…こうなりゃ!」


無我夢中で超位の魔法を発動させる。

まだ死にたくねえー!と叫びながら白と黒と銀色の魔方陣を展開した。


エレメンタルイーターの4つの魔方陣が重なり、火、水、土、風が重なり合い力の奔流が押し寄せる。


エレメンタルイーターからギシギシと軋む音が聞こえる。それだけ負担のある魔法なのか辛そうな雰囲気だ。


ドドドド!力の奔流がカナンに迫る。


その時カナンは叫び魔法を完成させた。

「うおおおおお!リフレクト・ミラー・フォース!」


ドンッ!カナンの目の前に巨大な鏡が現れた。


それは光と闇で出来た魔法反射の鏡。そして反射した魔法を星の力で増幅する魔法。


ゴゴゴー!鏡がエレメンタルイーターの魔法を抑え包み込む。


しかし容量オーバーなのかミシミシと軋む鏡の魔法。


「このままじゃ敗ける!もっと力を!」


カナンはさらに魔力を反射魔法に込めた。


「いけえええええええ!」


ドオオン!やがてカナンが競り勝ち


ゴゴゴゴ!力の奔流を押し返す


そして反射した魔法。火、水、風、土、光、闇が混じり合い星の力で増幅される。


七色の光となり力の奔流が濁流になり、エレメンタルイーターに襲いかかった。


耳が壊れる程の轟音が鳴り響く。


大地を揺るがすほどの轟音が響き渡り、地震の様に大地が揺れる。


風が暴風となり、砂塵で前が見えない。


やがて煙が晴れる。


「……」


目の前は更地になっており、衝突した場所には大きな穴が空いている。底が見えない程の大穴だ。


「…勝った…か」


カナンは気の抜けた表情で、へなへなとへたりこむ。そして安堵した表情を浮かべながら、魔力を回復する為に精霊水を飲む。


「はあー疲れたー」


空を見上げ遠くを見る、やりきった表情で笑顔を浮かべながら。


「まったく、子供を労れよな」


一人呟いた。









『ドクンッ』「ブホッ」




『ドクンッ』「ゲホッゲホッ」



『ドクンッドクンッ』


『ドクンッドクンッドクンッ』


「まじ…かよ…反射した四属性が入っていたから生きていたのか…」


大穴から浮き上がる影。4色の光は弱くなり、身体がひびだらけ。所々外装が剥がれている。


しかし、意思の力は衰えていないエレメンタルイーターがそこに存在していた。


『ブオオオォォォオオオ』


魂の叫び。精霊を食べ、強くなった自分がこんな小さな存在に打ちのめされた。


プライドを汚された。そう言わんばかりの怒りが溢れる。



「第2ラウンド……ってか」


ホーリーレイ~光属性上位魔法、聖なる光線を頭上から落とす。


ダークフォール~闇属性上位魔法、闇の中に引摺り込み暗闇の中、圧死させる


ショックウェーブ~無属性上位魔法、多数の衝撃の波をぶち当てる


リフレクト・ミラー・フォース~光、闇、星属性複合超位魔法、対象の攻撃を跳ね返す。その攻撃に光、闇属性を追加し星属性で倍増させる。隙がデカイ1発屋魔法




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