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執事萌えの悪役令嬢は乙女ゲームには不参加です

作者: 茶トラ

「カイン、待っていたわ。さあ、いらっしゃい。」


同じ年なのに色っぽいと評判の、学友のアリョーシャ様から「これで頑張ってくださいね」と夜着を頂いた夜。

一見シンプルに見えるその夜着は、薄絹1枚だけで出来ており。

胸のところのリボンを解くとあら不思議。

前が全開になるという、なんとも嬉しけしからん構造だった。

その夜着を身につけて、私の最萌な執事のカインのベッドに忍び込み。

今夜こそ、彼をモノにしてみせるとドキドキしながら待っていた。



※※※※※



私の最萌。

専属執事のカイン。



ここは乙女ゲーム。

私は悪役令嬢。

そして私は前世持ち。

前世を思い出して、ここが乙女ゲームの世界だとわかった時には、パニックを起こした。

危うくお父様に、気が触れたと修道院送りにされそうになった。

そんな時に一緒に思い出した、私の前世の性癖。


‐‐‐‐‐‐執事萌え


あの服、あの手袋を身に着けての繊細なしぐさ

主人を立てるための、一歩控えた佇まい

柔らかな物腰

そして何よりの「お嬢様」呼び

それらの全てに、前世の私は悶えまくっていた。


某乙女達が通るロードにある執事喫茶に。

そして聖書として祭壇にお供えしていた、某悪魔な執事様なアニメに。

嵌りまくっていた。

貢がせていただいていた。

世界の中心で愛は叫べなかったが、お布施する金額で愛を叫びまくっていた。



……前世の私は幸せだった。

彼氏とかいなかったけど、好きなものに全力投球出来ていたから

満足だった。



そして、今。

生まれ変わった現世で。

前世を思い出してから、初めてみた生執事に私の心が全力で震えた。


神のご褒美でしょうか?気まぐれでしょうか?

どっちでもいいです

全私が叫びます、全私が涙します!


ありがとうございます、ありがとうございます、ありがとうございます!!



それとともに、乙女ゲームな設定とか、自分の立ち位置とかどうでもよくなった。

婚約者候補の殿下とか、本気でどうでもいい。

私に王子様萌えは皆無だったから。

全部ヒロインに献上しましょう。

悪役なんてやってる暇はないの。

私の執事に愛をそそぐことに忙しいから。

没落?処刑??

そんなもの、愛する執事のために華麗に避けてみせましょう。



※※※※※


一日の仕事が終わり、ようやく休めると自室に戻ると、そこには薄絹をまとっただけのお嬢様が横たわっていた。


「カイン、待っていたわ。さあ、いらっしゃい。」


そんなセリフを口にしながら、妖しく視線をこちらによこす。

辛うじて薄い絹で守られている夜着の胸元に、白く繊細な指をかけ、リボンを解こうとした時。

ため息をつきながらバサッと自分の上着を被せた。


「寝言は、寝てからでお願いします。お嬢様。」




「ちょっと、カイン!どこ連れて行くのよ。離しなさい!」


よいしょとお嬢様を肩に担ぎ、お嬢様のお部屋へと連れて行く。

勿論、あんな薄着では風邪をひかれてしまうので、毛布でグルグル巻きにしてからですよ。



お嬢様のお部屋へたどり着き、再度よいしょとベッドへお嬢様を転がして。

毛布で簀巻き状態のまま、布団を上から掛けて差し上げる。

その間、お嬢様が何やら叫んでおりましたが、とりあえずスルーして、お休みの挨拶を済ませます。


「ぐっすりとお休み下さいませ。お嬢様。あ、ここでなら寝言はご自由にどうぞ。」


そういって、おでこに軽くキスを落として差し上げたら。

真っ赤になって枕に顔を埋めて大人しくなりました。


まったく家のお嬢様は大変にお可愛らしくて困ります。




---私のお嬢様を悪役になんてさせませんよ。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 執事萌えのお嬢様に共感できた。かなり萌える。そして執事かっこいい(笑)
2017/11/26 19:50 退会済み
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