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094 行きますか

2016. 12. 29

屋敷の門の前。そこで、ファナ達と屋敷の使用人達が向かい合っていた。


見送りの言葉を言うのはジェイクだ。しかし、微妙に見送りとは言えなかった。


「では、お嬢様。必ずまたお戻りください」

「う、うん……凄い力入ってるね……」


必ずだけ特にはっきりと言ったジェイク。ジェイクの後ろに控える使用人達も力強く頷いている。


どうやら信用がないようだ。


「ラクト様。本日から数えまして、三日は問題ありません」

「うむ。緊急の場合は影にな」

「はい。お気を付けて。お嬢様もお怪我のないように」

「は〜い」


心配されるのが嬉しいファナだ。影とは、どこに居ても駆け付ける凄腕の者達だ。ラクトが見初めた者なので、他とは比ぶべくもない。安心して出掛けられるというものだ。


彼らは、大陸中に潜んでいるらしく、人数もジェイクとラクトしか把握していない。


その端では、シルヴァとドランに向けてトミルアートが頭を下げていた。



「シルヴァ、ドラン。よろしくお願いします」

《任せられよ》

《シャァァ》


いつの間に仲良くなったのかとファナは一人、首を傾げたのだった。


◆◆◆◆◆


ノークを入れた四人と二匹は、町を出てからラクトの呼び出した黒霧に乗って大陸の東へと向かった。


東の端がもう直ぐ見えるという頃。様子がおかしい事に気づく


「ねぇ。あの辺、なんか黄色っぽくない?」


ファナが指さした方。そちらに全員が目を向ける。毒霧は緑のはずたが、なぜだろうと顔をしかめた。


「下が森だから……とかじゃないな……山はそこだろう?」


バルドが混乱気味にそれを見て言う。黄色に染まっている場所は、山を中心にして裾野を越え広がっていた。


「あそこは、町があるはずだがな……」


ラクトも不安気に呟いた。


「兄さん。ワインを作ってる農園は?」

「そうだなぁ……あの端だ」


ラクトが指をさす場所は、恐らく黄色の霧に覆われる場所の端だ。かろうじて、その農園だけは逃れている感じだ。


「これが毒の霧か……どうやって降りるつもりだ?」


ノークは、困惑した様子で下を眺め見る。


「どのみち、あの霧の中に行かないと状況が分かんないからね。確か……あった」


ファナは鞄から黒い小さな箱を取り出す。掌に乗る大きさの真四角の箱だ。


蓋を開けると、四つに部屋分けされた中に水晶で出来たような親指大の卵型の飾りが入っている。


「なんだ? それは」

「首飾りになってるんだけど、これは封囲術を発動してくれるんだ」

「そんな物で……?」


覗き込んだバルドとノークが揃って不審な表情をする。当然だ。バルド達が知る魔導具はもっと大きく、動力となる魔核と呼ばれる魔力が留められている石は、半年から一年で取り替えなくてはならない。面倒でお金のかかるものだ。


魔核とは、魔獣が持つ魔力の心臓部だ。大きさは様々で、大きな個体には大きな魔核がある。


魔獣は魔術を放つ時に、魔力を大気中から集める人と違い、常に呼吸と一緒に魔力だけを溜めておく場所を体内に作り出すのだ。


これにより、意識しなくても直ぐに能力を発現させる事ができる。


「これは、魔核を更に加工して、勝手に空気中から魔力を溜めて使えるようになってるの。師匠が他の世界で知った知識を使って作った魔導具なんだよ。ただ、隣の大陸では作ってるみたいだけどね」


消費するだけだった魔核に溜められた魔力を、外から吸収できるようにしてあるのだ。


時間が経てば、満タンまで溜め込む事ができる。これにラクトが少し誇らし気に答える。


「確かに、あちらではその方法をとっている。魔獣の数を魔核の為に減らす者が出ないようにな」


消費してしまえば、新たな物を用意しなくてはならない。それにより乱獲され、絶滅してしまう魔獣もいる。


ギルドの方で規制は掛けているが、これが昔からこの大陸では問題となっていた。


魔族の大陸では早くからそれに気付き、研究を進めたのだ。


「って事で、これどうぞ」

「お、おお……」


そうして、首飾りをバルドとノークに一つずつ渡したのだ。


読んでくださりありがとうございます◎



現場に到着。

いつもとは違う様子です。



では次回、また明日です。

よろしくお願いします◎


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