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069 兄妹の術競べ

2016. 11. 24

ラクトへと向かってきた光の矢。咄嗟にラクトは防御の魔術で壁を作った。それによって、あっさり砕け散る。


だが、明らかに向かって来た場所はラクトの頭を狙っていた。


「兄さんっ」

「心配ない。それより、壺が……」

「あっ」


勢いよく振り向き、両手を翳したのだ。その為、持っていた壺を放り出す結果となってしまった。


「まずいな……私の術で何とか留まってはいるが……」


ラクトは自分が狙われたというのに、放った者が何者なのか、どこから飛んできたのかという事などまるで興味がない様子だ。


今気にしなくてはならないのは、封印の壺らしい。


ファナは空を見上げ、犯人を探す。しかし、その姿を見つけるより先に、先ほどと同じ光の矢が幾つも向かってくるのが見えた。


「それはどうにかするから、それより、また来てるっ」


壺なんて後でいいと言うファナに、ラクトは困ったような表情で答える。


「これ以上ファナの手を煩わせるわけにはいかないだろう」

「別に良いってっ、それよりっ」


もうすぐにまで近付いている。ファナは防御の魔術を展開する。これで打ち消せるだろう。


しかし、それにラクトが手を加えた。


「それではキリがない」

「え……」


そう言って、ラクトはファナの術に被せるように何かの術を発動させる。


すると、防御の壁にぶつかった矢が刺さったように止まる。本来ならば、最初にラクトが作った壁のように、当たった時点で砕け散るはずなのだ。


だが、それはそのまま力を溜めるように震え、次の瞬間、跳ね返すように飛んできた方向へと光の矢がそのまま飛んでいった。


「うそ……」

「私のファナに当たったらどうするつもりだ」

「……」


ようやく苛立ったように顔を上げたのは、ファナにまで被害が及ぶと思ったからのようだ。


「まったく、どこのどいつだ。私を狙うならきっちり私だけを狙え。隣にいるファナに当たったら捻り殺すぞ」

「……兄さん……?」


だんだん腹が立ってきたようだが、その理由は全てファナのようだ。


自分が危ない目に合うのは構わないらしい。先ほどの術を見ても、どんな攻撃が来た所で全て対処可能なのだろう。


本当に底が知れない人だ。


「あいつか」


返って来るとは思わなかったのだろう。なんとか避けた者は、丸い球体の中にいるようだった。


「あれで飛んでるの?」

「変わった術だな……割れるか?」

「ん? 割る? う〜ん。やってみる」

「私も一緒にやろう。そうだ。あれを私が撃ち落とせたら、この後、真っ直ぐ一緒に家へ帰るというのはどうだ?」

「なんでそうなんの? まぁいいか……」

「よし、では行くぞ」

「は〜い」


なんだかおかしな事になったが、攻撃されたのだから、仕返しても問題ない。


「あの距離だと……ビームがいいね」

「び、び? なんだ、それは」

「ん? 師匠が言ってたの。よくわかんないけど、反射光みたいな、真っ直ぐ長いやつ」

「ほぉ……是非やって見せてくれ」

「任せて」


ファナは久し振りの大業だと、張り切って魔力を練り上げ、赤く光る光線を発射した。


それは真っ直ぐ、細く、鋭い速さで向かっていった。


しかし、割るまではいかなかった。少々方向がズレたようだ。掠って角度を変え、空高く光の線は消えていった。


「あぁ〜、真ん中に当たれば行けそうなんだけどな……ちょい、ポヨンとなったし」


その何者かも驚いたのだろう。少しばかり高度を下げた。逃げようとしているのだろうが、素早くは動けないようだ。


「危なかったな。ファナが割る前にやらねばならなかった」


ラクトは『ビーム』という知らない術に気を取られて、せっかくのファナを家へ連れて行くというチャンスを逃すところだったと焦った。


「次は私だ」


それからラクトは右手の人差し指を立て、頭上高く上げる。それを素早く振り下ろすと、縦に雷が走った。それは見事に何者かが入った風船を縦に切り裂いたのだった。


読んでくださりありがとうございます◎



あっさりピンチを回避。

反撃に移ります。

おかしな勝負になりました。



では次回、また明日です。

よろしくお願いします◎


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