第八十九話 止まない雨は無いっていうけど
ようやく更新できましたぁ……本っ当にお待たせして申し訳ありませんm(__)m
*第四回ネット小説大賞一次選考突破しました!これも、いつも応援してくださる皆様のおかげです。これからもよろしくお願いします。
では、今回の話をどうぞ。
雨が……降り続いている。
頭に当たった雫は頬を伝わり、首を伝わり、服を濡らす。濡れた服はしっとりとしていて、肌に張り付いてくる。それが少し気持ち悪い気がするけど、今は心底どうでも良かった。気持ち悪さは意識の外にやれる。それに、止まらない胸の鼓動がそんな感覚を紛らわせてくれている。胸は張り裂けそうで、それがどこか心地いい。雨で体は冷え切っている。でも、心は温かい。そのぬくもりを糧に、唯々足を動かす。
風は……まぁ、あるかな。結構強く吹いている。少し寒い。我慢できない程じゃないから大丈夫だけど。
しばらく走っていると、前方に森が見えてくる。一方でテント群の明かりは少し後方。
あと、もう少しだ。森の中には一際背の高い巨木があって、その周辺はその木に栄養が吸い取られて他の木が育たないのか、少し広めの広場みたいな場所になっている。そこにみーちゃんはいる……はずだ。
「はぁ、はぁ……!」
段々と。少しずつ。でも、確実に。心拍数が上がって過呼吸になってきているのが自分でも分かる。あぁ、ダメダメ落ち着け。ドウドウ。そうやって逸る気持ちを抑え込んで、木の根に引っかかってこけない様に気を付けながら、出来るだけ早く足を前に前に。
そうしていると、前方に一つの人影が見えてきた。一瞬みーちゃんかと思ったけど、どうも違う。女性にしては体格的にがっしりし過ぎているようにも思えた。
誰だ。こんな時間にこんな外れの場所まで来ているなんて……いや、俺自身もそうだけどさ。ともかく、近づいて確かめてみない事には進展しない。それに、どちらにせよ目的地に向かうには人影のすぐわきを通り過ぎるのが一番の近道なんだ。一々人影を避けて遠回りする必要も無い。
「よぉ」
「あぁ」
ある程度近付くと人影の方から声をかけてきた。
「コウタ……か」
声の主は勇者の一人であるコウタ。相変わらず鋭い視線だな。睨みつけるっていうか、そういう感じの目つきでこちらを見ている。あと、着ている服が暗い色だから迫力が増しているように感じる。
「んな時間にこんな場所に何の用だ?」
「……そっちこそ」
「今は俺が聞いてんだよ」
言うべき……なんだろうか。分からない。どうすれば正解なのか。いや、マジで。
今、ここで本当の事を言えば、多分、コウタから何か言われるだろう。もしかしたら、諦めて帰れとさえ言われるかもしれない。そう言われるに決まってる。
みーちゃん自身から教えてもらったことがある。目の前のこの男はみーちゃんを憎からず思っているって。俺が一人でみーちゃんに会う事は面白くないはずだ。逆の立場なら俺もそう思うはずだから容易く想像できる。
……まぁ、でも、言うしかないよな。そもそもコウタにはばれてるだろうし。この先にはみーちゃんたちがいる大木しかない。なら、俺の目的を連想するのは難しい事じゃないはずだし。
「みーちゃんのところに行く」
「そうかよ」
「……それだけか?」
「あ? 何で一々俺がてめぇの行くとこに文句言わなきゃいけねぇんだよ」
「いや、別に」
文句を言いたいわけじゃない。寧ろ、グチグチと言われない分ありがたいぐらい。
ただ、その反応が予想外だっただけだ。もっと色々と言われると思っていた。「なんであいつに会いに行く必要があるんだよ! あぁ?!」とか、そういう感じで。いつもそういう態度取られるし。
「何見てんだよ」
「あ……いや、特に意味ないけど」
「じゃあ、さっさとどっか行けや。目障りなんだよ。虫唾が奔る」
「そんな風に言う必要ないだろうが……」
口では文句を言いつつ。まぁ、先には進むんだけどね。いつまでもここに留まっている理由なんてないし、時間の無駄だ。それに、今も雨は降り続けている。長い時間、自ら進んで雨に当たりたいとは思わない。俺はそんなドМじゃない。
一方で、少し気になった。
何でコウタは土砂降りの真夜中にこんな場所にいたのだろうか。一瞬、それを質問しようと思った……けど、止めた。どうもこの男は俺を目の敵にしている節がある。どうせ教えてはくれないだろう。
「じゃあ、俺は行くからな」
そう声だけかけて、俺は再び走り出す。コウタからの返事は無い。それでいいと思う。
森の中は深い闇に覆われている。数メートル先も見えない状況。視界は最悪。でも、この先には彼女がいる。そう思えば、このぐらいは何てことない。
彼女のいる場所はもうすぐだ。そう逸る気持ちを押さえつけて、俺は森に足を踏み入れた。
――既に、俺の意識の中からコウタの存在は無くなっていた。
一人の少年が森の中を見つめている。
空高くから大量の雨が降り注いでいるが、彼に気にした様子は無い。
「今だけだ」
そう。今だけ。
何も感情が伺えない彼の瞳は森の奥に消え去った一人の少年の背中を貫いている。
――その事に走り続けている少年は気が付かない。
しばらく走っていると、突如として視界が良くなった。
森が途切れ、円状の広場が広がっている。その中心には一本の大木。まるで自分がこの森の主だと主張しているかのようにそびえ立っているその木の根元に少女はいた。
「みーちゃん……」
それは……幻想的な光景だった。
一人の少女がそこにいる。それだけの事のはずなのに、何故か視線が吸い寄せられる。それはまるで、甘い臭いを放つ一輪の花に誘われる蝶になった気分。少女の真っ白なロングワンピースが風にあおられて小さくはためいている。
間違いなく、俺の視線は大木の元で座り込む少女に独占されていた。
「――――! ……ユウ君?」
俺の呟きを拾ったのか、みーちゃんの顔がこちらを向く。そんな彼女に対し、片手を上げつつ呼び掛ける。
「よ、よう」
……いや、何が「よう」だよ、俺。
咄嗟に漏れた自分の言葉に突っ込みを入れざる負えない。
情けない。今更緊張してる。これからこの少女に自分の本音を――思いをぶつけるのかと思うと頭が真っ白になる。どうしても息が上がる。みーちゃんに見つめられている……その事が何故か途轍もなく恥ずかしい。
――あぁ、もう駄目駄目!
頭を振り、雫を辺りに撒き散らしつつも心を落ち着ける。
今、やらなきゃ。俺の全部をぶつけて、みーちゃんに謝らなきゃ……!
そうやって自分を鼓舞して、俺はみーちゃんの方に近づいていく。
「「………」」
一歩。
「「………」」
また一歩。もう一歩。
「「………」」
少しずつ。本当に少しずつみーちゃんに近づく。彼女との距離が縮まる度、息が苦しくなってくる。それでも、視界の中の少女が相変わらず元の場所にいる事が嬉しく思えた。まぁ、どっちも一切喋らずにいるから、ちょっと居心地の悪さがない事も無い。きっと、この居心地の悪さが俺と彼女の間にある溝の大きさなんだろう。六年前はこんな感じしなかったから。それだけ俺とみーちゃんは『離れて』しまったのだ。知らず知らずのうちに、二人は違う道を進んでいた。例えそれが望んでいなかった結果だとしても……六年という歳月はその結果を導くのには十分だった。十分過ぎたんだ。
そうやって離れていった二人の距離。それを今、俺は縮めている……そんな気がする。
視界が彼女以外を真っ白な背景へと変える。一挙手一投足が……もどかしい程に引き延ばされる。そんな中、俺の視界はみーちゃんの表情を鮮明に捉えた。――彼女は泣いていた。
ぽたりと頬を流れて落ちる雫。それは確実にみーちゃんの瞳から零れ落ちている。
何を泣いているの。みーちゃん。俺が悪かったのか。そうじゃなければ良い。でも、そうだと良い――とも思ってしまう。
何故だろう。やっぱりおかしいよ。今日の俺は。
そんなことを考えつつ、無限にも思えるほどにゆっくりと流れる時間の中で――俺はついに彼女の傍までやってきた。
相変わらず雨は止んでいない。俺は全身ずぶぬれだった。その一方でみーちゃんはあまり濡れていない。葉を生い茂らせる木が格好の雨宿り場所となっているせいだ。
ただ、少女には目元から頬、顎にかけて二筋の濡れた跡が残っている。
「隣、座って良い?」
「(コクン)」
みーちゃんは首を縦に振った。彼女の傍に俺は座り込む。
大木の幹を背もたれに、体を弛緩させた。
視界に映るのは、雨が降り注ぐだけの光景。一つ特徴があるとすれば、雨が降り注いでいる場所と地面が渇いている場所の境界線がある事だろうか。その境界線が、明確に世界を二分している。まぁ、それだけの光景とも言えるけどさ。何となく、ほんの一瞬だけ、この光景は『人事』じゃないように思えた。気のせいかもしれない。気のせいじゃないかもしれない。どっちでもないかもしれない。
この光景はみーちゃんにはどう見えているのだろう。少し。本当に少しだけ気になった。
「ふぅ……」
とにかく、だ。
言おう。
いつまでも黙ってるわけにもいかないし。やるって決めたからにはやってやろう。本音を彼女にぶつけよう。そう決意し、俺はみーちゃんの顔を横からのぞき込む。
「俺……さ。さっき、駿と少しだけ話たんだ」
「…………」
みーちゃんからの反応は無い。でも、今はそれでもいい。
「色々と度肝を抜かれたよ。今日の一連の出来事が全部仕組まれた事だったとか。それが全部俺の為だったとか。他にも一杯……」
「…………」
「その中で駿に聞かれたんだ。『人殺しは怖いか』って」
「……どう、答えたの?」
「怖い。ちょっとどころか、とても怖い――そんな感じ」
「……そう――そう、なんだ」
みーちゃんの声色は少しずつ暗くなっていく。小さく、頼りないものへと変わっていく。その声は明らかに揺れていた。
それでも、逃げるわけにはいかないから。締め付けられる心に鞭を打つ。
「その時、改めて人を刺した時の感覚を思い出して気持ち悪くなって――正直に言えば、もう人は殺したくないって思った。『何で俺がこんな事しなくちゃいけないんだよ』って叫びたくなった。……うん。辛かった」
「―――っ!」
みーちゃんの体がビクリと震えた。
「ビビりだよな。俺ってさ。本当にどうしようもないよな……」
「……そ、そんな事――」
「いいんだ。分かってる」
みーちゃんは否定してくれようとしたけど……これは俺の心の問題だ。
俺の心は俺が一番分かっている。
今でも気を抜けば、発狂してしまうかもしれない。みーちゃんの隣にいるから、そうして気分が高揚しているから、あまりそういう側面が表に出ていないだけ。俺はビビりで弱くて、どうしようもない奴……これは、紛れも無い真実なんだ。
「俺はきっと、覚悟とか、心の強さとか、そういうのが絶対的に足りないんだと思う」
「………」
みーちゃんは、今度は否定しなかった。それはつまり、彼女もそう思っているという事に他ならない。少し悲しそうな色を瞳に浮かべて、こちらを見つめている。
あぁ、俺、本当にダメだな。
強くなったつもりだった。勿論、この世界では一番――とまでは行かないけど、それでも、程ほど強い相手にそう簡単に殺されない程度の強さぐらいは身に付けたはずだと思っていた。確かにそうだったのかもしれない。間違いじゃなかったのかもしれない。
実際、今日の盗賊との戦闘は途中まではかなり余裕があった。あれぐらいの相手なら、十人同時でも相手に出来る自信がある。師匠やみーちゃんとの訓練はそれ程に苛烈で濃密だった。
翻って、『それ以外の部分』は――足りない。
こうして、何よりも大切な少女にこんな表情をさせてしまっている。
その事がとても悔しい。胸が張り裂けそうで――だからこそ、俺は彼女の瞳から目を反らさない。
俺が弱かった故の結果を。
その代償を。
無力感を。光景を。後悔を。
もう一度繰り返さない為に。もう、こうならないように。
俺はみーちゃんの今の表情を頭の中に焼き付けた。
「でもさ、俺、頑張るから」
「……うん」
「『俺、守られるだけじゃないから』」
それは、俺が少し前、みーちゃんに言った言葉。
みーちゃんがこの世界で体験したことを語り、泣き、微笑を浮かべて、宣言した。その宣言に返すような形で俺が言った言葉。
今よりもちっぽけで、まだ『本当の事』を何も知らなかった俺が、殆ど反射的に言った言葉。
きっとその言葉は『軽い』。どうしようもなく。この世界の事をこれっぽも理解していなかった奴の言葉なんて、きっとそんな物だ。取るに足らない――その程度の重さしか持っていない。
けど、
「『俺も、みーちゃんを守るよ。絶対』」
その言葉は紛れも無く、一寸の狂いも無く――俺自身の本音だった。どうしようもない位に、本気の言葉だった。
だから、自分の本音をぶつけるにあたってこれ以上の言葉は無いと直感した。
「それを嘘の言葉にしないように……俺、頑張るから」
「……何で……よ」
隣でみーちゃんがビクリと体を震えさせる。
こちらを見上げるその表情は今にも壊れてしまいそうで。
「……何で、何で……」
そんな彼女が愛おしくてしょうがなくなる。
「……何で何で何で何で――――――っ!」
その愛おしさを抑えきることが出来なくて。俺はみーちゃんの頭を自身の両手で包み込んだ。腕の中のみーちゃんの体は膠着し、次の瞬間には僅かばかりの抵抗を見せた。
「……バカバカバカバカバカバカバカぁ!」
ポカポカポカと、腹に小さな拳が叩きつけられる。少し痛い。みーちゃんは珍しく感情を爆発させていて、俺は腹を殴られ続けている。
でも、今はみーちゃんを放したくはなかった。だから、より一層、強く。でも、息苦しくないようにみーちゃんをギュウッと抱きしめる。柔らかい感覚。懐かしい匂い。それは六年前のあの時から何も変わっていなくて。それに安心感を覚えたのかもしれない。いつの間にか、視界がぼやけてきていた。
「……今日のお昼からずっとずっと怖かった……ユウ君に嫌われたんじゃないかって」
そんな事、無い。あるはずが無い。
「……そう思うと、体中が冷たくなって」
あぁ。ダメだ。今、その言葉はダメだ。悲しくて、痛みで胸が張り裂けそうになる。実際についさっきまで自分もそんな感覚に陥っているから、胸を刺す痛みは一押しだ。
「……自分で決めたことなのに……それなのに、私――」
「みーちゃんっ!」
そう、みーちゃんの言葉を遮って叫んだ時、俺はもう、限界だった。
みーちゃんを掻き抱く。背中に手を回して、体を密着させた。右手を後頭部に回して、彼女の頭を自身の肩口に密着させる。
「もう、いいから……大丈夫、だから」
今度はみーちゃんも抵抗しなかった。俺の背中にも彼女の両手が回され、力を込めて抱き付かれる。みーちゃんの掠れた息が肩にかかって背中がむず痒い。
そんな状態で俺はみーちゃんに語り掛ける。少しでも彼女の心が温まる様に。彼女の心を少しでも癒せるように。きっと、気が付かない内にたくさん傷つけてしまっていたこの少女が――願わくば、もうこれ以上傷つかないように……と。
その願いがおおよそ自分勝手で無責任なものなのだとしても、俺はそう願わずにはいられなかった。大木の根元では、少女の噛みしめたような小さな鳴き声だけが響いている。
そうやってしばらく動かないでいると、段々とみーちゃんの様子が落ち着いてきた。
過呼吸気味だったのが正常な呼吸に戻り、瞳にも静謐な色が浮かび上がってくる。
そして彼女は俺の中で深呼吸をした後、
「……ん、落ち着いた。ありがと」
いつもより少しだけ小さな声でお礼を言い、俺から体を離した。
柔らかい体の感触が遠ざかる。残念……かな。少し。
「……昔も、ユウ君はこうやって慰めてくれたよね」
「そうだっけ」
「……もう。ユウ君のあほ」
みーちゃんは頬を膨らませつつ呟いた。
文面だけを受け取れば、俺はみーちゃんに罵倒されたということになる。けど、そのみーちゃんの表情は……まぁ、なんていうか。
拗ねた子供みたいで、正直グッと来てしまった。本当はそうでもないはずなのに久々に見たような気がする、みーちゃんのかわいい表情。それを見た途端、俺の心がスッと軽くなる。
既に、さっきまでの沈痛な雰囲気はどこかに消えてしまっていた。
そして今は、目の前にいるみーちゃんが可愛くて可愛くてしょうがない。愛おしすぎてしょうがない。
「――俺、ずっと前から好きだよ。みーちゃんのこと」
だから、その言葉は自分でも驚くほどにスムーズに口に出せた。
「―――!」
一度言い始めたら止まらない。止まりたくない。源泉のように今までの思いが心の奥底から湧き続け、胸の中を一杯にし、外へとあふれ出ていく。そしてその思いは――言葉となる。
「初めて会った時から、ずっとみーちゃんと一緒にいると胸がドキドキしてた」
これがきっと、一番俺がみーちゃんに伝えたかったこと。
「六年前、みーちゃんが突然いなくなった時は、胸が張り裂けてしまいそうになった。いっそ、胸が張り裂ければいいのに――とさえ思った」
幾年も。幾年も。毎日積み重ねてきた思いは――想いは、今、みーちゃんに届いているだろうか。分からない……けど、届いているといいな。届いていて欲しいな――と思う。
「こっちの世界に来て、みーちゃんは確かに変わったのかもしれない。俺が知ってるみーちゃんじゃなくなったのかもしれない。それでも、俺は――」
今まで伝えきれなかった事、全部ここで伝ってほしい。
「俺は――戸神裕翔は美弥の事を愛しています」
そんな願いは――届いたのかもしれない。あるいは届かなかったのかもしれない。
ただ、みーちゃんは俺の言葉を聞いて、
「……はい
私も――裕翔の事を愛しています」
涙で赤くはらしている事も気にならないぐらいの眩しい笑顔で、返事を返してくれた。
心は――思ったよりも静かだ。
唯々、奥底の方で暖かい何かが生まれている。それはきっと、もうすぐ心を覆い尽くして、激しい感情の波を生み出すんだろう。
だから。今は。今だけは、この嵐の前の余韻に浸っていたい。
嬉しそうに微笑む少女と笑みを交わしていたい。
みーちゃんの顔が段々と近づいてくる。
一センチ。もう一センチ。
二人の間の距離に反比例するかのように、胸の鼓動はどんどん早くなる。
そして――夜闇の静寂の中で、俺は愛する少女と初めてのキスを交わした。ただ、互いに押し付けるだけの、不格好で短いキスは――少し、甘い味がした。
雨はいつの間にか上がっている。
雨が降り注いでいる所と降り注いでいない所の境界線は、もう無い。
――世界が一つに戻っていた。
今回の話はどうでしたでしょうか。
正直、ここで主人公たちを恋仲にするか否かというのはプロットが大まかに出来た時から頭を悩ませていた問題でした。
今後の二章、そして三章では主人公と幼馴染の絆を(ある意味で)試す展開が多くなるので、そういう場面になった際、主人公をくっ付けててもいいのかとずっと考えた結果が、今回の結末に繋がっております。
これが吉と出るか、凶と出るか……それは僕自身にも分かりません。ですが、出来るだけ良い物をかけるように精進していきたいと思います!
では、今回も読んでいただきありがとうございました!
次回もよろしくお願いします(*´ω`*)




