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第八話 初邂逅はカオスの中で

今回の話は、所謂、つなぎのようなものです。文章量も短いので、この話は読んでいただいても、読んでいただかなくてもほとんど変わりはありません。というより、無駄な話を見たくないという方は今すぐブラウザバックをされた方が得策かと………あまりにも話がカオスな事になってるので。

まぁ、今回の話は作者が書きたかったから書いた、息抜きの話のように思っていただければと思います。

あと、あまりにも文章が酷いので、今回の話は、今後改稿する可能性大です。


「びえええぇぇぇぇぇぇん!マズダアアアアアァァァァアァ!」

「ヨミ!」


 レティアの腕の中に、一人の少女が飛び込む。

 それだけなら、何かしらの感動の再会として処理されていた事だろう。そう、それなら問題なかったのだ。


 だが………


「お兄ちゃん!ありがとう!」

「お兄ぃ、大好きぃ!むぎゅう!」


 俺の足元には、何故か幾人かの可愛い幼女や幼男達が。彼女たちは、会って十分もたっていない俺にかなり懐いたようで、俺の足元に抱き付いて一向に離れようとしない。


「あぁ!皆あああああ!こっちに来てくれよおおおお………!」


 そして、少し離れた所には、一人で頭を抱えて泣き叫ぶ、爽やかイケメンのロリコンの姿も。


 そんな状況を見て、俺は頭を抱えた。




 どうして、こうなった……?



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 話は、約五分ほど前にさかのぼる。


 俺は治療室で目を覚ましたレティアと握手を交わすと、とある連絡を受けて、レティアと共にギルドのエントランスへと向かった。そこで待っていたのは、胸に同じ紋章を付けた眼鏡のエルフの女性と、金髪爽やかイケメンと、腰に二本の短剣を装備した、身長の低い女の子、さらにはワラワラと七歳前後の子供たちが二十人ほどであった。


『レティア(お姉ちゃん)(姉ぇ)!』


 俺とレティアの二人がギルドのエントランスに顔を出すなり、その集団の内の子供達がこちらに………いや、レティアへと突っ込んできた。


「みんな……!」


 そして、その集団を腕をいっぱいに広げて向かい入れるレティア。ちなみに、俺は集団に巻き込まれないように、すでに横に退避済みだ。いや、あれを正面から向かい入れようとするレティアはある意味すごいわ。あの集団、真正面から見れば、闘牛の大群に突っ込まれてるようなもんだからな。俺は、絶対に巻き込まれたくない。


 俺がそんな事を考えている内に、二十名以上の子供達はレティアへと突っ込んだ。そして、その集団を何事も無いかのように立ったまま受け止めるレティア。これも、ステータスの影響なのだろう。もし、ここが地球ならばありえないような光景である。


「私、お姉ちゃんが魔物にやられちゃったと思って、心配したよぉ!」

「レティア姉ぇ、怪我は無い?」

「ひゃっはー!レティアの姉貴!元気か?」


 口々に、レティアを気にかけた言葉をかける、子供達。その眼は、心底ほっとしたような、安心しきった物だった。


「うん!皆、心配してくれてありがとうね!お姉ちゃんは、元気だよ。そこにいる男の人に助けてもらったからね!」


 子供たちの声に答えながらも、レティアは俺の方を指差してそう告げた。

 その言葉に、レティアの周りに集まっていた子供達は一斉にこちらへと目を向ける。


 あれ、何故だろうか。今、一瞬、「キラーン☆」と、変な効果音が聞こえた気がする。


 そして、次の瞬間。


『わああああああああああああ!!』


 今度は俺の方向へと向かって、子供たちが突撃を仕掛けてきた。一瞬かわそうかなんて思ったりもしたが、そんな事をしたら、この子供たちが怪我をすることなど想像するのはたやすかった。そして、そんな事を分かっていながら、子供たちを交わしきれるほど、俺は無情にはなれなかった。結果としては、俺はレティアよりも低いSTR値のせいで子供たちに押しつぶされたのである。


 ちなみに、子供に押しつぶされる瞬間、俺は「この状況をより鮮明に表すとしたら、『スペインの闘牛』か『九州の闘牛』、どちらが適切か」などというどうでもいいお題について考えていた。所謂、ちょっとした現実逃避である。


「お兄ちゃん、名前何て言うの?」

「お兄ちゃん、レティア姉ぇを助けてくれてありがとうー!」

「お前、結構見どころがあるな!へへっ、俺の子分にしてやってもいいぞ!」


 俺の上に乗っかるなり、大量の言葉の雨を降らせてくる子供達。だが、何を言ってるのかはほとんど聞き取れない。俺は、聖徳太子じゃねえんだぞ。一人ずつ喋ろよ、一人ずつ。


 俺がそんな事を心の中で呟いていると、さすがに俺の事を哀れに思ったのか、今まで動く気配が無かった金髪爽やかイケメンがこちらに近付いてきて、子供たちに声をかけた。


「おーい、皆、そんなことしたら、その人に迷惑だろ?ほら、女の子は俺の方に来て、じゃれつこう!」


 おい待て、イケメン。何で、幼女だけ回収して、幼男はそのままにしようとしてるんだよ?!何か、イケメンの目がものすごく濁ってる。あれか。あのイケメン、幼女趣味ってやつか?


「えー、嫌だ」

「そうだよ。ノエルお兄ちゃんって、『ようじょしゅみ』の『せいはんざいしゃ』さんなんでしょー?町のおばちゃん達が言ってたよー。『ノエルお兄ちゃんには、15歳になるまで近付いちゃダメだよ』って」

「だから、ノエルお兄ちゃんとは遊んであげなーい!」


 あやうくロリコンの毒牙にかかりそうになった幼女たちだが、容赦ない言葉を浴びせかけて、ノエルと呼ばれた爽やかイケメンロリコンの精神をずたずたにしていく。町のおばちゃん、ナイスアシスト。


「うおおおおお?!何たることだっ!?」


 そしてついに、ノエルと呼ばれた爽やかイケメンロリコンは、幼女たちの容赦ない言葉に耐えきれなくなったのか、その場に崩れ落ちてわめき始めた。


 と、丁度その時にレティアの方では短剣を装備した少女と何か話しており、その少女が突然目を潤めたかと思うと、レティアの胸に顔を埋めた。


「びえええぇぇぇぇぇぇん!マズダアアアアアァァァァアァ!」

「ヨミ!」




 一方、俺は、何とかして立つことには成功したものの、相変わらず俺に体を密着させてくる子供たちからは、絶えない言葉攻めが行われる。


「お兄ちゃん!ありがとう!」

「お兄ぃ、大好きぃ!むぎゅう!」




 泣き崩れたままの爽やかイケメンはわめき続ける。


「あぁ!皆あああああ!こっちに来てくれよおおおお………!」




 そして、ここでようやく冒頭の部分になるのだ。


 ………いや、思い返してみても、何でこうなってしまったのか、よく分からんわ。



 結局、そのカオスな状況は、ずっと傍観を貫いていた眼鏡エルフの少女が場の回収に入るまで、およそ十分間ほど続くことになった。



 ちなみに、これが、今後も長く親密な付き合いとなるクラン、「紅蓮聖女アぺフチ・カムイ」との初邂逅だったとは、この時の俺は思いもしなかっただろう。







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