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第六十八話 再び謁見の間にて

今回は3千字足らずと短いです。ご了承くださいm(__)m


第三回OVLWEB小説大賞の一次選考を突破しましたことを報告させていただきます。いつも読んでくださっている皆様。本当にありがとうございます(*´ω`*)

この御恩は、今後の執筆活動で返していきますので、これからもよろしくお願いします。



*二十字悠が小説家になろうに登録してから一周年ということで、「マジックライフ!」のIFストーリーを短編という形で執筆しようと思います。何か話のアイデアがあれば、是非コメント欄にお願いします!


ちなみに、現在は「ハーレムエンド」と「クリスマスパーティー」の話を書く予定です。

翌日、俺は国王様直々のお呼び出しによって王都に召喚されていた。


 とは言っても、ここ二週間ほどは王城の調合室を利用するために毎日こちらへきていたので、特に目新しさはない。


 俺はいつもの様に、王城の中で定められた部屋に設置された「マーキング」へと転移し、部屋の扉をノックする。

 この部屋は、王城に許しを得られた空間魔法使いだけが使用できる部屋で、王城の中で唯一、この部屋の中にマーキングを施すことを許されている。そして、防犯対策の為か、この部屋の鍵は外側からのみ開くことが出来た。なので、部屋から出る際には部屋の外に待機している騎士に開錠してもらう必要があるのだ。


「ユートです」


 ノックに続いて自分の名前を言い。扉に自分の魔力を少しだけ流す。

 魔力は個人によって微妙に波長が違うため、日本で言う指紋と同じような役割を果たすことも出来る。この扉は、これ自体が魔力の認証システムでもあるのだ。


 しばらく俺が魔法具の明かりによってぼんやりと照らされた部屋の中で待っていると、外に待機していた騎士の承認の言葉と共に部屋の扉が開けられる。

 俺は外に出て、待機していた騎士の人に一礼した。


「ユート様」


 そう俺を呼びながら、一人の老メイドが近づいてくる。


 この王城のメイドを束ねるメイド長、スーパーウーマン筆頭のマリーダさんその人だ。

 既に年齢は六十を超えているという事らしいが、背筋はシュッと伸びていて顔に目立った皺も無いためか、まだアラフォー辺りに見える。その佇まいは、ランクC冒険者を軽くあしらえる実力の持ち主の為か、隙が無い。レベル四十を超えた今の俺でも、油断していたらあっさりと負けそうだ。


「マリーダさん、どうもです」


「本日は急なお呼び出しにも拘らず来ていただき、ありがとうございます。我が主は謁見の間で貴族の方たちと共にお待ちでございます。早急に着替えていただき、謁見の間へとご案内させていただきます」


「はい、分かりました」


 淡々と答える俺だが、心の中では、またあのキラキラした服を着なければいけないのかとため息を吐いていた。

 だけど、謁見する相手はこの国のリーダーであるストレア国王。更には、身分の高い人物も大勢集まっている。ある程度、身なりはきちんとしていかないとダメなのだろう。

 そう思う事で自分を納得させると、俺を着替えの間へと案内するというマリーダさんに付いていった。




 謁見の間の扉が開き、前回来た時と同じようにオーケストラによる演奏が始まる。どこか落ち着いた雰囲気のそれは、厳かかつ、包容力を感じさせた。


 そんな演奏の中、一直線に敷かれたレッドカーペットを辿り、俺は国王様の前で膝を突き、左手を右胸に添え、頭を下げる。これが、ストレア王国では上位に対しての公式の場での敬礼に当たるらしい。


「面を上げよ」


 国王様から声がかかる。

 下げていた頭を上げ、国王様へと視線を向けた。相変わらず、顎に生やした髭が立派である。


「よくぞ来てくれた、ユート殿」


「いえ、こちらこそ、王城の施設を使わせて頂いて感謝しています」


「なに、誠に礼を言うのはこちらじゃ。調合の件で突然の依頼を受けてもらっているからの」


 国王様がそう言うと、レッドカーペットの周りに並んで立っていた人達が次々と頷いた。

 よく見れば、彼らの服装は前回謁見した時に俺が来ていた物と似ている。という事は、彼らはこの国の貴族って奴なんだろうか。


 前回の謁見よりも、その数はかなり多く、幾つもの視線を感じる。


 ―――ジーーーーーーーッ


 そんな貴族達の中から、特に強く二つの視線を感じた。


 咄嗟に感じた視線その一を辿ると、その先にはどこか怯えた様子を見せるおっさん。


 そして、視線その二の先には、こちらをどこか値踏みしているような表情で見ている、俺とあまり年が変わらないように見える少年。その容姿は、上の下くらいか。少なくとも、俺よりは確実にカッコいい。……駿と比べると、多少分が悪いとは思うが。


 視線の主が美少女貴族令嬢ではない事に僅かにテンションを下げる俺。その瞬間、何故かひんやりとした何かを感じ、背中がブルッ! と震える。その感覚は、師匠達との訓練の時に感じる「殺気」に似ていた。しかし、発生源を確かめる為に視線だけを動かして辺りを見回してみても、それらしき物を放っている人物はいない。


 とりあえず、身の危険は無い(ハズ)と判断する事にしておく。


 それにしても。

 視線その二の方の青年が、俺の事を値踏みするように見てくることは理解できる。

 この国を代表する彼らにとって、俺のような転生者や勇者といった黒髪をしている者達は力の象徴であるらしい。その真価が如何ほどか、そういった事を見定めようとするのは当たり前だろう。はっきりとした視線は感じないけど、どうも他の貴族の人達も俺の事を値踏みしているみたいだし。


 だが、視線その一の方のおっさんが俺の事を怯えたように見てくるのは理解に苦しむ。

 俺なんて、地球にいた頃は「歩く人畜無害」とまで言われていたのにな。視線その二のおっさんは、例の小人族の将軍みたいに極度の対人恐怖症でも発症しているんだろうか。


「……ユート殿、どうかしたのかね?」


「いいえ、何でもありませんです。はい」


「そうか。それならいいんじゃが」


 まさか、警戒態勢を敷いている王城の中で「気のせいかもしれないですけど、殺気を感じましたぁ」なんて言えるわけがない。素人の意見だろうが、何やら騒ぎになることは間違いないのだから。


 そんな事を考えつつ、俺は何故今日ここに呼ばれたのか。その本題を聞くことにした。


「おお、そうじゃった。危うく本題を忘れるところじゃったわ」


 おい、国王!

 国王様のあっけらかんとした反応に、思わず心の中で盛大にツッコむ。


 勿論、国王様にそれが伝わる訳も無い。国王様はそのまま言葉を続けた。


「今回ユート殿をここに呼んだのは他でもない。――およそ二週間後の作戦時にユート殿にも、エスラド魔王国の首都攻略戦に参加してほしいのじゃよ。無論、ユート殿が戦闘をする必要はない。主に回復魔法を使う回復役でということなのじゃが……」


 その国王様の一言に、集まっていた貴族たちが沸く。

 皆、近くの人達とひそひそと話し合い、国王様の内心を伺っているようだ。

 そして、その視線の先にいるのは勿論、俺。

 彼らとしては、国王様の言葉は少々意外だった様子である。


 勿論、それは俺にしても同様で。


「……理由をお伺いしても?」


「うむ」


 国王様は頷く。


「これは、この世界に伝わる古い伝承なのじゃ」


 そう前置きし、国王様はとある話を始めた。


 ――この世界に秩序をもたらす「英雄」の話を。





今回も読んでいただき、ありがとうございました(*´ω`*)


次回もよろしくお願いします!

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