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第十五話 討伐戦の序章

前回の部タイトルが……まぁ微妙だったので今のに変更です。


あと、最後の最後に次回分の冒頭部分を追加しました。こちらの方がいいかと思いましたので。

 今回の討伐戦に参加したのは、Dランク冒険者23人、Cランク冒険者20人、Bランク冒険者9人。それらに俺と紅蓮聖女アぺフチ・カムイのレティア、ノエル、ヨミの三人を合わせた、冒険者56人と、アリッサさんにアリセルを加えたギルド職員十五名の合計71人だ。


 全員、パーティー毎に集まって隊列を組み、グリモアの街を出発した。


 草原は今まで魔物を狩る冒険者が減っていたため、かなりの数の魔物がうろついていたが、これだけの大所帯となると自分から襲ってくる魔物は殆どいない。

 とは言え、そのまま魔物を放置するのも問題があるらしいので、魔法使いを中心に、無理のない範囲で魔物を倒していく。

 ちなみに、俺も無理を言って魔物を倒す班に入れてもらい、経験値稼ぎをしていた。


 って、この人数で一列になって歩いてると、まるで大名行列だな。参勤交代でもしに行くのか?まぁ、目的がゴブリンキングの討伐だから、どっちかというと天誅に近いか。


 いや、もよく考えたら、現実の天誅組って尊王派だからゴブリンキングを擁護する側なんだよなぁ…あぁ、もうこの話終わり!


 何か、思考が変な方向に向かおうとしていたので、無理やり中断させる。


 そうして、比較的のんびりと魔物を狩り、目的地への行軍は進行していくのだった。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 街を出て、およそ一時間。俺たちはようやく目的地である、先日、紅蓮聖女アぺフチ・カムイのメンバーたちがゴブリンキングとゴブリン(愉快な仲間達)の一行に遭遇したという場所へとたどり着いた。


 周りを見ると、所々雑草が焦げていると思われる場所がいくつか散見された。

 おそらく、ゴブリンたちと殿おとりを務めたレティアが交戦した際、レティアが放った火属性魔法の跡だろう。……それにしても、火が他の所に燃え移らないで良かったな。もし、レティアの魔法の火が他に燃え移っていなかったら、ここ一帯は焼け野原になっていたかもしれない。


「おいレティア。ここで間違いないのか?」

「はい、間違いありません!」


 アリセルの問いかけに、少し緊張気味に肯定の意を返したレティア。そんなレティアの返事を聞いたアリセルは、俺や紅蓮聖女アぺフチ・カムイ以外の冒険者たちを集め、彼らを十の班に分けてその内の五つの班をゴブリンキング捜索隊として送り出した。勿論、彼らには俺自作のポーションを持たせてある。


 そして、残った五つの班の内、三つの班は俺たちが「拠点」として確保した場所の守護を任されている。


 今回の討伐作戦は日帰りでは無く、お泊りだ。


 作戦内容としては、レティアたちがゴブリンキングたちと遭遇した場所を「拠点」として確保。その拠点を中心に、しらみつぶしに近辺を捜索していく。といういたってシンプルな物だ。


 何故、今回の作戦が日帰りでは無く拠点を中心とした泊りなのかと言うと、ゴブリンキングをはじめとした、ゴブリンたちの生活リズムが個体によって不規則に違うという事が大きな理由として挙げられる。


 ゴブリン達には決まった行動時間帯と言うのは存在していない。強いて言うならば、一日中全てが行動時間であり、非行動時間でもある。一日中一切睡眠を取らない日があれば、逆に一日中寝て過ごす日と言うのもある。さながら、アクティブな引きこもりのような生活習慣を送っているのがゴブリンと言う魔物なのだ。

 で、ゴブリンの行動時間帯が決まっていないという事は、ゴブリンの中には夜に好き好んで活動している個体もいるという事。朝昼だけ捜索、討伐していたのではそう言う個体を狩ることは難しい。


 だからこその停泊。


 そして今、俺と紅蓮聖女アぺフチ・カムイの三人はギルド職員や拠点に残った冒険者達と共に拠点に複数のテントを設置する作業を終わらせ、一息ついている所だ。


 この設置されたテントは二つの班に三つずつ分け与えられ、自由に使っていいことになっている。ちなみに、俺のテントはノエルと二人で使う事に。ヨミとレティアの二人は隣のテントを使う事になっているようだ。

 テントの中はかなり広く、五人が寝転んでもまだ少し余裕があるほど。俺はそんな空間の中でノエルと二人、しばしの休憩を取っていた。


「はぁー。ユート、お疲れさん」

「あぁ、そっちもな……それにしても、レティアはまだしもお前やヨミが討伐戦に参加してくるなんて思ってもいなかった」

「あぁ、俺も討伐戦に参加することを決めたのは今朝だからな」

「いいのか?孤児院の方の事もあるんじゃないのか?」

「そっちはファニールとリーリアが何とかしてくれているから大丈夫だ。それに、俺は元からあまり孤児院の方に顔を出してるわけじゃないしな……」


 そう言いつつ、いかにも「悔しいです!」といった表情で歯を食いしばるノエル。


「いや、どっちかと言うと、周りから止められてるんじゃないのか?『小さい子に影響が出ないようにロリコンの性犯罪者は孤児院に近づかないようにっ!』って、レティアあたりから……」

「な…何故ユートがそれを?!」

「ノエルの日ごろの行いを見ていれば、大体わかる……って、やっぱりそうだったのかよ……」


 その後も「くそっ!」とか「何故だっ!?」とかノエルは独り言をブツブツとつぶやき始めたのでとりあえずしばらく無視。


 俺はアイテムボックスから調合セット(中)を取り出してここ最近できていなかったポーション類の新しい調合方法の研究にいそしむことにする。


 俺のこの討伐戦での役割は、あくまでも回復役と緊急時に撤退するときの一時的な足止め役。それ以外の時は拠点から出たり、他の冒険者達に迷惑がかかりさえしなければ自由にしてても良いと言われている。


 とはいえ、この世界には娯楽と言うのは本当に少ない。あったとしても、地球のチェスのようなボードゲームが二、三種類あるくらいで、それも昨日、紅蓮聖女アぺフチ・カムイのホームでレティアに遊び方を教えてもらったものの、どうにも複雑で俺にはできそうにも無い代物だったため結局断念してしまった。


 ……こんど、オセロか何か作ってみるかなぁ。なんて思ったりしながら、暇つぶし代わりに俺は調合を繰り返していく。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




 結局、その日はゴブリンキングは見つからず、ゴブリンが数体発見されただけの様で冒険者達は一度拠点へと呼び戻された。

 ただ、ゴブリンキングそのものは発見されなかったものの、森の中でいくつか大きな爪痕だったり、何か大きなものが引きずった跡のような、大型の魔物の痕跡が残されていたそう。で、それに危機感を覚えたアリセルが一旦冒険者達を全員呼び戻したらしい。

 本来なら、こういう風に皆を集めるのは非効率的なのでやらないよていだったそうだ。


 そんな事もあり、集まったみんなで一緒になって晩飯を食べる。


 その後アリセルから、昼間に見つかった痕跡の説明と、今後の探索は出来るだけ気を付けるようにという注意を受け、夜の巡回当番となっている冒険者の班が夜闇の中へと繰り出していった。昼間に巡回に出ていた冒険者は、拠点の周りの防衛当番に当たっている者以外は、皆静かに眠りについている。

 アリセルは皆に注意を促した後、すぐに自分のテントへと引っ込んでいってしまい、既に外にその姿は無い。

 俺も、さすがに周りの冒険者たちを起こすのは気が引けたので今日は早めに寝ることに決めた。


 腕時計が示している時間は21時。日本にいた時には考えられないような健康的な睡眠時間だ。


 ―――だが、もう寝る。


 そう決めたら後は早かった。


 テントと同じようにギルドから支給されていた寝袋に体を突っ込んで横になると、唐突に強烈な眠気に襲われる。

 俺はその眠気に体を預けるように、意識を深い深いところへと沈めていく……

 そして、さて、もう意識が完全に眠りに落ちるという段階になった時、未だに起きていたらしいノエルから唐突に話しかけられる。


「なぁ、ユート」

「……ぅん?」

「俺、どうやったらレティアに孤児院のロリたちと戯れることの許可を得られると思う?」

「まず、そのロリコンを直せ」


 即答だった。


 てか、まだその事を引きずってたのかよ。


 俺はそのままノエルを無視して眠りについた。



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 次の日、俺を眠りから叩き起こしたのは切羽詰まったアリセルの呼び声だった。





早く戦闘シーンに移りたいのに、中々移れないというこのやるせなさ……

本格的な戦闘シーンが入ってくるのは、多分二話後ですねorz

それまで、もうしばらくお待ちください……(;´Д`)


というか、最近、やたらとロリコンネタが多いような気がする( ゜Д゜)

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