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第百四話 闇と影。予感は警鐘を鳴らす

大幅修正しました。後半部分を丸ごと書き換えた形なので、改めて再投稿という形を取らせていただきました。(2017 1/18)

「……あの女は例の手紙を書いた『巫女』サーシャ付きのメイド――ムーン。一時は肩を並べて戦ったこともあるけど――今は私たちの敵」


 沈黙を保つアイゼルタリア城の一室。

 侵入妨害の結界を蹴破った先の部屋で、俺達は一人のメイドと遭遇(エンカウント)した。

 長く青い髪を揺らし、静かにたたずむメイド服を纏った女性――ムーン。

その雰囲気から察するに、歳は二十歳を過ぎた辺りーーぐらいだろうか。どこか大人びた顔立ちをしていて、物腰も落ち着いているように思える。ただ、その体からは絶え間なく害意が溢れ出している。みーちゃんが言った通り、彼女が俺たちの敵であることは間違いない。


そして、そんな非友好的な気配を放つムーンに対し、納刀した己の得物に手をかけつつも雅が。


「まさかあなたがここにいるとは思わなかったわ。サーシャは今回はお留守番なんでしょ?」


その声色は、どこか親近感を伴っているようにも感じられた。

しかし、ムーンはそんな雅の言葉を一蹴するように冷たく、起伏のない声で返答する。


「えぇ。ですが、今回は私は『こちら側』に配属されました。そもそも、サーシャ様がいないからといって私が来ないとは一言も申し上げていないはずですが」


「そう……そうだったわね……で、あなたはここを通してくれるつもりはあるのかしら?」


「いえ。申し訳ありませんがここで私が退くことは出来かねます。『少なくとも一人は足止めをなさい』とサーシャ様からも直々のご命令を承っておりますので……最低でも一人、ここで私がお相手させていただこうかと」


 そこまで言うと、ムーンはメイド服のロングスカートを下から俺が使っている物よりもさらに小ぶりなナイフを取り出し、視線を鋭くとがらせた。どうも、ただでは通らせてくれそうにも無い。少なくとも一人はここに残らないと。

 争いの臭いがする。これから始まるかもしれない闘争の予感が身を湧き立たせる。

 そんな中で雅が一歩前に踏み出た。その場にいる全員の注目が集まる中、雅が言い放つ。


「皆、ここは私に行かせてもらえるかしら」


 放たれた言葉はたったそれだけ。

 けどその声色から、絶対にここは譲らないという、彼女自身の強固な意思を感じ取れる。

 押しても、引いても、きっと雅はここで退くことは無い。そう理解させられる、覇気の籠った言の葉だった。


「いいわよね、美弥、ユート、ニーナ姫」


「……ん。どうせ誰かが残らないといけない。異論はない」


 みーちゃんが雅の意思を支持する。俺はと言えば、どうすればいいか正直分からない。ただ、この場でうじうじ考えている暇が無いというのは事実だ。即断即決しなきゃいけない。


「……俺も、雅に任せる」


「私もお二人に同意見です」


 結局、三人全員が雅にこの場を託すという答えを出した。

 すると、雅はニヤリと口角を上げ不敵に笑って見せた。そして、改めて彼女はムーンと相対する。

 何か譲れないものがあるかのように仁王立ちする雅がムーンに話しかけた。


「という訳だから。あなたの相手は私が務めるわ。もしかすると不服、かもしれないけど」


「いえ。私は主の命令を遂行するまで。そこに個人的な感情を挟むつもりはありません」


 和装とメイド服。異色の組み合わせの二人が互いを見据える。


「さぁ、三人共、早く行って。私なら大丈夫だから」


 異様な空気が漂う中、雅は言った。


「……ん。気をつけて」


「そっちもね」


 みーちゃんと雅のやり取りを最後に俺達は先へと進む。

 部屋の中を一気に駆け抜け、入ってきたのとは真逆の扉へと到達する。

 途中、ムーンの横を通過したが、彼女が何か仕掛けてくるようなことは無かった。雅を前にして不用意に動けないのか、それともそもそも俺達に危害を加えるつもりは無かったのか。とにかく、何か妨害されるというような事も無く、俺達三人は扉を蹴破り、部屋を脱したのだった。


◆ ◇ ◆ ◇ ◆


 一対の凶刃が交錯する。

 互いの命を削り取らんと明確な殺意が込められた二つの煌めきが、宙に不規則な波紋を描いていく。それは、美しくも恐ろしい、たった二人の乙女の剣舞だ。

 息を付く暇など無く、息を乱す事は許されない、正しく死合い。


「「――――っ!」」


 雅とムーン、観客の居ない舞を続ける二人から裂帛の気合いが発せられる。

 次の瞬間、彼女達が持つ刃が交差し、淀み一つない金属音が鳴り響いた。

 刹那、自分の腕にかかる途方もない衝撃に、互いに距離を取った。


 仕切り直し。

 すぐに体勢を立て直し、雅はほぼ同時に体勢を整えたらしいムーンの隙を伺うように、相手の一挙手一投足に意識を集中させ始める。しかし、そんな警戒を怠らずに緊張の糸を張り巡らす雅に対し、ムーンは何故か武器の構えを解いて、だらんと体を弛緩させた。

 そのムーンの態度に僅かに雅は眉を歪ませた。

 勿論、ムーンのそれはあくまでポーズであり、その立ち姿に一切の隙さえも見いだせない。だが、同時に彼女の方から積極的に攻めてこようという気概を感じることが出来なかった。


「――どういうつもりかしら?」


 鋭い視線でムーンを射抜く雅がそう問いかける。

 対してあくまでも無表情を貫くムーンは、変わらず変化のない表情でそれに答えた。


「深い意味はありません。ただ、私の役割はあくまでもあなたの足止めですので」


 つまり、そういう事だ。今回の目的の性質上、ムーンは無理をして戦う理由は無い。最悪、彼女の言う『役割』が果たされるまで雅をここに釘付けにしておけばいいだけなのだから。


「ふぅん。でも、その割には、さっきはかなり本気で来てたと思うのだけど」


「えぇ。敵は叩ける時に叩くーーそれが私のやりかたですので」


「そう……そういえば、あなたはそういう人だったわね」


 ぽつりと。とっくに忘れた過去を思い出したかのように呟く雅。

 実際、今の今まで雅はその事を忘れていた。正確に言えば、忘れるように努力した。

 どれだけ心地よかろうと、過去は過去でしかない。むしろ、過去が心地よければ良い程、『今』という地獄が過去と反比例するように苦しく感じてしまう。


 だから、今まで彼女は忘れていた。

 その方が結果的に楽だったから。

 かつて、目の前の女性が自分たちの仲間で、自分が彼女に対しそれまで感じたことのない位の親愛を抱いていたなど――今となっては、辛く、無意味な事象でしかないのだから。

 しかし、もう彼女を忘れるという逃げの一手を打つことは出来なさそうだと雅は悟った。

 本人を相手にする以上、何かを思い出さずにはいられない。彼女と共に辿った過去も、削ぎ落したはずの彼女に対する感情も、()()()流した涙の味も――きっと、雅は思い出してしまう。

 そうなった時、雅には自分が100%の力を出し切れるとは思えなかった。


「――もう、逃げられないのよね」


 ――だから、雅は久々に自分の感情を『封印』することに決めた。

 封印……とは言っても、その実態は唯の自己暗示に過ぎない。

 即ち、自分という意識そのものを心の奥底に沈め、固く閉ざし、一切合切の感情を全て己の領域外へと押しやる。――それは、かつて地球にいた頃、ただの傀儡の人形と化していた彼女が幼いながらに編み出した、自分を守る術。

 彼女を彼女足らしめる、孤独の領域(アイデンティティ)

 逃げない為に、目の前の事象から目を背ける――そんな矛盾を生み続ける精神的外殻。

 それを、彼女は纏う。


「あぁ……『つまらない』」


 己の無意識領域下に働きかける言葉が雅の口から紡がれ、直後、雅の瞳から光が消えた。

 暗い、暗い、底が見えない闇が雅の瞳の中に広がっていく。

 彼女の頭の中にあった感情が一時的に消え去り、それに追随するかのように『無駄』な思考が排除されていく。

 次第に彼女の思考は戦いに特化したそれへと変化していった。感情、その他もろもろの『無駄』な演算が消失し、そのキャパシティを戦闘へと転用したためだ。

 無駄のない思考演算は常に最適な解を導き出し、感情の残っていない冷酷な理性は敵対するものに無慈悲な斬撃を浴びせる。その様は、冷酷なる戦闘マシン。

 普段の彼女からは想像がつかない、雅の闇の一面。

 その一端が今、ここで顕現した。


「……さぁ」


 トリガーとなる言葉を紡いでから瞬きの間も無い内にがらりと表情(カオ)を変えた雅。彼女は澄み切った夜空のように真っ黒な瞳で(ムーン)を射抜くと、かつての同胞に刃を向けた。その体からは駿の光の粒子とは正反対――闇色に染まった粒子が溢れ出ている。


「殺し合いを、始めましょう」


「……始めからそのつもりです」


 雅の宣戦布告に対し、抑揚のない声でムーンが言葉を返す。

 もう既に、対峙する二人には、一切の躊躇はうかがえなかった。


「「―――――っ!!」」


 無言の気合いと共に、二人同時に床を蹴る。

 ほんの少しの間の後――激突。


◆ ◇ ◆ ◇ ◆


 扉を蹴破り、俺達は部屋を飛び出す。

 次第に遠くなっていく部屋から、雅とムーン――二人の濃密な気配が漏れ出しているが、それも段々と感じ辛くなっていく。


「雅さん……大丈夫でしょうか」


 後ろに視線をやりながらニーナが呟いた。

 その瞳は不安げな色を灯し僅かながらに揺れている。

 実際、ニーナは心配なんだろう。雅が確実に勝てる道理なんてのは無いし、ニーナはこういう荒事には不慣れだ。彼女自身の性格も相まって、心配せずにはいられないんだろう。

 まぁ、でも。


「きっと……大丈夫じゃないかな」


「何故そう思えるのですか?」


「いや、確信がある訳じゃないけど……強いて言うんだったら、『私なら大丈夫』って言った時の雅の表情かな。特に気負ってる感じは無かったし。それに、そもそも相手の目的はあそこで誰か一人を足止めするこ……と………………」


 自分の口から紡がれる言葉が段々と途切れ途切れになっていく。

 そして、それと同時、俺の頭の中で一つの違和感が隆起した。


「ユートさん、どうかしました?」


「……ユウ君、どうかした?」


「……なんで、ミコイル側は俺達を本気で止めに来ないんだ?」


「……そう? そんな風に思えないけど」


「いや、でも……」


 その違和感は、何てことは無い、もしかしたら、俺のただの勘違いかもしれない。そんな程度の小さなもの。

 けれども、その違和感を『勘違い』であると断定する事は出来そうになかった。


 事実、思い返せば、相手の戦力の配置は色々と非合理的な部分がある。

 例えば、最初の最初。俺達がこの街に侵攻した時。敵は、迷うことなく町の外に撤退した本隊を追って来た。けど、それはどう考えても悪手な選択肢だったはずだ。

 敵は外で待ち構えていて、自分たちは隊列を成して狭い入り口から壁外へ出て行く――そうなれば、壁を出た直後の、局地的な戦力差は圧倒的不利な状態となる。その事が敵の指揮官に分からないなんて事があるだろうか――いや、無い。ここは空想の物語の世界じゃない。そんなバカな指揮官がそういるはずもないだろう。

 なら、敵は自分たちが不利になることを承知で、あえて自ら壁の外に出て行ったという事になる。

 なんで、敵はあえて自分たちが不利な状況に持ち込んだんだ?


 そして、今も感じるこの『視線』。城に入ってからずっと付き纏っているこの視線の主は、一体何を考えているんだろうか。何をするでも無く、城に侵入してからずっと感じているこの視線の主は俺達が城を踏破していくのを眺めているだけで、何か挙動を起こす気配も無い。いや、魔道具の向こう側の気配を探ることなんて出来るわけないんだけど、それでも、何かこっちの動きを妨害する様なことはまだして来ない。

 なんで、この視線の主は静観を決め込んでいるんだ?


 ――分からない。

 とにかく、敵は確実に『何か』を謀っている。それだけは分かる。

 それに今のこの状況も、ただ駿や雅が敵に足止めされたというだけじゃない。見方を変えれば、俺達三人が味方から切り離されて孤立させられたと取ることも出来る。

 もし、俺が考えている事が敵が意図した結果なのだとしたら……マズくないか。

 ――今の俺達三人だけっていう、この状況は。

 そう俺が思い至り、二人に注意を促そうとしたその時、


「……二人とも、止まって」


 先頭を走るみーちゃんが突然、足を止めた。

 それに伴って、俺とニーナも急停止。

 なんで、いきなりみーちゃんは足を止めたんだ? 何か変化を感じ取った? その変化って何だ?

 分からない。分からないけど、とりあえずは安全の確保を優先しなきゃ。

 俺は注意を促す事は後回しにして、とりあえずニーナの後ろをカバーするために三人の中でも一番後ろへと陣取った。この中で一番戦闘能力が低いのはニーナだ。まずは一番に彼女の身の安全を守らなくちゃいけない。

 立ち位置を修正した後は、頭を振りつつ、意識を空間に溶け込ませるような感じで、辺りから降り注がれる『視線』の探ってみる。――けど、感じ取れる視線は一つだけだ。あの、煩わしい、この城に入ってから注がれ続けているあの視線。それ以外の視線を感じ取る事は俺にはできなかった。


 しかし、みーちゃんの瞳は前方を睨みつけていて、彼女は手慣れた動作で杖を構えた。

 直後、何か、嫌な『気配』が俺の頬を撫でた。

 腐ったような、穢れたような、とにかく、本能的に忌避してしまう感覚。

 背中にヒンヤリとした怖気が奔る。

 頭を過ぎる、不吉な予感。

 ――やがて、みーちゃんが睨みつけるその先から、


「……敵、だよ」


 みーちゃんの言葉に呼応するように『彼ら』は姿を現した。


『………………』


 無言のまま、廊下の暗闇のその奥からローブを纏った人影が複数出てくる。

 一人。二人。そして、背後、俺達がやって来た方向――退路となる方からも二人。

 完全包囲。逃げ場を失った。ここは敵地なのだと改めて意識の中に叩き込まれた気分だ。今更そんな事を再確認したところで後の祭りなんだけど。


「こいつら、いつの間にこんな近くに……? 全く気配は感じなかったぞ」


「……多分、こいつらアンデッドだよ、ユウ君」


「アンデッド? こいつらが……いや、確かにダンジョンで戦ったスケルトンたちと遭遇状況は似ているかも……」


 あの時――スケルトンが出現する階層を探索していた時も、今、目の前にいるこいつらみたいに気配や視線を感じ取ることは出来なかった。そう考えると、こいつらがアンデッドだというみーちゃんの言葉が的を射ている可能性は高い。

 だけど、本当にこいつらがアンデッドだという確証も無い。


 とりあえず、情報だ。情報が欲しい。

 俺は鑑定を発動させて敵のステータスを覗こうと試みた。自身の目前。丁度退路側を陣取っている二人のローブの内の一人に鑑定を使う。けど、それは失敗に終わる。

 纏っているローブが特殊なのか、何かに弾かれたように鑑定の効果を無効化されたのだ。

 念のため、もう一人の方にも行使してみるが、結果は同じだった。


「鑑定が効かない……」


「……ん。こっちも同じ」


 俺とは逆の方向――進行方向に陣取った敵を鑑定したみーちゃんが言う。

 これで確定的になった。敵には鑑定は効かない。いや、何か細工か何かをすれば効くようになるかもしれない。けど、今はそんな事をしている暇なんてないし、余裕も無い。

 情報が圧倒的に不足している今の状況でこの場を打開するしか、道は無い。

 まぁ、師匠との訓練の中にはこういう状況を想定したものもあったから、そこまで悲観的になる必要も無い…と、思う。多分。ともかく、差し当たっては、この囲まれている状況をどうにかしないといけない……か。


「とりあえず、後ろ側は俺が受け持つから、みーちゃんはそっちの方を頼んでいい?」


「……ん。ニーナには私が魔力障壁を張っておく」


 みーちゃんの言葉に頷き、俺は退路側のローブ二人と対峙する。

 腰のナイフを二本、引き抜いた。

 すると、ローブの内の一人。一際背が高い奴が飛び出し、突攻を仕掛けてくる。その速度は思っていたものよりも早い。けれど、対処できない程じゃない。全然目で追える。これぐらいなら、多分、俺の方が速い。


「『シャインバースト』!」


 手を目前に掲げ、俺は飛び出してきたローブに向かって魔法を放つ。

 シャインバースト。光属性中級魔法。それなりに多いMP消費と引き換えに放つ、()()()()()()()魔法。全般的にアンデッドに効果の高い光属性魔法の中でも、特にアンデッドに対して有効な砲撃型魔法だ。上級のアンデッドでも、これを食らって無傷とはいかない。

 俺の手のひらに光が収束し、バズーカのように打ち出された。

 それはその実態の通り、光の速さで空間を引き裂くように飛翔し、こちらに接近してきていたローブに正面衝突する。


 ――しかし、敵はそれだけで倒れてはくれなかった。

 いや、訂正だ。ローブに俺が放った光の砲撃は全く通用していなかった。

 砲撃はローブに直撃する寸前に弾かれ、軌道を変えたのだ。

 軌道を変更させられた砲撃は城の壁にぶつかり、光の粒子となって消滅する。

 つまるところ、敵は無傷。アンデッドだろうがなんだろうが関係ない。そもそも、敵に俺の砲撃は届いてさえいなかったのだ。


「マジかよッ……!?」


 俺の砲撃を掻い潜ったローブは一気にこちらに向かって疾駆する。一瞬の内に間合いは食われ、近接戦闘に持ち込まざる負えなくなる。

 俺は敵を迎え撃つことに決めた。

 敵の得物は片手直剣。こっちよりも間合いは広い。必然、先制攻撃はローブの方。

 こちらのナイフは届かず、己の片手直剣だけが届く間合いでローブが踏み込んでくる。


 そこで、俺は空虚な違和感を覚えた。

 ――意志あるものが攻撃を放つときに感じ取れるはずの害意も、悪意も、目の前のローブからは感じ取れない……これはダンジョンでスケルトンと戦った時と同じ感覚だ。間違いなくこいつらがアンデッドであると、この瞬間、俺は確信し――刹那、横なぎの剣閃が襲い来る。


「厄介だな……ッ!」


 俺はその斬撃を、毒づきつつ、ナイフで横に受け流す。

 ナイフと片手剣。刀身の違う殺傷武器同士の接触面から甲高い摩擦音が鳴る中、今度はこちらから相手の懐に踏み込んだ。






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