新たなる物語
人を壊すのは心地よい。それが、その初めての感触だった。私の名前は言障魔術師。文字列に愛され、文章に絡め取られ、嬲られ続ける存在。そう、それが私。
人の本質は文字列の螺旋構造、ならばと文字列にて人を分解し解体し、再構築するうち、私は世界の陥穽に堕ちた。
辿り着いたこの”世界”で狂狂、狂狂と人の心は惑い。奇矯と享楽を混ぜ合わせた色彩が踊り狂う。
私達は欠落している。それがこの世界の魔術師の条件だ。あらゆる意志に翻弄され呑み込まれ錯綜するうちに、私達は私達の魔女に、私達の本質に出逢う。
だから、私がこの世界で出会った魔女は一匹の蠅だった。それは染みのように黒子のように、私に絡みついて離れなかった。
そうして、私は蠅の世界を見た。あるいは、そう錯綜するだけの世界を、私は、”亞”という文字を抜き取れば崩壊するものがあれば崩壊させた。理由など無い、出来るから行っただけの事、瘡侘拿、刃魔夜羅和怨、順々に崩壊させるうちにわたしの周りの魔女は不壊てゆく、そうして私は、気づくのだ。
その言葉の毒が自分さえも侵していった事に、気づいた時にはすでに遅く、私は私の望みのままに動く、その望みは私の望みなのか、魔女の望みなのかわからなくなった、いや、私の願望器なのだから、きっと、そうそれは私の望みなのだわ
飲み干すが良い。”埋葬され続ける真実”、真実の改竄者よ!! なぜならそれがお前だからだ、お前自身に力は無い、真実を全てを理解し埋葬することでしか力を発揮せぬ。それこそが最弱たえる理由。
私が貴様の本質を明かす。幾千幾億と存在する蠅の目で見よう。全ての狂気を飲み干す事でしか力を発揮せぬ。それがこの魔女の最悪たる理由
この絶望と狂気に呑み込まれて、それでもなお残ったものがお前だ。それがお前だ。それらの狂気の上に立つ、それこそが”真実の埋葬者だ”
全ての狂気を飲み干し、その合うハズの無い断章をつなぎ合わせて一つにする。その上で残った狂気、それこそがお前だ。それこそが貴様が最強たる理由
もう一度、謳おう「ここは、欲望のみが渦巻くお伽の国」「ここは愛憎満ち足り過ぎた妖精の国」「この物語は終わらない、終わることが出来ない」「この夢の世界、満ち足りた果てはそれは真実か虚実か、さぁ扉を開き、始めるが良い、君の新たなる物語を」




