表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/18

10話

5、6、7話の外伝的なものです

戦艦霧島視点でマーシャル諸島沖海戦のシーンを中心に描きます。


もし帝国海軍がレーダー開発に積極的だったらのIFも入ってます。

1942年6月17日、夜明け前の太平洋上

3日前に空母加賀と赤城は横須賀を出港し、空母鳳翔、龍驤、祥鳳と徴用船5隻で構成されたマーシャル諸島攻略船団を護衛すべく戦艦陸奥と(霧島)に、重巡足柄、秋月級の就役に合わせた防空化改装を施され、12㎝高角砲を3基有する防空巡洋艦五十鈴が秋月級駆逐艦秋月と照月、涼月の3隻を従え、太平洋を南へと進撃していた。

戦艦霧島防空指揮所

「南十字星が良く見えるわね・・・・・・」

私は夜空を見ながら絵でも描こうと思い、スケッチブックを取り出した。


何を描くのかと言えば、星空と海、そして艦隊の雄姿である。

私が絵筆を動かす一方、防空指揮所(ここ)に転移してきた陸奥さんも空を見ていた。

「明日には戦闘海域に突入するのねぇ・・・・・・空模様も今日みたいに穏やかじゃないかもなぁ・・・・・・」

陸奥がそう呟くと私も頷いた。

加賀は既に寝ているといい、艦隊の中の艦魂の中で起きているのは2人だけである、だが乗員たちは夜間当直が寝ずに見張りを続けていた。

陸奥、臨時電探管制室

「これより電探の試験を行う!各位、配置につけ!」

昨年の暮れに海戦の発端となったキリバス沖海戦の夜戦で戦艦コロラドと巡洋艦2隻撃沈と引き換えに戦艦扶桑と重巡洋艦加古及び羽黒、摩耶が中破の被害を被った事を受けて帝国海軍は各艦艇へレーダーの搭載を実行し、重巡洋艦以上の艦は全てレーダー搭載工事を実施中であり、陸奥は開戦半年前ににテストヘッドとして搭載改装を施していた姉妹艦長門に代わって連合艦隊旗艦の代理を務めていた事もあって搭載する暇もなく、長門の復帰及びキリバス沖海戦の翌日には陸奥はフィリピン沖へ派遣され、マニラを母港とする米極東艦隊の戦艦ワシントン及びネバダを金剛、榛名と共に撃破した。

閑話休題、陸奥にとって今回が初のレーダー試験であったが、これが戦局に大きな影響を与える事となるとは誰も予想だにしていなかった。

「・・・・・・ん?!れ、レーダーに反応!」

「な、何だと!!大きさ、方位、距離、速度の報告を!」

技術兵曹の報告を聞いた技術大尉は興奮気味に報告する様に命じた。

「目標小型機、おそらく戦闘機もしくは攻撃機でしょう!」

「加賀と赤城へ報告、対空戦闘用意!」

サイレンが鳴り響き、兵員たちが次々に配置に就く様子を私は見ていた。

私がホルスターから拳銃を抜くと陸奥が自分の船へ戻り、陸奥も私と同様に空へ拳銃を向けていた。

薄暗くも朝日が照らす洋上を進む空母加賀、赤城からはその敵を迎え撃つべく飴色に塗られた零戦21型と最新の試製烈風11型が飛び立つ。

「加賀さん、私が前に出ます!」

私がそう言うと加賀の右斜め前に向かい、雷爆撃から庇える態勢を整えた。

無論、長門も同様に赤城の右斜め前で赤城を庇う態勢をとっていた。

・・・・・・20分くらいすると戦闘機の操縦士たちから無線電話で戦闘状況が克明に報告されて来る。

烈風は零戦と比較して急降下が可能な頑丈な機体であり、今回、米側が投入してきた急降下爆撃機ドーントレスを片付けるには十分であり、零戦隊と協力して70機の攻撃隊の内、戦闘機14機含む44機を撃墜したが、26機のアベンジャーとF4Fがマーシャル諸島攻略船団に迫っていた。

「私の死に場所はここね・・・・・・」

鳳翔とその乗員たちが覚悟を決めると、鳳翔は輸送船団の前に出て輸送船に迫る攻撃機の前に立ちはだかった。

・・・・・・・巨大な水柱が鳳翔の船体中央部に立つと鳳翔の機関が停止、鳳翔の船体では火災が発生し、航行不能に陥った。

だが、船団を守るべく散ったこの空母は海軍戦史に残るものとなった。


17機のアベンジャーは鳳翔を撃沈してエンタープライズ以下で構成された自艦隊へ帰投すべく翼を翻したが、全て烈風に撃墜されて未帰還となった。

それから暫く、嵐の前の静けさの様に定期偵察以外は敵機の姿を見る事は無かったが、その4日後の21日、午前8時24分マーシャル諸島を発進した多数のアベンジャーとヘルダイバー、ドーントレスにデーバステーターとその護衛を務めるF4UとF4F合計180機が艦隊へ接近していた。

無論、空母エンタープライズ、サラトガ、レキシントンからの刺客だ。


私はすぐに拳銃を空へ向け、艦上にある高角砲も天空へ仰角を上げる。

「ふっ、私が簡単に近づけさせないから安心しろ!」

私は加賀にそう言うと36㎝連装砲を敵編隊の方へ向けたのである。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ