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1話

山城を救済するのは某艦隊擬人化ゲームで私の中枢戦力だからです

2001年京都舞鶴湾

かつて帝国海軍の基地があり、今はその後継組織、海上自衛隊の基地があるこの歴史ある軍港の片隅に私は今も歴史の証人として鎮座している。

船舶法的には未だに動こうと思えば動けると言うが法律的な事は私は知らない。

ごめんなさい、自己紹介を忘れました、私は戦艦山城といいます、詳しい事は後で話します。


どうせなら私の思い出話でも聞かない?

1944年の海戦から私が一線を退くまでの話があるから、ね?

~~~~~~~~~~~~~~~回想~~~~~~~~~~~~~~~~

1944年8月、史実と異なり帝国海軍は史実では既に喪失していた比叡、霧島、陸奥含む戦前建造の戦艦10隻と大和、武蔵に加えて史実では空母に改装された信濃に建造中止になった4番艦である紀伊、幻の5番艦である伊豆を加えた5隻を含む15隻の超弩級戦艦が存在していた。

それに加えて超甲型巡洋艦鞍馬型(鞍馬、阿蘇、生駒、笠置、妙義)も実戦投入されており、総計20隻の戦艦を保有していたのである。

「はぁ・・・・・・いよいよ最終決戦が近いのね・・・・・・」

私はトラック泊地に停泊する戦艦群をある戦艦の艦橋から見てため息をついた。

その戦艦の名は”山城”と言い、今の京都府の事を指し、対になる扶桑は日本と言う国全体を表す美称であるが、そんな事はさて置き、その私は何を隠そう、この船の艦魂なのである。


この船の艦橋最上部は非常に見晴らしが良い、一説には大和より見晴らしが良いとも言われている。

(次の戦いが終わる頃には私や金剛姉さん、それに扶桑姉さん、それに伊勢や陸奥、武蔵と言った妹たちも沈んじゃってるかもしれないのね・・・・・・)

私は誰もいない砲術指揮所で一人言い知れぬ恐怖に襲われていた。

「あ・・・・・・砲術長の原田中佐だ・・・・・・」

私は一人の作業服の中年の男が来るとそう呟いた。

「おや・・・・・・山城じゃないか!?」

原田三喜雄中佐と私は1925年に彼が新任少尉として(戦艦山城)に乗艦した際に私の事が見えると言った10名の士官の内の一人で、砲術指揮所勤務だったので良く私と話をしていた事を覚えている。

「山城、俺は念願の貴様の砲術長になれたよ、俺に勝利を託してくれよな!!」

彼がそう言うと私は無自覚に頬を染めていたのであった。


その年9月14日、連合艦隊は戦艦武蔵を先頭にフィリピン沖の作戦を実施すべく出撃した。

もちろん、私は主力艦隊の1隻として大和型5隻、長門型2隻、金剛型4隻と共に出撃したのである。

この戦いでミッドウェーの戦いを辛くも生き残った赤城さんが撃沈され、不運な事で有名な翔鶴さんがまたも中破の被害を蒙り、私自身も爆撃で副砲が1基破壊されたわ。

でも、大和の船体を流用したと言う重装甲空母、琉球とその琉球に乗る各地から転戦してきた優秀なエースパイロット達が制空権を確保してくれて、攻撃部隊の攻撃で受けた被害は少なかったわ。

「山城、俺は貴様を信じている、だから頼むぞ・・・・・・」

原田砲術長以外にも私が見えている私の幹部(この船の幹部)は艦長の滝本大佐に、副長の羽根川中佐、そして砲術長の原田中佐の3人に加えて、機関長の本田少佐と副機関兼応急長の倉見大尉の5人だ。

「大和に魚雷命中!!」

砲術員の一人がそう叫ぶとこの船から見て左舷4、500m手前を航行していた戦艦大和の右舷側に1本の水柱が上がったのである。

「大和さんは大丈夫かしら?」

私がそう聞くと原田砲術長はすぐに反応した。

「大和はあんな攻撃で沈む様な軟な船じゃない、安心しろ!!」

砲術長がそう言うと大和が大笑いしながら叫んでいた。

「こんな攻撃痛くも痒くもないわ!!」

私は良かったと安心しきった、だが次の瞬間、不吉な気がしてきてそれが当たったのだ。

『大和のレーダーに反応があった、敵の大艦隊を見つけた、これより砲戦に入る!!』


それを聞いた私は気を引き締めて軍刀を収め、リボルバーに手を掛けたのである。

「軍艦に生まれたからには軍艦らしく死にたい(討ち死にしたい)じゃないの!!」

私はそう言いながらリボルバーを敵の方へ向けたのである。


「山城、お前を信じるぞ!!目標、前方の米艦隊、第1、2主砲射撃開始!!」

遂に砲撃が始まった様だ、私は握っていたリボルボーのトリガーを引いた。


次の瞬間、私の周囲にも敵艦隊が放ったと思しき砲弾が着弾し、水柱が立つ。

「正確な射撃ね・・・・・・原田中佐、ちゃんと頼みますよ!!」

私がそう言うと原田中佐が頷き、暫くすると第1、2主砲が再び火を噴くが、次の瞬間、物凄い衝撃が私を襲ったかと思うと右舷前方を航行していた航空巡洋艦三隈が一瞬にして火達磨に変わったのである。

「三隈被弾!!航行不能です!!」

観測員の板野上等兵曹がそう報告する。

「くそ・・・・・・三隈の仇は必ず討つぞ、お前らしっかり続けろよ!」

砲術長がそう呟いたが、砲術長は悔しそうな顔をしていた。

「そ、そんな三隈ちゃんが・・・・・・」

私は数週間前に定期検査でドック入りした際に、改修なったばかりの三隈が航空甲板を自慢していた事を思い出したのである。

「許さないわ・・・・・・」

私はそう呟くとリボルバーにまた銃弾を詰め込んだ。

それと同時に6基の砲塔でも砲弾が装填され、射撃に備える。


反航戦だから発射できる砲弾の数は多い、つまり命中する可能性は格段と上がるのだ。

その反面、敵弾が命中する可能性も大きく上がってしまうリスクも抱えている。


私は涙を隠しつつ敵に向けて拳銃を放ったのである・・・・・・・

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