ep18 就職決定!
8月最初の投稿となりました、YUKIです。
少しは更新頻度をあげていけるようにがんばりたいと思います。
聖「・・・ふむ。では、君たちは一緒に旅をしてきたという訳では無いんだな?」
昇太・往人「「ああ。」」
聖さんから出された素麺を食べ終わった俺たちは、
自分たちのことについて話すことになった。
昇太「もともと俺と往人は別々に旅をしていた。」
往人「だが、たまたまこの町で出会い、たまたま目的が一緒だった。
だから、一緒に行動することになったんだ。」
遠野「お二人が旅をしている理由とは何ですか?」
昇太「少女を探しているんだ。翼を持った少女を。」
みちる「んに?つばさ?」
往人「俺は母親から、昇太はある人から頼まれたんだ。
その少女を見つけ出し救ってほしいと。
ま、翼が生えてる人間なんてよくある空想だがな。」
茂美「へ~。なんだかロマンチックな話ね。」
聖「二人はどうやって旅を続けてきたんだ?」
昇太「俺はもともと金があったし、旅を始めたのは最近のことなんだ。
往人は・・・一応人形劇をやってる。」
往人「一応ってのはどういう意味だ?」
聖「ああ、最近噂になっている全く面白くない人形劇か。」
往人「なんだその噂は!?」
聖「目つきの悪い男が全く面白くない人形劇で金をとろうとしている、という噂だ。」
往人「何なんだ?この町の人間は。俺に恨みでもあるのか?」
佳乃「往人くんはどんな人形劇をするのぉ?あたし、見てみたいよぉ。」
往人「ふっ、悪いな佳乃。
俺は無料でところかまわず芸をするような安い男じゃないんだ。」
聖「ほぉ・・・。君はかわいい佳乃のかわいいお願いを断るんだな?」
往人の言葉を聞いた聖さんがメスを構えてゆらりと立ち上がった。
メスの鈍い光と相まってなかなか不気味な姿だ。
往人「と、このように自分のプライドを優先して、人からの頼みを断るのはダメなんだ。
わかったか?観鈴。」
観鈴「えっ?う、うん・・・。」
状況がよく分かってない観鈴はとりあえず頷いた。
みちる「卑屈だね、国崎往人。」
ポテト「ぴこぴこ」
往人「うるさいぞお前ら!ったく・・・一回だけだからよく見てろよ。」
そう言うと、往人はポケットから人形を出し、テーブルの上に置いた。
その後、前に俺や観鈴にやって見せたように人形に手をかざした。
往人によって命を吹き込まれた人形は立ち上がり、とことこ歩き出した。
・・・まあ、それだけだが。
が、周囲の反応は往人の予想を大きく上回るものだった。
遠野「すごいです・・・。」
茂美「これ、本当に仕掛けないの?テレビで見る手品とかよりすごくない?」
みちる「んに~?どうなってるんだ、これ?」
佳乃「すごいよぉ往人くん!これなら優勝間違いなしだよぉ!」
ポテト「ぴーこぴーこ」
佳乃の褒め言葉はよくわからないが、あまり表情を表に出さない遠野や、
普段何かとつっかかってくるみちるも素直に驚いていた。
往人「・・・・・・」
観鈴「どうしたの、往人さん?」
往人「俺の芸がこんなに褒められるなんて・・・お前らいい奴だったんだな。
どうして、この町のガキどもは驚かないんだ?」
茂美「最近の子供は難しいからよ。」
往人「まったくだな。・・・聖はどうだったんだ?何か感想とかないのか?」
往人は、芸に対して唯一何も言わなかった聖さんに意見を求めた。
俺もつられて彼女の顔を見た。
が、彼女の表情は俺の予想とは大きく違うものだった。
出会って数十分ではあるが、俺は霧島聖という女性に対して、
”冷静”というイメージを持った。
そして、そのイメージは間違いないはずだ。
だが、今の彼女はこの場にいる誰よりも驚きの表情に満ちていた。
往人「どうした?そんなにすごかったか?」
聖「・・・ああ。・・・君、誰にこの芸を習ったんだ?」
往人「は?俺の一族に伝わる『法術』っていうものだから、
母親に習ったけど・・・それがどうかしたか?」
聖「いや、いいんだ。それなら・・・。」 往人「・・・?」
往人は妙に歯切れの悪い聖さんに疑問を持ったらしい。
それは、俺も同じだった。
だが、いきなり目の前で非科学的なことが起こったら、
大人は動揺するだろうと納得した。
聖「・・・ところで君、ここでバイトする気はないか?」
往人「は?」
相次ぐ聖の予想外の言葉に往人はまたも驚きの声をあげた。
聖「君は神尾さんの家に居候しているのだろう?
少しは神尾さんの家計に協力すべきじゃないか?
バイト代はそこそこ出すし、たまにお昼をご馳走してやってもいいぞ。」
往人「・・・分かった。引き受けよう。」
面倒なことは御免という感じの往人だが、
居候の身なので多少後ろめたいところもあるらしい。
聖さんの提案を了解した。
遠野「では、私たちからもお話が・・・。」
次は遠野が話し始めた。
遠野「天文部の活動のことですが、明日の夜からでよろしいですか・・・?」
佳乃「ええっ!?みんなは天文部の部員なのぉ?」
昇太「ああ。と言っても俺と観鈴は入ったばっかで何もしたことはないけどな。」
佳乃「そうなんだぁ・・・。天文部があるなんて知らなかったよぉ。」
茂美「部員が二人しかいなくて、
ろくに紹介さしてもらえなかったから知らなくても仕方ないわね。」
茂美は苦笑して言った。
佳乃「今まで、部活は朝や昼に活動するものしかないと
思ってたから入部しなかったけど・・・
夜に活動してるなら入部したいよぉ。みんなも一緒だし・・・。」
遠野「私たちは大歓迎です・・・。」
佳乃「お姉ちゃんはどう?」
聖「佳乃がやりたいと言うなら、私は何も言わないぞ。
遠野さんたちがいるなら安心できる。」
茂美「じゃ、入部決定ね。」
観鈴「よかったですね。二人とも。」
遠野「ハッピーです・・・。」
遠野がウケ狙いなのか天然なのかわからない喜びの声を上げる中、
観鈴が一つの疑問を口にした。
観鈴「そういえば、往人さんは天文部の活動来ないの?」
往人「はぁ?何で俺が?」
観鈴「えっ・・・ボディーガードとか?」
往人「そんなもん昇太がいれば十分だ。」
昇太「お前、俺に面倒ごと押し付けようとしてないか?」
往人は何処吹く風と言わんばかりに俺の言葉をスルーした。
が、ここにいるのは俺だけでは無い。
観鈴「往人さん来ないんだ・・・。」
佳乃「ガッカリだよぉ・・・。」
遠野「しょんぼり・・・。」
茂美「見損なったわ。
ポテト「ぴこぴっこ」
みちる「国崎往人は人でなしだ~。」
聖「君はこんなにかわいい女の子たちの思いを裏切るんだな?そうか、そうか。
・・・バイトの内容に新薬投与を加えないといけないな。」
往人「新薬だって!?」
往人は素っ頓狂な声をあげた。
往人「お前、それでも医者か!」
聖「ああ、医者だ。だが、それと同時に人間だ。人として健気な女の子たちの
意見を無視するわけにはいかんだろう?」
聖は挑発的な口調で言った。
往人「ぐっ・・・わかったよ。ただし、毎日は無理だ。俺にも予定がある。」
聖「ふむ、まあいいだろう。」
往人「就職口誤ったかな・・・。」
聖「何か言ったか?」
往人「気のせいだ。」
こうして、往人の就職と天文部の活動が決まった。
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