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百十六

「で、失敗したんで、こうして逃げようとしたんやな?」


「はい」

 そして


「私が捕まるのは、当然としましても……本当に身勝手な言い分なんですが」


「父上の事やな? それな、知り合いで蘭学の医者がおるさかい、いっぺん診させたるわ」


「え? な、何と申せば!」

 頭を下げてきた相手だったが


「あ、でも支払いが」


「確かに、そんな汚い金には用はないわ」

 破近、そう吐き捨てるも


「でもこれがな、タダで診察するええオッサンなんやわ!」


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